ヨガのインストラクターを目指して勉強中(34歳)

交通事故にあって、もっと自由に生きようと思いました。

ヨガのインストラクターを目指して勉強中(34歳) 福岡県出身、中村調理製菓専門学校卒業、福津市の実家暮らし。福岡の天神にて街頭インタビュー。

 今から友達とランチして、スタジオに行きます。ヨガのインストラクターの資格を取るために、勉強しているところなんです。

青信号で車にはねられて…まさかって感じですよね

 もともとはパティシエをしていました。高校生のとき、手に職をつけたいと思っていたら、ちょうど「西洋骨董洋菓子店」というドラマがあって、製菓の専門学校に進学。お菓子作りの奥深さを知りました。

 卒業後はケーキ屋さんに就職したのですが、早朝から夜まで働きづめ。人間関係もうまくいかず、納得がいかなかったことを先輩に伝えると「生意気」と言われて…結局、3年で辞めました。

 今度は人と話す仕事がいいなと思って飲食店で働き始め、一度はパティシエに戻り、また飲食店で働いたり。30歳になると、私はこれでいいのかなとモヤモヤすることもありました。

 33歳のとき、夜まで働いた帰り道、青信号で横断歩道を渡っていたら、右折車にはねられたんです。救急車で運ばれて、頭を数針縫う全治2週間のケガでした。まさかって感じですよね。実家に住んでいたので、半年くらいはゆっくり過ごしました。ただ、会社や保険会社とのやり取りは大変でした。

 事故にあって、私、思ったんです、もっと自由に生きようって。前からヨガのインストラクターに憧れていたけど、私には無理かなと一歩踏み出せなかった。よし、インストラクターの資格を取ろうと決めました。

自分の「今・ここ」に集中すれば、悩みなんてなくなる

 ヨガに出合ったのは、今から4年前。体を鍛えるために通っていたジムで、たまたまレッスンを受けたのがきっかけです。インストラクターの先生から「頑張らなくていいですよ」「人と比べなくていいですからね」「自分の体と相談しながらやっていきましょう」と声をかけられて、ふーっと力が抜けました。筋トレは「ここが足りないから、もっとこうしなければ」とか、どこまでも頑張らなきゃいけないけれど、ヨガは全然違うんだなと驚きました。

 人って、起きているときはずっと何かを考えているけれど、ヨガをするときは自分の呼吸だけに意識を向けて、自分と向き合える。自分の「今・ここ」に集中していると、悩みが入り込む余地なんてなくて、リセットできます。それに、続けていると、前はできなかったポーズができるようになって、自分が進化したなって実感できるんです。

 ヨガを始めてから、心に余裕ができました。何か嫌なことがあったとき、前なら「ムカつくー!」と思ってたけど、今は冷静に捉えられます。相手がどうこうではなくて、自分がどう思うかが大切。「こう言われたけど、私はそう思わない」とか、ちょっと引いて考えられるようになりました。

男の子は青で女の子はピンク、とか、枠にはめられることにずっと違和感がありました

 今年の4月から、ヨガのインストラクターの資格を取るためにスタジオに通っています。全米ヨガアライアンスの認定校で200時間のプログラムを受けて、もうすぐ修了するところ。週2日、1日4時間受講しながら、別のレッスンを受けたり一人で練習したりして、ヨガをする時間がとても幸せです。

他には、母の畑作業を手伝ったり、飲食店でバイトしたり、友達と御朱印集めや温泉めぐり、ボルタリングなどをして過ごしています。

 考えてみたら、私は子どものときから個性的だったのかもしれません。男の子は青で女の子はピンクとか、枠にはめられることに違和感がありました。ケーキ屋さんで働き始めても、おかしなことはおかしいと言って、叩かれることもあって。出る杭は打たれる世の中だから、自分の個性や気持ちは抑えなきゃいけないのかなと悶々として…みんな個性を出したほうが輝けるはずなのにと思っていました。そしてヨガに出合って、私は私でいいんだと思えるようになったんですよね。

 インストラクターだけでは体力的に大変なので、好きな接客業と両立しつつ、ヨガを通してたくさんの人と楽しい時間を共有できればと思っています。

 今、仲のいい男性はいます。まだ知り合ったばかりで、これからどうなるかは全くわかりません。いつか誰かと結婚して、自分の子どもと一緒にヨガをするのが、今の私の夢です。

福岡市・天神にて

福岡市出身。九州大学を卒業後、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、WEB、報告書等の制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人や経営者など1,500人以上を取材。
街頭インタビュー