●本という贅沢#172

さとゆみ#172 年末年始に読めば、2023年仕事も人生も頑張れちゃうかも? 3選

隔週水曜日にお送りする、コラム「本という贅沢」。3年ぶりの行動制限のない年末年始を迎えます。旅行に行ったり、帰省したりする方もいらっしゃるでしょう。ただ、移動のスキマ時間やおうち時間で読書をしたい方も多いはず。そんな年末年始に読んでおきたい3冊を、書籍ライターの佐藤友美(さとゆみ)さんが紹介します。
人は優しい生き物? ずるい生き物? 『Humankind 希望の歴史』著者・ルトガー・ブレグマン氏とお話してきた!【前編】 日本人は本当に働きすぎ?『Humankind 希望の歴史』著者・ルトガー・ブレグマン氏に聞いてきた!【後編】

まったくもって年末進行がおさまっていないさとゆみですが、みなさまにおかれましては、年末年始ゆっくりできそうですか?

年末年始の休暇って「のんびり休むべき派」と、「今こそスタートダッシュすべき派」といるように思うのですが、今年に関してはちょっと後者のみなさまにアプローチしてみようかな、って思います。

年末年始だからこその、ビジネス書&啓発書、3選してみました。

どれも、読後感が「よし、がんばるぞ!(語彙力)」になるので、これ読んでおくと年始ブルーにならずに会社にいけたり、元気な社会人できたりするんじゃないかなーって思うわけです。
いやほんと、最近思うんだけど、元気ってめちゃくちゃ大事くない?

というわけで、私の3選は、こちら。

2023年は「自分の時間がない!」に決着つけたい

まず、『Me Time(ミータイム)自分を後回しにしない「私時間」のつくり方』。
これ『限りある時間の使い方』を読んで、いやそうそう、マジでそう。そうなんだけど、では、どうすればいいんだっけ? ってなったときのアンサーソングに近いなって思います。

『Me Time(ミータイム)自分を後回しにしない「私時間」のつくり方』(池田千恵/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

この本、今回同時にご紹介している『夢をかなえるゾウ0』に通底するところがあると思うのだけれど、そもそも論をしっかり説明してくれているところが素晴らしいです。

たとえば、いろんな本に「やりたいこと」と「やるべきこと」を混同しないって書かれているわけですよ。でもね、「やりたいこと」と「やるべきこと」は、どう見極めればいいんだろう。
この本は、そういうスタートラインから丁寧に解説されている。

今年、「自分の時間が全然ない!」ってなったみなさまは、年末年始で時間の使い方を総棚おろしされてはいかがでしょう。

こんな本が売れるなんて捨てたもんじゃない

次にご紹介するのが、10万部を突破した『だから僕たちは、組織を変えていける』。

誰かが言ってらしたけど、「こんな本が売れるなんて、ロクなもんじゃないの真逆で、この世の中捨てたもんじゃない」って。まさに同じ感想を持ちました。

『だから僕たちは、組織を変えていける』(斉藤徹/クロスメディア・パブリッシング)

この本、優しい組織の作り方。あたたかいリーダーのあり方。そして、ひとりひとりがどうやって社会に関わっていくことができるかの指南書。

ひとつひとつのエピソードやエビデンスの中には知っているものもあったけれど、そうかそういう現象を有機的につなげて考えると、僕たちが今求めているのは、こういう組織なんだなと、ストンと腹落ちする内容です。

みんな薄々気づいていたけれど、それをピシッと、でもやわらかく、言語化されたような気持ちになる。
「僕たちは」というタイトルもいいですよね。ああ、俺の時代でも彼らの時代でもなく、僕たちの時代なんだなって。これまた、ストンと受け入れられる。こういう言葉ひとつとっても、もう、マッチョな言い回しは消えていくのだなあと感じるわけです。
リーダーが頑張れば良いという時代じゃないのも、今感あります。「だけど一人で何ができるの?」に対する解があるのも、素敵。

ここで提示されている概念や実例だけではなく、こういった言葉の選び方も勉強になる本でした。個人的にはティール組織がちょっとピンとこないなあと思っていたので、ここでのサーバントリーダーや、ネクストにくるハンブルリーダーのあり方が気になっています。

夢って、持たなきゃいけいないもの?

いやあ、この本が出たとき「ジャストだ!」って思いましたよね。

ここ数年、ビジネスメディアで執筆しているとき、よく話題になっていたのがいわゆる「夢ハラ」でした。

「夢って、本当になきゃいけないものなんだろうか?」
という疑問に真っ向からぶつかってくれるこの本。

『夢をかなえるゾウ0 ガネーシャと夢を食べるバク』(水野敬也/文響社)

といっても、そこはガネーシャなので、真っ向からといっても、笑いあり変化球あり寄り道あり。するするっと読んでいるうちに、うっかり感動してしまうという、なんともずるい本であります。

世の中を斜めに見ている人でも、いや、そういう人にこそ届いているから、このシリーズが激売れしているのだと思うけれど、その手法は今回も全開。
余計なメモリは1ミリも食わせないのに、普段使わない脳のメモリをガシガシ動かすことになる。

うっかりやる気を出したくなってしまいたい人に、おすすめでございます。

みなさん、今年も読んでくださり、ありがとうございました。
来年も、楽しい本をたくさんお届けできるようにがんばりまーす! 

良いお年を!
そして、良い2023年の幕開けを!

 

●佐藤友美さんの新刊『書く仕事がしたい』が10月30日に発売!

 

●佐藤友美さんの近刊『髪のこと、これで、ぜんぶ。』は発売中!

人は優しい生き物? ずるい生き物? 『Humankind 希望の歴史』著者・ルトガー・ブレグマン氏とお話してきた!【前編】 日本人は本当に働きすぎ?『Humankind 希望の歴史』著者・ルトガー・ブレグマン氏に聞いてきた!【後編】
ライター・コラムニストとして活動。ファッション、ビューティからビジネスまで幅広いジャンルを担当する。自著に『女の運命は髪で変わる』『髪のこと、これで、ぜんぶ。』『書く仕事がしたい』など。