植草美幸流 婚活理論27

あなただけじゃない! 「自然体でいられない」「トキメキがない」…。婚活中の女性によくある悩みにお答えします

東京・青山の結婚相談所マリーミー代表で恋愛・婚活アドバイザーの植草美幸です。人生のパートナーを探す「婚活」は、そう簡単なものではありません。真剣になるから、本当にこれでいいのか不安になりますよね。今回は私が婚活をしている女性から、よく相談される悩みやモヤモヤについて答えます。これを読んだあなたの気持ちが、少しでも軽くなりますように。
ジューンブライドの6月 「女性から男性にプロポーズを促す方法」を考えてみよう

結婚相談所、知人の紹介、マッチングアプリ……どんな形の出合いでも、お相手と交際に発展する前の段階での悩みもたくさんあります。まずは「自然体でいるための方法」から。

Getty Images、1枚目も

自然体でいられません

よくある悩み1:婚活をしていると、自分をよく見せようとしたり、緊張したりして、自然体でいられません。初対面や、ちょっといいなと思っている相手に、どこまで自分を出すべきでしょうか?

自身の心の在り方、マッチングのズレ、コミュニケーションという3つの要素が含まれる悩みです。最初に「どこまで自分を出すべき?」について結論から申し上げましょう。

おそらく、相手はあなたのことを何も知らない段階でしょう。あなたはまず、「自分のトリセツ(取り扱い説明書)」にあたる部分を出して相手に接してみましょう。たとえば“こんな風にしてくれるとうれしい”、“こんなときに楽しいと感じる”、“こんな人が好き”といったように……。これが「次のデートはこうしてね」というメッセージになり、あなたの最初のトリセツになります。

たいていの人は、初対面で「あなたにおまかせします」といった態度を取られると負担に感じます。「ヒントは何も出さないけど、満足いくまで私をもてなせ!」と言われているようなものだからです。

自分が楽しく過ごすために自分のトリセツを話す、それが相手の気持ちもラクにする。この、互いにいい関係は結婚生活の基本でもあります。婚活で「自分を出さない」ということは、一生を任せているのと同じ。

もちろん、自分を出すことでわがままだと思われ、フラれることがあるかもしれません。でも、それははじめから相性が悪かっただけ。無理して自分を隠しても一生は続きません。結婚はゴールではなくスタート。自然体でいられない相手と24時間過ごすのは苦痛でしかありませんから。

自然体でいられない理由は?

ここで、自然体でいられない理由について、もう少し掘り下げてみましょう。なぜ、婚活で必要以上に自分をよく見せようとしてしまうのでしょうか? 

1.「嫌われたくない、失敗したくない」と必要以上に思っているから。

どんな出会いでも、ひと目惚れしたら当然、「失敗できない!」と緊張しますよね。婚活の場面では、「普段の素の自分を見られてお断りされたらどうしよう」、「フラれたら、プライドが傷ついて立ち直れないかも」……と臆病になってしまうケースもあるでしょう。

2.無理をしないと釣り合わない相手だから

仲良しの友達と過ごしているときは、いつもの自分を見せられるのは当然だし、コワイ上司が同席しているときは委縮して取り繕ってしまうのは当たり前。婚活でいえば、育った環境が自分と大きく異なる場合。あなたが、あらゆる点で背伸びをしないと釣り合わないと感じれば、素の自分を出せなくなります。

これらの原因を理解し、自然体な自分でいるためには、
・マッチングの際に高望みしすぎない
・友達と出会うようにフラットな気持ちで会ってみる
・出会って間もないうちに1人だけに絞りすぎない
ということを心がけましょう。

そもそも出会いの絶対数が少ないと、「この人しかいない、絶対に逃してはいけない」という思考に陥って緊張や委縮に繋がります。多くの結婚相談所が3人同時進行での仮交際をお勧めしているのは、時間短縮の意味だけでなく、1人に気持ちを入れ過ぎず、冷静に比較検討するためでもあるのです。

だから最初は友達を作るつもりで複数の人とマッチングして、自分をどんどん出していきましょう。ぜひ、あなたのちょっとわがままな部分を見ても「いいよ!」と言ってくれる相手を見つけてくださいね。

Getty Images

この前出会った男性、悪くはないんだけどトキメキが・・・

よくある悩み2:先日婚活の場で知り合った男性。そこまでピンと来ないけど、条件は比較的悪くない。結婚相手となると、なんとなく決め手に欠ける気もします。そんな男性との関係は進めるべき? 

婚活でトキメキを求めても問題ありません。でも、数回会っただけでピンとこないのは当たり前。それだけでお断りする必要はありません。しばらくの間、デートフレンドとしてそばにいたり会うのを重ねたりして、相手の内面を知っていくフェーズに入ってみるのはいかがでしょうか?

私は婚活のプロとして、入会した会員のみなさんに、初回1時間半のカウンセリングをして、その方のプロフィールや推薦文を作成します。話を聞くときは、目の前の相手のいいところを100個引き出そうとしています。最後には「いい子だね~!偉いね、頑張ったね~!」と誉め言葉しか出てこなくなり、私がその人のことを大好きになってしまいます(笑)。

知れば知るほど、その人に好意を持ちます。これを心理学で「熟知性の原則」と言います。みなさんも婚活のお相手に対して使ってみてください。

たとえば、ピンとこない相手であっても自ら誘って、カフェで2~3時間おしゃべりし、相手の良いところを100個探す。自分ばかり話していては相手の魅力が引き出せませんから、あなたはいろいろ質問することになるはずです。

話題は、アニメやゲーム、ペットや趣味などお互いの好きなことでもいいし、仕事や働き方、つみたてNISAやiDeCoなどの投資についてでも。料理や家事、学生時代のことや子どもの頃の習い事の話でもOK。
色々と質問をすると、お会計をする頃には、ピンとこないと思っていた相手の意外な一面がいろいろと見えてきて、「尊敬できるな。こんなとき頼れそうだな。たくさん努力してきたのね」と感じられると思います。

Getty Images

譲れない基準は?

「ピンとこない」というのは、相手の表面しか見えていないことが原因の可能性もあります。あなたが「結婚となるとなんとなく決め手に欠ける」のも、自分自身の婚活の判断基準が定まっていないことの表れかもしれません。

こういった場合に備えて、自分の大事にする条件を決めておくこともお勧めです。見た目の印象、ファッションセンス……などの条件をベースに、自分の好みやこだわりなども項目に加えてみてください。

条件をリスト化することで、「なんとなくAさんが魅力的だと思っていたけれど、冷静に見たらBさんのほうが良さそう!」ということに気づけます。お気に入りの相手を決められないうちは条件により合う人とは同じペースでデートを継続し、そうではない人とは距離を置いてみる、などの自分なりの距離感の基準ができます。

婚活は「好きな人」ではなく、「一生向き合える人」を探すのが目的です。だから、恋愛モードに入るのは結婚相手を決めてからでも遅くありません。早々に恋愛モードになり、冷静な目で相手を見極められなくなると、冷めた時に「こんなはずじゃなかった」となるリスクが、ありますからね。

Getty Images

婚活で自信喪失。正直、疲れました

よくある悩み3:男性と出会っても、デートの約束の段階から先に進まず、自然消滅してしまいます。こうしたことが何回か続き、自信をなくしそう。惨めな気持ちになりそうで女友達にも相談できません。どうしたらいいでしょうか。また、そうこうするうちに心が疲れたときには、どうすればよいでしょうか?

「デートの約束から先に進まない」というのは、結婚相談所でも非常によくあります。私は“自信を無くす前に、言葉を尽くしてください”とお伝えしています。実は相手に下駄を預けているために、自然消滅してしまっているケースが多いからです。

「相手が自分を好きかどうか?」を判断するタイミングは、デート前ではありません。相手にとって、あなたは好きでも嫌いでもない、よく知らない人です。だから向こうは仕事や趣味を優先しても当たり前です。だって、まだ仲良くなっていないのだから。

距離を縮めるためには、何かしらのアクションが必要です。相手任せにして「進まない」と嘆くより、自分で行動すればいい。それだけの話です。

返事のしやすいメッセージを

先日、38歳の婚活中の女性から「LINEでやりとりはしているのに、次のデートが決まらない」と相談がありました。画面を見せてもらうと「いつがいいですか?」「そうですね~、いつごろなら都合がいいですか?」「いつでもいいですよ、何曜日がいいですか?」「逆に、何曜日がいいですか?」と双方がずっと質問のラリーを続けていました。

そこで私は、文言についてこうアドバイスをしました。「今週の水曜日と金曜日だったら、どちらがいいですか? 平日20時まで仕事なので、六本木周辺なら20時半には行けます。急に仕事が立て込んでしまったら、5~10分遅れてしまうかもしれないですが、必ず行くので少しだけ待っていてもらえますか? お店は○○、私の名前で予約します」。こう送れば、聞かれたことに相手が答えた時点で次のデートはもう決まりです。

これに返答がないなどで約束が決まらないなら、彼は本当に忙しい人かもしれません。その場合は「お仕事は忙しいですか。時間が空くタイミングはいつごろでしょうか?」と聞いてみましょう。以前、税理士で「2~5月は家にも帰れないくらい忙しい」という方がいらっしゃいました。仕事によっては本当にデートも無理なくらい忙しい時期がある人はいて、そういう場合は“無理なものは無理”なのです。

忙しすぎる男性はイヤだというなら、しばらくその人とのデートはお休み。その間に別の男性とデートしてみればいいと思います。ただ、お休み中も時々連絡はしてみて。「まだ忙しい」と言われたら、「そうなんだ、大変だね。お仕事頑張ってね!」と気遣って、またコンタクトを取ればいいだけのことです。

お悩み後段の婚活中に心が疲れるというのも、よくあります。これについては、「相手が自分の思い通りにならないと“自信をなくす”という考え方をやめることに尽きます。感情的になっても結果は変わりません。「それなら、次!」と気持ちを切り替えればいいだけです。プライドが高いけれど臆病で、周囲に対して過度に期待する“察してちゃん”のままだと、婚活疲れに陥りやすくなってしまいます。

Getty Images

まとめ:1対1で向き合えば悩んで当然! 自分で考え、行動を変えてみて

2022年版の「男女共同参画白書」で、20~30代の独身女性の約2割、独身男性の約3~4割が「デート経験なし」という結果が明らかになり、メディアなどで話題になりました。デートの経験がなければ、1対1で向き合う経験が乏しいがゆえに、「自分のことをわかってくれない」「相手の気持ちがわからない」というモヤモヤを抱えやすいと私は感じています。だから、婚活や異性と交際しようとしても、どうしたらいいかわからない、わからないから面倒くさい、だったら婚活も交際もしなくてもいい……という考えを持つ方も少なくないのでしょう。

結婚相手やデート相手とは、不慣れな間柄から少しずつ距離を縮めていかざるを得ない。だからこそ、葛藤も生まれます。自分のことを、すぐに理解し、「大好きになってほしい」と相手に求めるというのは「白馬の王子様が迎えに来る」と夢見るのと、同レベルの発想です。

そんな事態を避けるためには、以下のように考えるクセをつけることが大事です。
・自分で自分のことを話さなければ、相手は自分のことをわかってくれない。
・自分の軸がなければ、結婚相手を判断できない
・自分で相手に聞かなければ、相手の気持ちはわからない

まずは自分の行動を変えるところから、始めてみましょうね。

ジューンブライドの6月 「女性から男性にプロポーズを促す方法」を考えてみよう
結婚相談所マリーミー代表取締役、恋愛・婚活アドバイザー。 1995年にアパレル業界に特化した人材派遣会社エムエスピー設立。2009年、結婚相談所マリーミー設立。自ら婚活している男女にアドバイスし、成婚に導いている。セミナーの開催、テレビやラジオも多数出演。著書に『なぜか9割の女性が知らない婚活のオキテ』『男の婚活は会話が8割「また会いたい」にはワケがある!』『モテ理論』など。
植草美幸流 婚活理論