菅野美穂×浜辺美波「ウチの娘は、彼氏ができない!!」9話。季節外れの雪!空は、光が代えがたい存在であることに気づく。今夜最終回

菅野美穂主演、浜辺美波と親子役で共演する「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」。かつて“恋愛小説の女王”として一世を風靡したシングルマザーの水無瀬碧(菅野美穂)の悩みは、しっかり者でオタクの一人娘・空(浜辺美波)に彼氏ができないこと。空(浜辺美波)と一ノ瀬(豊川悦司)は沖縄から帰ってきます。すっかり地域にもなじむ一ノ瀬。それぞれに春がやってきそうな9話を振り返ります。

空(浜辺美波)と一ノ瀬(豊川悦司)は沖縄旅行に行っていただけだった。二人はすっかり仲良くなって碧(菅野美穂)のいるすずらん商店街に帰ってくる。いつの間にかそこにいる一ノ瀬はおもちゃ屋さんの二階に泊まる部屋まで見つけている。商店街は、どうやらずいぶん人たらしらしい一ノ瀬と流木に侵食され、世を捨てて見えるが世からは捨てられない男の魅力に、母娘は懐柔されていく。

あなたのことが好きでした

一ノ瀬は、空の本当の母親である鈴(矢田亜希子)のことも、碧のことも覚えていた。

「空さんの瞳が鈴にそっくりで……。鈴がそこにいるみたいで。あなたを覚えてるって言うことができなかった」から、と碧に告げる。
このドラマの登場人物は皆自分の感情に敏感で忠実だ。碧もつられたように、当時の自分の感情を一ノ瀬にぶつける。

「あなたのことが好きでした」「でも……何で?何であなたがそばにいてあげなかったんですか?」

碧は一ノ瀬にビンタをし、碧と一ノ瀬と空は鈴の墓に手を合わせに行く。「ひと仕事終えた気がする」と碧も気が済んだのか、だんだん一ノ瀬に心を開いていくように見える。しかし、一ノ瀬がなぜ鈴の元を去ったのか、その理由は明かされないままだ。それもその時の感情に忠実だっただけだろうか。

一ノ瀬は二十年前復縁を請う手紙を出し、鈴は空を産んだことと「新しい人とやっていく」という嘘を書いた返事を出していた。一ノ瀬は空の存在をずっと知っていて、だから毎日空を見上げて写真を撮っていた。一人で酒を飲む一瀬の前には鈴の幻想が現れる。「悪かった」と謝る一ノ瀬に鈴は「空を産んだことを伝えたのは親心」と言う。ずっと親娘を見守っていた「おだや」の俊一郎さんも空に「鈴さんは碧ちゃんに何かあった時にね空ちゃんの頼る先をもう一つ残して死んだんじゃないのかな」と話す。一ノ瀬は、空にとっては突然現れた「碧じゃない選択肢」かもしれない。

眼鏡が割れてしまう

空と光(岡田健史)が描いている漫画もだいぶ完成に近づいて、今っぽくつけペンではなく液晶タブレットでの作画に入ってきている。二人は新人賞に応募することを決める(あれだけ「ジャンプでてっぺん取る」ことに憧れている光が新人賞の存在を知らなかったのは意外だが)。

二人での作業後、絵に描いたような不良に絡まれて、銭湯の湯船ですら外さなかった空の眼鏡が割れてしまう。「見えないから」と言う理由で手を引かれ、季節外れの雪が降り、ここまでの環境が揃ってようやく空は、光が替えがたい存在であることに気づいた。

碧の担当編集者である漱石(川上洋平)にもアメリカ行きの話が持ち上がっているし、肩の荷を下ろした碧と、頼れる人や将来のことを考え始めた空。最終回ではそれぞれの春がやってきそうだ。

次回はこちら:菅野美穂×浜辺美波「ウチの娘は、彼氏ができない!!」最終話。ラブコメディじゃなかったのか!思いがけないタイトル回収

漫画家・イラストレーター。著書に『ものするひと』『いのまま 』など。趣味は自炊。
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