菅野美穂×浜辺美波「ウチの娘は、彼氏ができない!!」8話。豊川悦司「空さんかわいいから」こういうところがモテの原因

菅野美穂主演、浜辺美波と親子役で共演する「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」。かつて“恋愛小説の女王”として一世を風靡したシングルマザーの水無瀬碧(菅野美穂)の悩みは、しっかり者でオタクの一人娘・空(浜辺美波)に彼氏ができないこと。空は生みの母と育ての母、二人の母を捨てた実の父の存在を知り、鉄拳を食らわせたいという気持ちを抱きます。そんな折、実の父の居場所を知った碧は空を連れて、逢瀬島へ向かい……。

恋愛って二人のことでしょ

空(浜辺美波)の出生の秘密は明らかになった。だが、空の父親の行方は知れない……はずだったが、前話で「ちょっと現世を忘れたくて」逢瀬島にスキューバダイビングに行っていた渉(東啓介)が会ったのが、一ノ瀬風雅(豊川悦司)だった。
そればかりか、渉は一ノ瀬が拾って売っている大きな流木を「おだや」にお土産として持ってくる。
渉がいじけている原因の空は、恋人が頼って欲しがっていることが根本からわかっていない。相変わらず、気楽に相談の電話をかける相手は入野光(岡田健史)だ。渉はとうとう入野に面と向かって宣戦布告する。
入野は「恋愛って二人のことでしょ。二人の密室の出来事ですよ 第三者はそこには入れない」と大人の対応をするが、入野の方は大人になり過ぎて気持ちを抑えていることに自分で気がついている。全員の見えている景色が違っていて、これぞ三角関係だ。「おだや」の面々がやいのやいの気を揉むのに視聴者の側も混じりたくなる。

一ノ瀬の掴めない言動

空と碧(菅野美穂)は逢瀬島に一ノ瀬を訪ねる。一ノ瀬は定まった住所を持たず、流木を削り、魚を釣って焚き火をする。渉が現世を忘れたくて行ったのもわかる浮世離れした島と住民だ。一ノ瀬は、どこまでも掴めない言動で「現世の権化」のような碧を困惑させる。まず碧のことをまったく覚えていない。空の母親の鈴のことはおそらく忘れたフリをしている。それでも「鉄拳を食らわせる」と意気込んで出かけた空とは一緒に釣りをしたりでなんとなく仲良くなってしまう。しかもサラッと「空さんかわいいから」などと言う。こういうところがモテの原因だろう。

すずらん通り「おだや」でゴンちゃん(沢村一樹)は漱石(川上洋平)と逢瀬島の流木を見ながら「いやらしい 何か いやらしい」と言い捨てる。漱石も「たい焼き作って売る方が誠実な気はしますよね」と同意する。彼らはすずらん通りという現世で生活をしている。

暗闇に手のばしてみて

空は不思議な一ノ瀬に魅力を感じている。金や家に縛られない一ノ瀬に「お金がなくても生きていけます。人がいればいいんです。自分を助けてくれる人」と言われたときに空が思い出したのは誰だろう。島に(酔っ払って眠っている元彼である漱石の胸に寝転んでみながら!)電話してきた沙織(福原遥)も空に言う。「空ちゃん。暗闇に手のばしてみて。君の手が誰かの肩に触れて安心する。それが空にとって一番必要な人だよ。」

すっかり島に取り込まれたような空とは対照的なのが、その晩に碧が見る夢だ。
かぐや姫姿で何人もの男性に求婚される空に碧は「不動産不動産、何てったって不動産よ」と言って引き止める。かぐや姫・空は魔法の絨毯で飛び去ってしまう。

朝になって碧が起きると空は夢の暗示通り、置き手紙を残して一ノ瀬とどこかへ行ってしまう。空は一番必要な人を探しに行ったのだろうか。

漫画家・イラストレーター。著書に『ものするひと』『いのまま 』など。趣味は自炊。
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