菅野美穂×浜辺美波「ウチの娘は、彼氏ができない!!」4話。漱石かっこいい「あなたの曲にも命があるように、物語にも命があります」

菅野美穂主演、浜辺美波と親子役で共演する「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」。かつて“恋愛小説の女王”として一世を風靡したシングルマザーの水無瀬碧(菅野美穂)の悩みは、しっかり者でオタクの一人娘・空(浜辺美波)に彼氏ができないこと。過去の作品の映画化が決定し、主演俳優との打ち合わせに浮かれている碧。しかし、原作の内容を変えると言われ、落ち込みます。一方、空は渉に別れを告げ、そのおかげで描けた漫画の設定画を光に見せに行ったところ……。

母ちゃんに彼氏ができない話じゃないか?

冒頭、空(浜辺美波)と碧(菅野美穂)が白衣を着てメタフィクション的に登場する。空が過去三話を振り返って「ウチの娘に彼氏ができない話じゃなくて、母ちゃんに彼氏ができない話じゃないか?」とツッコむと碧は「私は、彼氏ができない!!」とタイトルコールをしてみて「何この屈辱的なタイトル!これでは通らない局にも通らない世の中にも通らない!」と叫ぶ。いわゆる「前回までのあらすじ」的なシーンだが、ずっと作家として生き抜いてきた碧の職業的な目線とも取れる。
第4話目は碧の作家としての姿勢が描かれた回だった。

碧の方から抱きしめる

過去作が映画化され、しかも主演が自分の好きなアーティストであることを聞いて、碧は喜び勇んで会いに行く。しかし主演の悠人(赤楚衛二)は自分を目立たせるため原作とは全く違う設定にしたいと言ってくる。前の連載が打ち切りになった碧には、それを覆す力はなく、忸怩たる思いのまま帰宅する。その後出来上がった脚本はさらに酷く改変されている。碧は「ファンが泣く。私も泣く」と落ち込む。ここで、今まではいまいち碧と噛み合って見えなかった漱石(川上洋平)が俄然活躍しはじめる。金のために書いているタイプの脚本家、筧(本多力)を説得に行き、すげなく追い返されると今度は悠人に直談判しに行く。本業の音楽では上からの力によって思い通りに曲が作れない悠人は、映画の現場では「上」の立場として脚本を変えさせようとしていた。「アレンジの良し悪しは趣味じゃないと思っています。正解がある。より良いものを探すのが僕らの仕事です」「あなたの曲にも命があるように、物語にも命があります」。作家のプライドと作品をきっちり守ってくる編集者はかっこいい。最初は恋愛ものを書く参考に、と碧を抱きしめようとして腹にパンチを喰らわせた漱石を今度は碧の方から抱きしめてしまう。

あまりにピュア

空の恋愛にも動きが出てきた。前回、わざとつけ鼻毛をつけてデートにやってきた渉(東啓介)は「君に嫌われようとしたんだ」と釈明しに来る。一度は「姑息」と腹を立て悲しんで「グルグルした」空はその勢いで漫画の設定画がもりもり描けてしまう。それを見せに行った光(岡田健史)に恋愛相談までする空。その場へやってくる渉、偶然居合わせる碧、おだやの面々、と突然の全員集合(空のツッコミは「松竹新喜劇みたいな展開」)。渉の「忘れられない人」が小学三年生の時、一緒にウサギを看取った同級生であり、彼女はホッとできる場所だった、という告白に強く共感し、再度デートを申し込む空。二人ともあまりにピュアだ。そして、そのピュアさに感化された光は空への思いに気付き始めている。

次回はこちら:菅野美穂×浜辺美波「ウチの娘は、彼氏ができない!!」5話。相変わらず少し切ない岡田健史

漫画家・イラストレーター。著書に『ものするひと』『いのまま 』など。趣味は自炊。
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