産めなかったけど母になったよ!~よしもとタレント、養子縁組で母になる 10

【養子縁組コラム 10】子育ては一人でも大変!だけど、二人目の養子を迎え入れた理由

待望のわが子を特別養子縁組で迎えた吉本興業所属のタレント・女優の武内由紀子さん。初めての男の子を迎え入れてから3年が経ち、昨年4月には新たに二人目となる女の子がやって来ました。先日、正式に二児の母となった武内さん。二人目の養子を迎え入れようと思った理由とは?

telling,読者のみなさん、こんにちは!先日、娘との間にも特別養子縁組が成立し、名実とも親子になりました。息子は3歳になり、言葉が出始めています。意思が伝えられるのがうれしいようで、一時期ひっきりなしだった「キーキー声」はなくなってきました。そして娘は1歳を迎えました。息子の時と同じく、夫が作った「一升パン」を娘に背負わせてお祝いをしました。

息子の子育てだけでも大変な中、なぜ二人目を迎え入れようと思ったのか。今回はそのことについてお話ししたいと思います。

漠然と、兄弟はいた方がいいと思っていた

私は元々子どもが欲しいと思っていて、妊活の時から、子どもは何人いたらいいか、男の子か女の子かどっちがいいかなど、あれこれと想像をしていました。

私は姉がいて、夫は兄がいるので、漠然と「きょうだいはいた方がいいな」と思っていました。でも、なかなか子どもは授からず、本格的な不妊治療に切り替えた時は、「とにかく1人でもいいから」という気持ちに変わっていました。

結果的に妊娠は難しく、私たちは特別養子縁組の道へ進むことにしました。その時は、二人目の養子を迎え入れるなどという考えは、毛頭ありませんでしたね。

団体職員の人から「二人目はどう?」


でも、特別養子縁組について調べていくうちに、“養子のきょうだいがいる”ということを知ったんです。中には三人の養子を迎え入れているご夫婦もいました。「そういう人もいるんだ」と思いつつ、その時はそれ以上の感想を抱きませんでした。

そして2018年に、縁あって念願の一人目の男の子を迎え入れることになりました。0歳の息子が我が家にやってきてから数日後、あっせんしてくれた団体の職員さんから「二人目(の特別養子縁組の子ども)はどう?」って言われたんです。

考えてもみなかったことを言われて、「…いやー」って言ってしまいました(笑)。まだひとりも育てていないのに、わからないというのが正直な気持ちでした。でもその時、「二人目を受け入れてもいいんだ」っていう頭になったんです。

とはいえ、“子育て”がどんなものかわかりません。しかも養子縁組として育てるので、さらに想像がつかず。その時は、まずは息子の育児に集中したいと思いました。

「養子の姉妹」ってどんな感じ?

「二人目も」と思ったきっかけは、3年ほど前、ある女性との出会いでした。
その女性は、実子が一人いて、二人目に養子を考えているとのこと。話をする中で、彼女自身が養子として受け入れられた当事者だったということがわかりました。

そして、彼女は「妹がいる」と言うんです。その妹も養子だったので、血の繋がらない姉妹ということになります。

この時、うすうす二人目のことを考え始めていた時期だったので、彼女の方に「お互い養子の姉妹ってどんな感じ!?」と質問し、相談に乗ってもらいました。

「それは親の思い込みだと思います」

私が二人目を考えた理由は、息子に“同じ境遇のきょうだい”がいた方がいいのではと思ったからなんですね。血のつながりのない親の元に育つと、「養子ならでは」の悩みが生まれるだろうし、一人より二人の方が心強いのでは、と考えていました。

でも彼女は、妹と「血が繋がっていないこと」について話したことは、ほぼないそうです。他の姉妹と同じように、親や学校といった普通の話題ばかり。
唯一、「特別養子縁組だから」という理由で話したのは、成人してからで、「遺伝性の病気の可能性があるか分からないので、一度検査しておいたほうが良いかもね!」ということだったそうです。

「同じ境遇のきょうだいをつくってあげたほうがいいという考えは、親の思い込みだと思います」

そう彼女に言われたとき、眼から鱗が落ちました。同時に、血の繋がりがない家族を増やすのではなく、普通に、自然と「息子にきょうだいをつくってあげたい」と思ったんです。

養子同士のきょうだいが、彼女たち姉妹のような関係だったり、考え方をしたりする人ばかりではないと思います。でも、私が初めて話を聞いたのが彼女で、その話がきっかけで私は二人目を迎え入れようと思いました。それも何かの縁だと思っています。

今回、その願いが叶い、率直にとてもうれしいです。肩肘貼らずに、普通の兄妹として育てていきたいと思っています。

タレント、女優。1993年に「大阪パフォーマンスドール」としてデビュー。現在は読売テレビ『大阪ほんわかテレビ』や劇場『ルミネtheよしもと』などで活躍。2013年に7歳年下のパン職人の夫と結婚。
同志社大学文学部英文学科卒業。自動車メーカで生産管理、アパレルメーカーで店舗マネジメントを経験後、2015年にライターに転身。現在、週刊誌やウェブメディアなどで取材・執筆中。
熊本県出身。カメラマン土井武のアシスタントを経て2008年フリーランスに。 カタログ、雑誌、webなど様々な媒体で活動中。二児の母でお酒が大好き。
産まずに母になったよ!