産めなかったけど母になったよ!~よしもとタレント、養子縁組で母になる 11

【養子縁組コラム11】血のつながりのない家族。でも、「普通の家族」と変わりません

待望のわが子を特別養子縁組で迎えた吉本興業所属のタレント・女優の武内由紀子さん。初めての男の子を迎え入れてから3年が経ち、昨年4月には新たに二人目となる女の子がやって来ました。ある日突然「兄」になった息子。どのようにして妹を迎え入れたのでしょうか?言葉を少しずつ理解し始めた3歳の息子に、養子であることを伝える「真実告知」をしたことについてもつづります。

telling,読者のみなさん、こんにちは!梅雨の時期、なかなか公園に行くことができず、息子はエネルギーを持て余しています。室内に置いているジャングルジムで遊んでいて、それを見た娘も真似をしています。娘は1歳3カ月ですが、もう「ぶらさがり」をして楽しんでいます。その“やんちゃっぷり”は、息子を上回るほど!体力的にも身体的にも成長が早く、意志も強いんです。

食事の時、娘にご飯を食べさせようとしたら、見事に手を払われました(笑)。スプーンをうまく使って、1人で食べています。いまだに「食べさせて」と甘える息子とは大違い。1人目と2人目だからか、男の子と女の子だからかわからないですが、子どもによって、こんなにも違うんだなということを実感しています。

息子が自分で見つけた、ある動画

娘が我が家にやってきて1年3カ月になりました。息子はすっかりお兄ちゃんになっています。

子どもが、弟や妹ができて自分が「お兄ちゃん」や「お姉ちゃん」になる過程として、お母さんのお腹が大きくなっていったり、つわりなどでこれまでのように構ってもらえなくなったり、何かしらの「変化」がありますよね。

二人目を迎える前、新しい家族が増えることは息子に伝えていましたが、特別養子縁組の場合は、ある日突然赤ちゃんがやってくることになります。
息子が妹をちゃんと迎え入れることができるのか、そしてどんな反応をするのか、正直少し不安でした。

そんな中、息子がひとり「こどもちゃれんじ」でおなじみの「しまじろう」の動画をタブレットで熱心に見ていました。

のぞいてみると、しまじろうに妹ができるエピソード!
私はその動画を教えてないので、自分で見つけたのだと思います。

内容は、しまじろうが寝ている妹をなでてあげたり、泣いている妹に「トントン」とやさしく手を添えたりするというもの。
息子はこれが気に入ったようで、繰り返し見ていました。

妹に対して、やさしく「トントン」


そして、我が家に二人目となる女の子がやってきた日。
「お母さんが取られてしまう」と息子がパニックにならないか心配しましたが、全くそのような素振りはありませんでした。

それどころか、息子は妹に近づくなりやさしく手を添え「トントン」したのです。
それを見て、私は思わず泣いてしまって……。息子なりに妹のことを気使い、迎え入れようとしている――そんな気がしたんです。

ちなみに、そのしまじろうの動画ですが、妹が来てからはピタッと見なくなりました。不思議ですよね。息子が大きくなって話せるようになったら、このことについて聞いてみようと思います。

やさしいお兄ちゃんと天真爛漫な妹に


そんな兄妹ですが、性格は全然違います。息子はやんちゃだけど「ビビり」な面があります。近所の友達数人と公園で遊んでいる時、中には公園の外にまで飛び出て逃亡してしまう子がいますが、息子は公園からは出ません。良くいうと慎重派タイプです。

一方の娘はというと、末っ子気質で伸び伸びしているけど気は強い!お兄ちゃんのおもちゃを奪い取って、泣かせています(笑)。

将来、「やさしいお兄ちゃんと天真爛漫な妹」になってくれたらいいな、というのが母の希望です。

特別養子縁組というと、何か特別なように思われることがあるのですが・・・普段は普通の家族と変わりありません。
そんな「普通じゃないけど、普通」ということも発信していけたらいいなと思います。

息子の3歳の誕生日に「真実告知」をした

以前のコラムで、「息子が話せるようになったら告知をしよう」と話しました。息子は言葉を発するようになり、こちらが言っていることも少しずつ理解できるようになりました。先月、息子が3歳の誕生日を迎えた日、真実告知をしました。

我が家では、毎晩寝る前にその日にしたことや楽しかったことを振り返る時間をつくっています。その中で、3年前に息子が生まれたこと、そして息子のことを一生懸命産んでくれたお母さんが他にいることを伝えました。

息子はというと、「何か言っているな」という表情で、意味はわかっていないようでした。これから何かの機会のたびに伝えていき、「それってこういうこと?」などの反応が息子から出てきたら、もう少し踏み込んで話をしようと思います。

言葉の習得のスピードでいうと、娘の方が早そうです。もしかしたら、来年、娘の2歳の誕生日に真実告知をするかもしれません。まだわかりませんが、その時の状況を見て、伝える時期や方法を考えていきたいと思っています。

タレント、女優。1993年に「大阪パフォーマンスドール」としてデビュー。現在は読売テレビ『大阪ほんわかテレビ』や劇場『ルミネtheよしもと』などで活躍。2013年に7歳年下のパン職人の夫と結婚。
同志社大学文学部英文学科卒業。自動車メーカで生産管理、アパレルメーカーで店舗マネジメントを経験後、2015年にライターに転身。現在、週刊誌やウェブメディアなどで取材・執筆中。
熊本県出身。カメラマン土井武のアシスタントを経て2008年フリーランスに。 カタログ、雑誌、webなど様々な媒体で活動中。二児の母でお酒が大好き。
産まずに母になったよ!