在宅勤務でもメイクしてる? 今だから見える「よそおう理由」

「女」にまつわる執筆・取材を続けるライターで、『だから私はメイクする』を刊行した「劇団雌猫」のメンバーでもあるひらりささん。在宅勤務で直面する「ウェブ会議、メイクはどうする?」問題や、気晴らしになるおすすめ通販コスメなど、今楽しむことのできるメイクにまつわるあれこれをご紹介してくれます。

在宅勤務で浮上「メイクどうする?」問題

コロナウイルス感染拡大にともなって在宅勤務を始めてから、1ヶ月以上が経った。仕事の都合上、通勤をやめられない人もいる中、私の場合は会社の方針・自宅環境ともにかなりスムーズに在宅勤務にシフトできたので、それはとてもありがたいことだ。それでも、「選択的に自宅で働いている」のではなく「外に出てはいけないから自宅で働いている」ことのストレスは強く、同僚と話していても「悪夢を見る」だとか「微熱が断続的に出る」といった、コロナウイルスそのものではない不調の声を聞くようになってきた。私自身夜、ベッドに入っても寝られない時間が長引いてきて、眠りに落ちるのが朝3時とか4時とかになってしまっている。

いろんな人が様々なストレスを抱えながらも日常生活を続けようとしているところだが、在宅勤務に切り替えた女性たちにとって、ささやかなようで重大な悩みとなっているのが「メイクどうする?」という問題だろう。

花王が4月1日に発表した調査では、在宅勤務経験のある女性の約60パーセントが、在宅時のメイクを「勤務先にいるときより少しだけ軽め」「全くしない」にしているという。理由として挙がっていたのは「人に会わないから」「面倒だから」。会社に行く際のメイクは「社会のため」であり、在宅勤務時にはその必要がないからメイクをしない人が多いことは、とても納得できる。

増加のオンライン会議。メイクしたり、アプリで加工したり・・・

しかしそんな人であっても、「在宅だからメイクしなくていい!」と簡単に割り切れないファクターが存在している。そう、ウェブ会議だ。昨今の会議アプリはとても便利で映像の精度も高いため、顔のアップがしっかりと画面に映し出されて、メイクの有無はもちろんのこと、顔の肌ツヤも、通常以上に見られてしまう可能性がある。普通の会議だったら、お互いそんなに顔を見てないし、なんなら手元の資料に目を落としていたり、みんな俯いていたりもするというのに……。結局「会議の前に急いでメイクする」という人も多いようで、「ウェブ会議で映えるメイク」を紹介する記事も出てきているし、「ウェブ会議でメイク加工してくれるアプリ」も人気だ。

私はというと、「SnapCamera」というアプリを使っており朝、メイクが間に合わなかった場合や、施したメイクが「あんまり気分上がらないな」という場合には、その力に頼ってしまっている。

おすすめは盛れる「Cat on Head」

もちろん「わざわざアプリでフィルタをかけてまで、メイクにこだわるなんて窮屈」と思う人もいるだろう。ただでさえ在宅でストレスが溜まっている上に、そんなことで他人に気を使わないといけないなんて……という人は全然、そのままのすっぴんで参加したり、自宅回線が不安定だと言い張ってカメラを切って音声で通し切ったりする手もあるだろう。

それでも、「面倒くさいな」と思いつつも、在宅でのメイクやフィルタ使用を楽しんでいる人もいるはずだ。私もその一人だ。自宅だからこそ、通勤時間がないぶん、ゆっくり時間をかけてメイクしてみたり、オフィスだと浮きそうなずるずるしたワンピースを着てみたり、真面目な会議中SnapCameraフィルタで頭に猫を乗せて登場したりしてみている。(このフィルタ、「Cat on Head」というそのままの名前なのですが、顔もいい感じに盛ってくれておすすめです)。

周囲でも、「人目がないからこそ、派手なアイメイクできて楽しい」「シッターさんが来てくれてるから、在宅だけど子どもの世話にはマジで向いてない真っ白なワンピース着て仕事してる!」などと、メイクや身だしなみで在宅中の気分を上げているという話を聞いた。やっぱり「よそおう」ことの気分を切り替えてくれる効能は絶大であり、オフィスへの出勤や他者とのコミュニケーションなどの「区切り」がなくなっているからこそ、「よそおう」ことを通じて生活のメリハリをつけるのも一手じゃないだろうか。家にいるとなおさら「自分のため」のメイクに集中できるメリットもある。私は友達との飲み会とか誰かとのデートとかの方がやる気出るんだけどな〜という人は、オンライン飲み会・デートをしてもいいと思う。ドレスコードを決めたりしても楽しそうだ。

今こそメイクの意味を問い直そう!

そうそう、意外に「自分のため」にだったんだな、と思ったのが香水だ。においというのは人にアピールするだけでなく、自分の心身にもしっかり働きかけていて、誰に会わずとも始業前に首元や手首にひとふきする手間をかけると、脳のスイッチがしっかり切り替わる。在宅ゆえに、草花のさわやかさが恋しいせいか知らないが、Diorのオードトワレ「Miss Dior ブルーミングブーケ」が活躍している。

「社会のため」にメイクすべき圧が大幅に減っている現在だからこそ、「自分が何を求めてメイクしているか?」を問い直すいい機会かもしれない。

現在、コスメ好きの生命線の一つである百貨店のコスメフロアは、基本的に臨時休業をしているが、通販で買えるコスメはいっぱいある。しかも在宅だから、受け取りやすい! 生活必需品の流通の問題や、宅配ドライバーさんの健康の懸念はあるので、あまり無邪気に利用するのもな……とは思っているが先日、精神的に「む、無理〜〜!」となって、ずっと興味があった韓国コスメブランド「hince」の口紅をポチッとしたら、驚くほどの安寧が得られた。試しにひと塗りしてみたが、ほのかに薔薇の香りがして、とてもリラックスした。はぁ、生きてる実感がある……。

いつかまたデパコスカウンターを訪れられる日を待ち望みながら、私は自宅で自分のためのメイクを続けているのだった。

1989年東京生まれ。会社員として働く傍ら、ライター・編集者として活動。、FRaU、マイナビウーマンで連載中。オタク女子ユニット「劇団雌猫」のメンバーでもあり、編著に、『浪費図鑑』(小学館)など。
おうちで楽しく