最高に楽しいぼっち旅をしよう！台湾編

【真船佳奈】#8　九份であの映画を完全再現…「働かせてくれ」って頼んできた【ぼっち旅】

文・イラスト：真船佳奈

2019/05/02

telling,の人気連載「“親指レディ”OLサム子」の作者にして現役テレビ局員の真船佳奈さん。前回、NYへ一人旅した珍道中をつづり大バズした「ぼっち旅」の第2弾です。コスプレ大好き真船先生。台湾の人気スポット九份でふざけ倒します。

●最高に楽しいぼっち旅をしよう！　台湾編

気づいたらミニスカポリスの格好で磯●水産にいた

突然だが、私はすごくコスプレが好きだ。

その性癖に気づいたのは今から4年前の10月31日。
当時の私は、ハロウィンで浮かれる若者たちの悪口を肴に酒をあおっていた。「あいつらは本当にハロウィンの歴史的背景を知らない」などと急にハロウィン普及協会員のような口ぶりで批判をしていた（私も知らない）。

そしていつものことだがここからブッツリと記憶が途絶え、気がついた時には磯丸水産にいた。私は何故か警官のコスプレをしており、周りには食い散らかされたカニミソ甲羅焼きの残骸が散らばっていた。恐る恐る七輪越しに見た友人の目は完全に死んでいた。

どうやら私は内心、ハロウィンを謳歌する若者たちが羨ましくて仕方なく、ドン・キホーテに駆け込んで衣装を調達。しかしハロウィンの楽しみ方がわからず、とりあえず磯丸水産で狂ったようにカニミソを舐めていたようなのだ。そんな地獄みたいに苦しいイベントある？もう逮捕してやってくれよお願いだ。
ちなみにこの時飲んでいた友人とは今日まで一度も会っていないが、彼女がこの地獄のハロウィンのPTSDから立ち直って元気に暮らしていることを願っている。

こうして抑圧された「コスプレ欲」に気づいてしまったわけだが、なかなかその欲を発散する場がない。結局ハロウィンで仮装をしたのも、先述の一度きりだ。
長年続けてきたサラリーマン生活が私にストップをかけているのか、あるいは生まれ持った根暗性質か。

そして半年前のニューヨーク旅行の際、再び私のストッパーが全解除された。

多分、外れちゃいけないストッパーだった。海外の風は、時々私を自由にさせすぎる。
自由の国NYでさえも周りから可哀想な目で見られたが、私は満足だった。
今回の台湾でも、やってやろうじゃないの。

アレの神隠しに、俺はなる！

前置きが長くなったが、今回再現する映画はこちら。

あれだよ。あれ。

アレの神隠しです。
ジブリの映画の中でもファン多し。小学生の少女千尋がひょんなことから不思議の世界に迷い込み、そこで働き成長していくという物語。生きる上での教訓が多く含まれる名作映画のこちら。舞台は九份ではないらしいけれど、それでもノスタルジックな雰囲気はぴったりだから、かこつけて再現したい〜！

というわけで仮面（プレーン）を購入。
これだけの名作映画ともなるとコスプレグッズ一式売っているんだが、それだと愛がないからね！作ってワクワク～！

使用するのは水にも強く速乾性のあるアクリル絵の具。
絵画を本格的に学びたいと思った時に買ったものだが、こんな用途で使う日が来るとは……。人生ってわからない！

間違いなく他の旅行者の予定には含まれていない「準備」の時間である。

あっという間にアレが完成！

プレーン仮面は5個も入っていたので、他の仲間たちも作っていく。

ひよこの形したアレとか

「砂金だ！オイラにくれるのかい？」とか言ってたあいつとか

釜じ……松山千春さんとか

あっという間に呪いの儀式に使われそうな仮面たちが完成！

主役の衣装もアマゾンで「割烹着　ピンク」でググって購入。
襷用の帯紐も忘れずにね……。

朝7時に「アレ」になる……

当日。九份は台湾屈指の人気スポットのため、日中はいつも大混雑。
そのため今回の撮影は、朝7時に行った。朝7時。

早速用意した衣装に着替える。
それがこちら！！！（ドドン）

はい、イラッシャーセーーーーーーーーーーーー！！！！

ここで働かせてくださーーーーーーーーい

顎が使い古された職人の親指みたいになってっけど

働かせてくださーーーーーーい！！！！

29年も生きてきたのに、ポーズのレパートリーが3種類くらいしかない。

ここら辺で韓国のツアー団体が来て焦り出す。

ゲコゲコ！

砂金だ砂金だあ！

松山千春さんもとい釜爺の写真撮影。

坊と遊んでくれないと泣いちゃうんだぞお……

泣いちゃうんだぞ……

千を出せえ！

元カレにもらったぬいぐるみを片手にポーズ

ちなみに手に持っているのはネズミになった坊という設定のぬいぐるみである。オーストラリアの動物、ウォンバットちゃん。
元彼にもらったやつ。どうして別れちゃったかなあ……不思議だよ！

階段下で撮影してたら、すごい勢いで犬が目をそらしてた

数々の観光客を見守ってきたであろう看板犬のこの表情。

おかあさ————ん！今まで育ててくれてありがとうーーーー！
私はこんな風に成長しましたーーーー！と叫びたくなる地獄の集合写真ができた。
こんなのが全員「ここで働かせてください」って、どこの地獄のハローワーク？

……早朝の九份、オススメだお

ちなみに今この原稿をカフェで書いているわけだが、
アイパッドで加工した上記の集合写真をairdropでパソコンに送信しようとしたところ、誤って知らない人のiPhoneに送信してしまう事例が発生したことを結びに書いて終わろうと思う。
早朝の九份はそれはそれで雰囲気があって素敵だったので、ぜひ。
この流れでオススメしても全然話入ってこないだろうけど、ぜひ。

* * * * *
こんな友達が欲しかった。もうめちゃくちゃだよアンタ！

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