最高に楽しいぼっち旅をしよう!台湾編

【真船佳奈】#7 台湾で人生初・SPA体験をしてみた【ぼっち旅】

telling,の人気連載「“親指レディ”OLサム子」の作者にして現役テレビ局員の真船佳奈さん。前回、NYへ一人旅した珍道中をつづり大バズした「ぼっち旅」の第2弾です。 極上のスパ体験でも真船節が炸裂です。

●最高に楽しいぼっち旅をしよう!台湾編

心を癒やしに地上の楽園へ

前回台湾ビューティーを体験して、結果全然モテなくて爆死して星になった。
そんな私を癒してくれる場所に心当たりがあった。
地上の楽園と名高い「スパ」たる場所である…!

日本にも「スパ」はあるが、私のこれまでの印象は、
「美男美女カップルがバリ風の女性にオイルを垂らしてもらったり、あったかい石を置いてもらって遊ぶ高級店」であった。
つまり、何をするかはよくわからないけど、めっちゃ羨ましい殿上人の世界。

ところが、台湾のガイドブックには必ずと言っていいほど「スパ」の案内がある。私御用達の60分2980円揉みほぐしとは一線を画しているものの、値段も1〜2万円とお手頃でなんとか頑張れば手が届きそう。

思えば台湾に来てから蚊に目を刺されたり、目に直接ムヒを塗って「ぐああああ、目が、目があ……!」状態になったりと、とにかく辛い目にあってきた。目だけに。
そろそろ清水の舞台から飛び降りて、スパとやらで私も体に油を垂らしてもらったりなんだりしようじゃないの。自分へのご褒美じゃ!

よみがえりてぇんじゃ……

というわけでやってきたのは、台北101ビルの近くにある「Sparkle」さん。

入り口からしてとっても素敵だったのだけれど、いい匂いがしてきて緊張してしまい、写真の水平さえ取れていない。そう、私はおしゃれな匂いのするおしゃれなお店恐怖症。アロマの香りを「ダサい人間を寄せ付けないための結界」だと思っている節がある。

綺麗なお姉さんが出迎えてくれて、コースの説明をしてくれる。
英語での対応だったが、見せてくれるメニュー表は日本語表記なので安心。
(日本語対応スタッフがいる時もあるらしい)
「旅人のリフレッシュ蘇りコース」というコースがあったので(蘇りてえんじゃ、わしは……)とオロオロそちらを指差す。

早速スパゾーンへ。スチーム完備のシャワーブースに、まるで「高級」という単語で編まれたかのような、しっかりとしたバスローブ。

基礎化粧品はもちろん、コンタクトの洗浄液やケースも完備。
そしてロッカー近くには、小型サウナが……!

写真ド下手か!
そして大本命の施術ルームがこちら。

布団が乱れているのは施述後に「やべー写真取ってねえわ」と気づいてすっぽんぽんのまま撮影したからだ。

エッロ!おしゃれ!おしゃエロ!

そして、ベッドの横に夜景の見える窓……そしてジャグジーバスタブが!
エッロ!!!いーけないんだいけないんだ!セーンセーに言ってやろ!

「大事な具がモロ見えやないか!」と叫びたくなる、ほぼヒモみたいな紙パンツのみを身につけて、ドキドキしながらベッドに横たわる。
「お忍びデート」で報道されていたあの女優さんもあの俳優さんもこのヒモみたいなパンツを履いていたんだろうか。

背中が広すぎて追加料金が不安になる

風俗店待合室にいるオッサンみたいな顔をしながら(いや見たことないけど)待つこと1分。
スタッフのお姉さんがやってきて、体にオイルを塗ってくれた。
オイルといってもサラダ油じゃない。すごくいい匂いのする、高そうなオイルをマシュマロマンみたいに膨らんだ私の身体に塗りたくってくれる。

本来なら既に「あー気持ちいい★」ってなるんだろうが私は緊張で汗をかいてきた。
背中広すぎて追加料金を取られるんじゃないかと気が気じゃない。

その後はリンパに沿ってマッサージをしてくれる。オイルで指や腕を滑らせてグリグリ体を揉んでくれて、それはそれは気持ちいい。
しかし気持ちよすぎて別の問題が出てくる。
エロ漫画みたいなアヘ声が出そうになるのだ。施術前にニンニクたっぷりの激臭ジャージャー麺を食べてきてしまったので、地獄みたいな口臭とともに「はあ〜ん」なんて喘いでしまった日には終わりだ。
こうして70分近くの間「一人喘ぎ声我慢選手権」という需要のないエロイベントを開催し、誰にも知られずひっそりと幕を閉じた。

湯船でいただくティーセットとホットサンド

マッサージ後、お姉さんから、「この後40分間、好きにスパを使ってね」と言われる。
このおしゃ空間を自由に使え……だと?
すっぽんぽんのまま一人放置され、オロオロする私。
とりあえずおしゃれな浴槽に体を沈めようとするも、「どこかで監視されているんではないか」という謎の恐怖感に震える。

人はあまりの幸福を前にすると臆病になるというが、私はいいことがあると「ドッキリなんじゃないか」と思ってしまうきらいがある。今回も裸ではしゃいでいるところに「ドッキリ大成功」の看板を持った人が入ってこないか無意識にカメラを探していた。

デブ女が裸でうろたえている様子なんて視聴率0パーセントなのはわかりきっているのに どうしてそんな妄想をしてしまうんだろう

ビクビクしながら浴槽に浸かり、今後40分の使い道を考えていたら、ガチャリとドアが開いた。「ドッキリ大成功」の看板かと震え上がったが、お姉さんがおしゃれなティーセットとホットサンドを持ってやってきただけだった。彼女はそのおしゃれなティーセットを、浴槽のふちに置いた。

え……こちらでお召し上がりでしょうか?と私の方が聞きたくなる。

湯に浸かりながら食べるの?ホットサンドを?そんなティーパーティ-、どこの不思議の国で開催されているの?

動揺しすぎて写真もぶれぶれである。
こうして人生初・すっぽんぽんで湯に浸かりながら食べたホットサンドはめちゃくちゃ美味しかった。美味しかったというか、なぜか非常に興奮した。

結論:こりゃあ、お忍びデートに使われるわ。(偏見)

* * * * *
次回、「ぼっち旅」の真骨頂、真船先生のガチンココスプレの時間だよ!
九份でなりきるのは……

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テレビ東京社員(現在BSテレ東 編成部出向中)。AD時代の経験談を『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組作ってます』(朝日新聞出版)にまとめ、2017年に漫画家デビュー。ツイッターアカウントは@mafune_kana
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