最高に楽しいぼっち旅をしよう!台湾編

【真船佳奈】#2  憧れの高級ホテルに激安ステイするも呪いの罠にかかる〈後編〉【ぼっち旅】

telling,の人気連載「“親指レディ”OLサム子」の作者にして現役テレビ局員の真船佳奈さん。前回NYへの珍道中をつづり大バズした「ぼっち旅」の第2弾です。今回真船先生の餌食(?)となった土地は台湾。ステキなホテルを満喫し、朝を迎えると……大事件が発生しました。

●最高に楽しいぼっち旅をしよう! 台湾編

豪華ホテルで最高の眠りについた翌日、事件発生

<あらすじ>
「東京カレンダー」に出てくるような素敵ホテルに泊まりたい!という夢を台湾で叶えた筆者。ルームサービスのフルーツに舌鼓を打ち、ふかふかのキングベッドに横たわり最高の夢を見ていたが……。

* * * * *

朝、強烈な目の違和感とともに起床。
鏡を見て「なんじゃこりゃああああああああ!」とマジで松田優作ばりの声が出た。

目が…目がア…!!!
寝てる間にカツアゲにでもあってボコボコにされたんだろうか。

飛行機で撮ったキメキメの自撮り写真と、翌日の写真を見比べるとよくわかる。
そう、一夜にして浮世絵でびいどろ吹いてそうな顔に変化してしまったのだ。

脳裏に響き渡るびいどろ音(こんな音しないけど)。吹いたっけ……びいどろ吹いたっけ……という謎の記憶捜査をする。

「よく見たらアゴもないぞ!大変だ顔が変わっちまった!」と慌てたが、よく考えたらアゴはもともとなかった。顎が腫れればいいのに!人生はいつもうまくいかないよ!

キングベッドに散るマツエク

寝ている間に目をこすったらしくマツエクも全て消え果て、キングベッドに散っていた。こんなにデカいベッドの荒野に散られたら、拾いようもない。
せっかく美容院に行き、マツエクも完備して、なんならカメラも新調しちまったのに……!捜査本部のボードに貼られる被害者の写真みたいな自撮りを撮るために一眼レフ買ったんじゃないんだよ!

思い当たる節を必死に自分に問う。真っ先に花粉アレルギーが疑われたが、台湾には花粉症はない。
次に疑われたのが、食物アレルギー。そして食べたものは……。

名探偵真船は完全に犯人がわかった。フルーツだ。
今までフルーツでアレルギーになったことは一度もないが、「日本昔ばなし」的セオリーでいうと、どう考えてもあのフルーツは罠だったのだ。真実はいつも一つ~!

この日は朝から食いまくりツアーに行く予定だったが、急遽行き場所を病院に変更。今は症状が顔の腫れだけだが、さらなるアレルギーが出て呼吸器や心臓に問題が出てきたらシャレにならない。

現地の病院へ

ホテルの日本語対応スタッフに事情を説明し、病院を探してもらう。
この時に初めて、「4.5つ星ホテルに泊まっててよかった〜」と実感した。
「吉田類の酒場放浪記見られるやった〜!」じゃないんだよ。こういう緊急時に日本語がネイティブレベルにできるスタッフが常駐しているかどうかが真価なわけですよ。

とはいえ世間は土曜日。日本と同様、台湾の病院も休日は緊急外来しかやっておらず、日本語のできる医者がいない。ホテルスタッフに通訳してもらってあらかじめ病院側に症状を伝え、現地の病院に行くことにした。

やってきたのはデカい病院。

あらかじめ症状をホテルスタッフが伝えてくれていたおかげで、病院に着いた途端、日本語指差し表みたいなのを出してくれた。
「かゆい」「痛い」などの単語を指差して症状をあらためて伝える。

お医者さんは若くてイケメンの先生。診察は英語で行われた。
非常にわかりやすい英語で「原因で思い当たることはありますか?」と話してくれたので、私はドヤ顔で「メイビー、キウイフルーツ、アレルギー」と答え、フルーツの写真を見せた。ついでに(どのくらい食ったかも見せたほうがいいか)と思い、あの汚い食い跡の写真も見せた。

わけわからん日本人からわけわからん汚い写真を見せられて、お医者さんはちょっと戸惑っていたが、その後肩に注射をしてくれて、薬を処方してくれた。

処方箋と袋が一体になっててめっちゃデカい。

早速薬を飲み、ホテルに戻って氷で目を冷やして寝た。

ホテルの横にあってよかったセブンイレブン。
こうして目を冷やし続け1時間、巨大な布団で寝ているうちに、少し腫れも引いてきたので午後から食べまくりツアーに行くことができた。

ゴリゴリの厚化粧してビューティープラスで加工したらびいどろ感は軽減された。

衝撃の真犯人

こうして、「台湾の甘い罠」にかかってしまったわけだが、その後母に一連の出来事を話していたら、衝撃の事実がわかった。
「あんた、最近もキウイ食べてたじゃない。小さい頃からアレルギー出たことないわよ」
キウイフルーツアレルギーじゃなかった。
キウイ最近いつ食べたっけって思い出せないけど、確かに、キウイダイエットとかしてたわ。

あんなに悪者にしていたのに、キウイ、犯人じゃなかった。
めっちゃ冤罪だった。ごめんキウイ。真実は一つとは限らない~!

じゃあ何だったのかと思い起こしてみたところ、診察中のお医者さんが言っていた単語が脳裏に浮かんできた。
「モスキート?」と。
モスキート=蚊。そういえば、ホテルの窓を開けて寝てしまい、ぷーんって音がしていたような。
台湾の蚊は日本の10倍くらい強くて腫れるとは聞いていた。でも、そんなピンポイントで両まぶた刺したりしなくない?

いや全然刺されてたわ。
確認しただけで8箇所は刺されてた。蚊に血をカツアゲされてた。そんな二重撲滅委員会の蚊、いる?

その後薬局でムヒとヒルドイドを買ってまぶたに塗布していたら、少しずつ腫れは引いていったとさ。
みなさんも、台湾の蚊にはマジでお気をつけて。
備え付けのフルーツは、罠じゃないんで安心して食べて。

* * * * *
いろいろ持ってるすぎて最高なんですが、なぜ窓を開けて寝たんだろう……。
次回はポップに台湾グルメ食べまくり編です!

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テレビ東京社員(現在BSテレ東 編成部出向中)。AD時代の経験談を『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組作ってます』(朝日新聞出版)にまとめ、2017年に漫画家デビュー。ツイッターアカウントは@mafune_kana
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