編集部コラム

西野カナさんは、働く私の味方だった

活動休止を発表した西野カナさん。カナさんの大ファンというtelling,編集部員(32)が、「カナやんの世界観を求めてるのは、中高生だけではない!」と思いを綴りました。

●編集部コラム

いつだって車の中はカナやんだった

西野カナさん、カナやんのファンというと、恋愛できゅんきゅんしている中高生なんでしょ……と思っている方も多いのでは。でも、カナやんの世界観に救われたのは彼女たちだけではありません。

仕事ばかりをしている、恋愛なんてとんとご無沙汰だぜという、オーバー30の私もその1人です。

20代。多くの女性が「彼氏と結婚したいな」「いつプロポーズしてもらえるのかな」と恋バナしている頃。私はわけがわからないくらい仕事をしていた。お酒の席も、仕事相手との会合が多く、恋愛よりも仕事の話をする機会の方が多かった。

同世代の女性の悩みを聞くことも、自分が恋愛をすることもほとんどなかった。
人間の三大欲求につながる「恋愛」を、私はどこかで求めていたのかもしれない。

私の車の中ではいつも、カナやんが流れていた。

「脳みそではなく子宮で動く」という価値観

会いたくて会いたくて、会いたくて震えるほど会いたくなるってことがあると知ったり、もう好きじゃない、もう好きじゃない、でも本当はまだわからない、って言ったそばから変わっちゃうくらい女の子の心は移り気なんだなと知ったり、もし運命の人がいるのなら今は寄り道してるのかなあと、妄想してみたり。

恋愛の「平均値」や「ふつう」がわからないから、カナやんを聞いてチューニングする。多くの女子たちの共感を呼ぶ「恋」とやらを自分の中にとりこむ。

色気のない生活の中にいる私の、卵巣を刺激して生理をおこしてくれていたのはカナやんだったと言っても過言ではありません(医学的根拠はゼロです)。脳みそであーだこーだ考えるより、たまには子宮で動いてみてもいいよね、と。

主語「私」で生きること

仕事をしていると、自分が主語になることが少ない。「会社が」「上司が」「取引先が」などなどなど。そんな中でカナやんの「私が」こうしてほしい、「私が」こうしたい、とストレートに発信する歌詞に、はっとさせられた。媚びているようで、完全に自分が相手を転がしている。そして、自分すらも自分に翻弄されているという(笑)。

ある意味、とてもフェミニストなんだよな。女性のための、恋愛。私のための、恋愛。それはとてもすがすがしい。女性主体の恋愛の醍醐味がぎゅっと凝縮されているような気がする。

カナやん、グレーな毎日を送る私に、どピンクな恋愛体験を見せてくれてありがとう。カナやんの新しい曲が聴けないのは本当に寂しいし、なんならそのせいで私の子宮は退化する気すらするけども(医学的根拠はゼロです)、カナやんなしでも恋愛脳を自分の中に取り込めるように頑張るね。

ぜひ、また帰ってきて、「30代もお前らの子宮を刺激してやんぜ!」っていう歌を歌ってほしいです。待ってます。私の猛烈仕事時期を支えてくれてありがとう。

telling,の妹媒体?「かがみよかがみ」編集長。telling,に立ち上げからかかわる初期メン。2009年朝日新聞入社。「全ての人を満足させようと思ったら、一人も熱狂させられない」という感じで生きていこうと思っています。
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