私らしい“結婚”

お見合いアプリは結婚への近道? 経験者が語る「スペック」より大切なもの

「お見合いアプリ」って実際どうなの?合コンや紹介、異業種交流会という名のパーティーにも参加したが、行けば行くほど気疲れした。「お見合いアプリ」は自分のこだわりで相手を検索できるメリットがある反面、お互い得体のしれない者同士という不安もある。アプリ知り合って1年で婚約・結婚した『アプリ婚』の著者・新里碧(34)さんにお話をうかがった。

●私らしい“結婚”

年齢、年収、趣味……自分のこだわりで相手を選べる

――新里さんは、お見合いアプリのメリットとデメリットは何だと思いますか?他の婚活と比べてどう違いますか?

新里碧(以下、新里): 合コンは何度も参加しましたが、3時間くらい薄い話をして、適当に笑って時間が過ぎるだけ。異業種交流会という謎の立食パーティーでは、ワンピースを着て髪の毛ユルフワの、“ザ・婚活!!”モードの女性たちと、その周りをギラギラした男性達が取り囲む光景に気後れして帰りました。

その点、お見合いアプリは凄く良かったです!! まず、メリットはプロフィールにフィルタをかけられるところ。年収や職業の他に、年齢は自分より5つ上までとか、東京在住であること、趣味が自分と同じことなど、自分のこだわりでアプローチする相手を選べて手っ取り早いんです。合コンに何回行っても、趣味が合う人ってなかなか見つからないですし。

あと、アプリだとお互いのタイミングで合う場所も時間も決められます。仕事が多忙な私でも、急に時間が空いた時に連絡して、そのまま会ったこともありますね。

デメリットは、一部には婚活目的ではない人もいるように感じられること。カラダ目的の人や、価値観が合わない人からしつこく言い寄られたという話も聞きます。自分ですべて判断するので、危機管理能力は必要ですね。

――メッセージのやりとりだけでもある程度人柄が出るとも聞きますが、実際どうでしたか。

新里: 私の場合、メールの頻度があまりに多いと、つき合ったら疲れそうだなと感じるし、一方的に「今日のランチはパスタ」とか「眠い」など、こちらが求めていない“俺通信”を送りつけてくる人も返信に困ります。またある人からは、ひたすら仕事の愚痴メールを送られて、私は“スナックのママ”か?と思ったこともありました……。

友達の数もチェックしましたね。もしおつき合いすることになったら、お互いに友達を紹介し合いたいと思っていたので、そういったイメージが出来る人はいいなと思いました。

プロフィールがハイスペックでも……

――実際会ってみたら、メールの印象と違ったことはありましたか?

新里:  8人くらい会いましたが、メールではクールな感じなのに、会ってみたらふんわり男子の印象でイメージとのギャップに驚いたこともありましたし、ランチしながら会う約束をしたのに、会って15分くらいで帰られてしまったこともありました。

実は夫と知り合う前に、アプリで出会った彼氏がいたんですよ。1年半位つき合いましたが、プロフィール的にはイケメンの高学歴でハイスペック。しかし、つき合いが始まっても、彼はアプリを退会することを拒否。一緒にいても振り回されることが多かったんです。あまりに想像を逸脱することが多かったので、“宇宙人”と思っていましたけどね。

そもそも、今思えば、つき合う当初から合わないと分かっていたんです。でも、3年ぶりの彼氏だったこともあり、自分を騙し騙し歩み寄りましたがダメでした。それ以降、ハイスペックな人には注意するようになって、医者や弁護士の方からイイネ!が来ても、はじくようにしちゃいました。

――肩書や見た目がハイスペックでも人柄がハイスペックとは限らないということですね。旦那さんとの出会いはいかがでしたか?

新里: メール開始から2週間くらいで実際に会いましたが、メールの頻度も3日に1回くらいでほとんどお互いを知らない状態でした。

第一印象は“笑わない人”。結婚したらこの人と一緒に笑わない人生を共有するのかと思ったら、次も積極的に会いたいなぁとはならなくて。でも、後日彼が話していたYouTube動画を検索してみたら、ピカピカの笑顔の彼がいて。あれ?意外とこの人仲良くなったら面白いのかも?と印象が変わったんです。

そもそも、彼の本質的なところはまだ知らないし、次も会うことにしました。2回目は彼の服装もカジュアルに変わり、自然な笑顔。初回の緊張がお互いに解けて、一緒にいて楽しかったですね。その後おつき合いすることになり、結婚となりました。今思えば、2回目に会ったときがターニングポイントだったと思います。

彼の目の前で、二人同時にお見合いアプリを退会

――結婚を視野に入れたとき、アプリから始まった恋愛ならではの苦労などはありましたか?

新里: 元々、得体が知れない者同士という不安要素がありました。まずはお互いの友達を紹介し合ったり、目の前で2人同時にアプリを退会したりと、一つ一つ不安を払拭させていきましたね。
アプリで知り合ってから3カ月後には結婚話が出て、出会ってから結婚までのスピードは速かったです。
あの時、アプリを使って動き続けたことが本当に良かったと思います。

  • 【取材後記】
    「出会い系」とは違う「お見合いアプリ」や「婚活アプリ」と呼ばれるジャンルが確立してきて、ネットを使った婚活への世間のイメージもグンと明るくなった。
  • 新里碧(にっさと・みどり)さん プロフィール
    取材漫画家/イラストレーター/アーティスト
    1984年東京生まれ。2006年、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業。外資系広告代理店勤務を経て、現在はフリーランスとして活動。

書名:『アプリ婚 お見合いアプリで出会って1年で婚約→結婚しました』

著者:新里碧

出版社:小学館

取材協力:株式会社ネットマーケティング(婚活・恋活アプリ『Omiai』)

東京生まれ。千葉育ち。理学療法士として医療現場で10数年以上働いたのち、フリーライターとして活動。WEBメディアを中心に、医療、ライフスタイル、恋愛婚活、エンタメ記事を執筆。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。
婚活をナナメから