知念美加子の「MY LIFE, MY CLOSET」03

毎日必ずやってくる「明日、なに着よう?」へのヒント

女性誌「ViVi」などで活躍中のスタイリスト知念美加子さんにとって、ファッションは「自分自身を高めてくれる日常」。その日、見た・感じた・聞いたことから感じたインスピレーションをファッションに反映するそうです。知念さんのファッションのルーツを知るべく、頭の中をのぞいてみました。

●MY LIFE, MY CLOSET 03 ファッション×迷い

靴から決める

翌日のコーディネートの悩みは、生きている限り誰にでもつきまとうものですよね。私は寝る前に、次の日に着る服を決めます。最初に靴を決めて、それに合う洋服を、という順番。

「明日はたくさん歩く日だな」とか「ラグジュアリーな場所に行く予定」など、目的やスケジュールに合わせて靴を決めてから、逆算してどんどん洋服を決めていきます。

仕事では、靴の企画でなければ靴から決めるということはないので、そこは仕事とプライベートでの「コーディネート」の違いの一つかな。

「いいね!」に敏感になる

自分になにが似合うのかわからない、という相談もよく受けます。

自分を知るという意味では周りの意見はやっぱり大事。自分が思うのとは違う見え方をしていたり、自分では気づいていない部分を周りは知っているとことも多いから。日本人はあまり直接的に「それ、似合わないよ」とは言わないと思うので、逆に「それいいね!」という言葉に敏感になるようにしています。

特定の誰かの意見を参考にしなくても良くて、褒められた「割合」だけ覚えておく。「今日1日、すごく褒められたなぁ。何が良かったんだろう?」とか、「前にも着てたものなのになんで今日は人から言われたんだろう?」とか。

予想外の大反響があったメイク、実は…。

先日インスタグラムで、自分の普段の好みとは少し違った趣向のデートコーディネートとヘアメイクをアップしました。それは、自分としては実際のキャラクターと違いすぎてむしろ「面白い」という感覚で。せっかくなのでちょっとぶりっ子な表情でキャラクターを作って撮ったものなのですが、反応は意外にもすごく好評。「可愛い」「真似しました」というコメントを頂きました。

自分が本当に着たいもの、とは違うジャンルですが、ここまで褒められたら、今度プライベートでも取り入れてみようかな?という心境の変化がありました。

知念さん提供

「意外な自分」は褒めてもらえる

私はスタイリストになる前から意外性にチャレンジすることが好きだったように思います。意識的に意外性を作るために、いつもは選ばない服を選ぶ、普段は買わないような色や形に冒険してみる。

すべてを大きく変える必要はありません。

たとえばいつも革ジャンにデニムのようなハードなコーディネートが好きな人が、突然全身フリフリのレースの服を買ってみなくてもいい。一点だけ、いつもはTシャツを合わせている所にレースを持ってきてみる。それだけで幅がグッと広がります。「意外な自分」は人に褒めてもらえることも多い気がします。

着慣れない色や柄を身につけると、はじめはソワソワするかもしれません。でも、周りはそのギャップに反応してくれるはず。そしてきっと、その反応は自分が思っているよりもずっと良い意見が多いと思いますよ。

「明日も今日と同じような服装だなぁ」。そんなとき、自分がちょっとだけドキドキするような範囲の中で、新しいものを取り入れてみる。「明日なに着よう?」が、憂鬱なものから楽しいものになるかもしれません。

続きの記事<下着は総レース、そのわけは>はこちら

1987年、那覇市生まれ。スタイリストのアシスタントを2年経験し、2011年に独立。雑誌「ViVi」を中心に活動する人気スタイリスト。
大学卒業後、芸能事務所のマネージャーとして俳優・アイドル・漫画家や作家などのマネージメントを行う。その後、未経験からフリーライターの道へ。