リーマントラベラーの行き当たりばったり旅のススメ/フィリピン・セブ島(後編)
●働きながら世界一周!? リーマントラベラーが教える旅達人への道 14
夜のダウンタウンに舞い戻る
太陽が沈みかけた頃、僕はまたダウンタウンに戻ってきました。あのレストランでの出来事以上のドラマを期待しながら。
夜になると、街には昼以上に多くの人が集まり、露店にはニセモノのブランドバッグなども追加され、怪しさがさらに増しました。人混みをかき分け、とりあえず僕は昼に訪れたレストランを目指します。そのレストランまであと100mばかりのところで、突然謎の集団に出くわしました。
謎の行列に遭遇!
車道を練り歩く、数百人を越える思われる大行列。楽器を演奏する人もいれば、なにかを叫ぶ人もいます。デモか何かでしょうか。道行く地元の人々も、僕と同様にその光景をスマートフォンで撮影したりしています。
「これは何かおもしろいことが起こるかもしれない……!」
僕のレーダーが反応したので、直感に従って謎の行列の一番後ろにこっそり入ってみることにしました。
最後尾からは、もう先頭は見えません。先頭の様子が気になりつつ写真撮影をしていると、一番後ろで交通整理をしていた警察のおじさんと仲良くなりました。その人と話していると、これはお祭りだというではありませんか。(後ろからは全くそんな風に見えない!)僕が疑うような顔をしていると、そのおじさんは、僕を列の先頭まで案内してくれると言い出しました。彼に従って列の先頭に行くと、本当にお神輿のようなものがありました。それを引く人たちも僕を快く受け入れてくれて、そのまま写真まで撮らせてくれました。
そんなことをしているうちに、現地の人たちと打ち解けていた僕。いつの間にか、行列の目的地となっていた広場に着きました。彼らの住んでいるのは、スラム街のような地域。狭いエリアに無理やり建てられた住居に、ぎゅうぎゅうで住んでいるようでした。しかしながら彼らは、突然(というか勝手に)列に紛れ込んだ僕も温かく迎え入れてくれました。
「うちでご飯を食べていかないか」についていったら…
広場では、ボロボロのスピーカーから爆音でEDMが流れ、子どもたちが踊っています。10人も入れるかどうか分からない小さな教会では、女の子たちが綺麗なお祭り用の衣装を着て談笑しています。
そんな様子を驚きながら見ていると、先ほどの警察のおじさんが戻ってきて、こんな提案をしてきました。
「うちでご飯を食べていかないか」
ちょうどお腹も空いていたので、ありがたくその申し出を受けることにしました。とはいえ、スラム街での食事。失礼な話ですが、全く期待はしていませんでした。
電球もない真っ暗の階段を上り、二階にあるおじさんの家へ。中に入ると、おばさんが料理をつくっておじさんの帰りを待っていました。それに加えて、息子夫婦とその子どももいます。おじさんが到着して、僕をみんなに紹介すると、おばさんが料理を取りに奥のキッチンへ。運んできたのは……まさかの、子豚の丸焼きでした。
実はこの日はこの地域の一年で一度のお祭りの日だったらしく、この日ばかりは豪勢な食事をするとのこと。それで用意されたのがこの子豚の丸焼きだったのです。まさかのスラム街に迷い込んで、こんなものまでご馳走になるとは、想像もしていませんでした。この旅の中でも格別に美味しくて、楽しい食事の時間でした。
食事をすませてお礼を伝えると、「また来てくれ」とみんなが言ってくれました。おじさんは親切にもタクシーが止まるエリアまで送ってくれ、僕はスラム街を後にしました。
フィリピンのセブ島で、ローカルの人が集まるエリアを散策して、お祭りに遭遇して、そのままスラム街に迷い込み、まさかスラム街で豚の丸焼きをご馳走になるなんて、誰が想像したでしょうか。こんなハプニングに出会えるからこそ、僕は予定を決めません。おもしろいことが起こっていたら、そちらにすぐに行けるように、常に心に余裕を持って旅をするようにしています。
あなたも次の旅は思い切って予定を決めず、自分だけのオリジナル旅をしてみるのはいかがでしょうか。きっと素晴らしい出会いが待っていますよ。
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