リーマントラベラーの行き当たりばったり旅のススメ/フィリピン・セブ島(前編)
●働きながら世界一周!? リーマントラベラーが教える旅達人への道 13
2017年9月。僕はフィリピンのセブ島を訪れました。セブ島と言えば、日本から直行便も出ている日本人にもお馴染みの定番リゾート地。僕は、サウジアラビアにサッカー日本代表の試合観戦に行った帰りに、マニラ経由のフライトだったこともあり、3日間だけセブ島に滞在しました。
魅力的な響き「ダウンタウン」
初日は海を眺めながらのんびり過ごしましたが、1人旅でしたしすぐに飽きてしまいました。翌日はローカルの人が暮らすエリアを散策したいと思い立ちました。とはいえ、日本からガイドブックを持って行っておらず、事前に下調べも一切していません。ホテルの人に地元の人が集まる場所を聞いて教えられたのは、ダウンタウンでした。
ダウンタウン。どこの国に行っても、その響きに僕は、一瞬にして心を惹かれます。地元の人が集まり、人々の営みが垣間見え、そしてその分、たまに治安も悪かったりして、観光客からすると少しミステリアス……。有名な世界遺産よりも、現地の人の暮らしに興味がある僕にとって、とても魅力的な観光スポットです。
セブ島にもダウンタウンがあるんだ。胸を高鳴らせていると、ホテルの従業員がこう付け加えました。
「少し危ないから気をつけなさい」
え?セブ島も危ないの?定番の観光地で、リゾートエリアからさほど離れていないダウンタウンが危ないなんてことあるのでしょうか。そんなことを思いながらも、忠告に従い、僕は明るい時間にダウンタウンを目指すことにしました。
活気あふれるダウンタウンにワクワク
時計の針がお昼12時を指す頃、僕はタクシーでダウンタウンの中心地域、コロンストリートに到着しました。土曜日だったこともあり、地元の人で大変な賑わいを見せていました。僕は改めて、貴重品がカバンの奥に入っていることを確認してから、街の散策を始めました。
もちろんこの日は、ノープラン。予定は決めていません。気の向くままに街を歩くことにしました。街にはたくさんの露店が出ており、人気スポーツブランド風のTシャツから、リンゴのようなマークが付いているスマートフォン(中国製)まで、様々なものが売っています。屋台みたいなものも出ていて、一杯30円ほどでフレッシュなアボカドジュースも売っていました。あまりの暑さに思わず、2杯飲みました。(お腹はくだしませんでした!)
地元の人たちの暮らしぶりを見ながらブラブラと歩いていると、探検家マゼランがセブ島にたどり着いた時に打ち込んだ十字架「マゼランクロス」も発見しました。一通り楽しんだ僕は、遅めの昼食をとるためにレストランに入りました。
レストランで起きた「事件」
フィリピン料理を提供するそのレストランでは、肉の煮込み料理「アドボ」をいただきました。美味しくアドボをいただき、席でお会計をしようとした、その時です。事件は起こりました。
僕の隣の隣のテーブルには、前のお客さんの食べ残しがまだ残されていたのですが、そこに突然の刺客が現れたのです。なんと外から、裸足にボロボロの服を着た子どもたちが入ってきて、その残飯を食べ始めたではありませんか。
あまりの突然の出来事に、その場で完全に固まってしまいました。そんな僕のことはお構いなく、子どもたちはあまりにも威勢良く食べ続けていました。僕は驚き、そしてあっけにとられて、ただただその様子を見ることしかできませんでした。こちらに来ないことを祈りながら。
お会計をすませて早く出よう。そう決めた僕は、店員さんを呼ぶことにしました。そして、店員さんの方を見ると……店員さんは笑顔でご飯を頬張る子供たちを眺めているではありませんか。これも、フィリピンの日常なのでしょうか。
エクスキューズミー、と店員さんを呼び、お会計をすませ、僕は足早にお店を出ました。
フィリピンの、それも定番リゾート地で見た、信じられない光景。しかし、これもフィリピンです。そう思うと、この街のことをもっと知りたくなってしまいました。
「この街は夜になるとどうなるのだろう……」
そう思った僕は、この後の予定も決めていなかったので、夜にまたこの街に戻ることにしました。
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