telling, Diary ―私たちの心の中。

産めないけど育てたいレズビアンが考える、これからの子育てのこと

なまめかしく妖艶な表現力で性別問わず見る者の目を釘づけにするポールダンスのダンサーであり、注目のブロガー、ライターでもある“まなつ”さん。彼女が問いかけるのは、「フツー」って、「アタリマエ」って、なに? ってこと。 telling,世代のライター、クリエイター、アーティストが綴る「telling, Diary」としてお届けします。

●telling, Diary ―私たちの心の中。

産めないけど育てたいレズビアンが考える、これからの子育てのこと

 私の住む町には野良猫が住み着いているスポットがあり、そこを無料猫カフェと呼んでいます。
黒、茶トラ、縞、鉢割れに長毛とよりどりみどりの美猫たち。
人なれしていてすぐすり寄ってくるし、その愛らしさに日々癒やされています。
ここの猫たちはみんな「さくらねこ」と呼ばれている、避妊手術済みの野良猫。
有志のボランティアが猫を一時捕獲し、避妊手術を受けさせ、目印に耳の先をカットして元の場所に戻します。
こうすることで、増えすぎた野良猫が殺処分されることを防いでいるのです。
経緯は違えど、君も私も「産めない」のだな、とすり寄る猫の顎の下を撫でました。

 私はレズビアンであり、パートナーは女性なので、私やパートナーがどれだけ工夫を凝らしても「私とパートナー」の間の子どもは望めません。
世の中には他にも子どもを産む方法があるよ、と散々調べてわかっていても、まだまだその方法をとることは現実的には難しい。そのつもりも、今の所ありません。
子どもが欲しいか、と言われたら、2人の間の子どもなら、と答えます。

 同性愛者を非難する人が挙げる要因の一つに「子どもを産まず生産性がないから」というのがあります。
それを聞くたびに、「レズやゲイにも子育てしている人はいて、ただそれを世間が知らないだけなのに」と思います。
シングルマザーで女性とお付き合いするようになった人や、ゲイとレズビアンで同意して子どもを作るカップル、まだまだ少ないかもしれないけど精子ドナーに頼んで子どもを産むレズビアンのカップル。
日本にもそういう人たちは存在しています。
ただ、世間にあまり知られていないのは、
「今の日本でそれを知らしめることが家族にとってリスクのある行為だから」
に他なりません。

 産みたい、育てたい、でもできない。
世の中にはいろんな事情で「産みたいけど産めない」人がいる。
「産めない」ことは仕方のないことで、申し訳なさを感じなくていい。
生きていることはそれだけで尊い。“生産性”で人の価値は決まらない。
その上で今私が思うことは、「産めない人」の落としどころが欲しいな、ということ。

 子どもを産んで次世代に命を繋いでいくことはできない、けれど社会に貢献したい。
そう望む人の選択肢が増えたら、生まれてくる子ども達はもとより、その人達自身が救われるから。
友人知人に子どもが生まれると嬉しいし、彼らが健やかに育っていくことを願うばかり。
産むことはできない私だけど、間接的にでも育てることはできるはず。
身近なところでは出産祝いを渡したり、長い目で見たときには児童養護施設に寄付しようかなと最近考えています。
社会全体で子どもを育てていくためのシステムに乗っかって、未来に繋げられれば私は嬉しい。
そして「産めない人」も、育てられるんだという空気感を社会にもたらしたい。

 最近は妻と2人で猫を飼いたい欲が爆発しています。
人間が増えることも大切だし、それに貢献した上で、自分たちの「育てたい」欲を満たす。
この世界は私たち「人間」だけが存在しているわけじゃない。
生きとし生けるものすべての繁栄を考えたとき、動物を保護し育てることも”生産性”の一つなのかなと思い始めました。
産めよ増やせよ、地に満ちよ。私と妻と猫、産めないけど命を繋いで生きてます。

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ポールダンサー・文筆家。水商売をするレズビアンで機能不全家庭に生まれ育つ、 という数え役満みたいな人生を送りながらもどうにか生き延びて毎日飯を食っているアラサー。 この世はノールール・バーリトゥードで他人を気にせず楽しく生きるがモットー。
まなつ