綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』篠田は確かに怪しいけど、殺人犯とは思えない

剣持麗子(綾瀬はるか)と篠田敬太郎(大泉洋)のバディ推理ドラマ月9『元彼の遺言状』(フジ系)。7話では、麗子の元上司・津々井(浅野和之)とも協力し、食品会社の脅迫事件にあたることになる。事件を追う中でますます気になってくるのは篠田の正体。今夜放送の前にここまでの経緯をおさらいします(ネタバレを含みます)。
綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』篠田はなぜ警察を避けるのか。月9も「全部大泉のせい」?

麗子「言いたくないなら言わなくていい」

6話ラスト。教会の懺悔室で麗子(綾瀬はるか)が篠田(大泉洋)に問う。
「私は黒丑にあんたのことを調べさせた。栄治の大学のミステリー研究会には確かに篠田敬太郎というOBがいた。でも見た目は全くの別人ですでに死亡。もうこの世にはいない。篠田、あんた一体何者?」
そのシーンが7話の冒頭に繋がる。
篠田の答えは「言いたくない」。
麗子も「そう。分かった。言いたくないなら言わなくていい。この話はこれでおしまい」とアッサリ。
えー、それで良いの?とツッコみつつ、このアッサリした態度は麗子の優しさだと感じた。

ぜんぜん絡み合わない3つの事件

麗子の元上司の弁護士・津々井(浅野和之)が痴漢冤罪で勾留されてしまう。
「大手食品会社・ひぐま食品の案件を譲るから1週間で冤罪を晴らしてほしい」と津々井が麗子に依頼。
なんで自分の事務所の弁護士に頼まないのー? なんで家族にも内緒なのー?
相手の弁護士が来たときもコソコソ隠れたりして怪しい、やっぱやってるんじゃないの? と疑っていたら本当に冤罪だった。ごめんね、津々井先生。
津々井を痴漢に仕立て上げたのは数年前に津々井が関わった裁判に不満があった女性、平井茜(三戸なつめ)。
偶然電車で津々井を見かけ、復讐心から「痴漢!」と叫んでしまったそう。
津々井も女性が裁判のあと再就職で苦労したことを知り「最後までフォローしなかった私の責任でもある」と詫びる。紳士だ。

こうして「ひぐま食品」の案件には麗子と津々井が協力して臨む形になる。
「5月23日 社食の毒入りシチューで死人が出る」という脅迫状が届いたが、1兆円を超える大規模なM&Aを控えている大切な時期で、隠密に騒動を収束させたいという(弁護士ってそんなことも請け負うんだっけ?)。ひぐま食品の社食は土日には一般開放、レシピ本も出ていて有名だった。

篠田は名作ミステリーに絡めていつものようにトンチンカンな推理を始めるが、麗子は持ち前の観察眼で「こんなの社内のゴタゴタだ」と早々に見抜く。
実際その日、シチューに毒は入っていなかった。
犯人は食堂にいる従業員全員。スタッフのひとりが母親の三回忌にも休むことを許されず、従業員全員が協力して嫌がらせに加担したというのが真相だった。
熱心過ぎる責任者の小野(西山繭子)を前に従業員が萎縮し、サービス残業や無理な出勤が常態化していたのだった。

そして事件はもう一つ。ホストの黒丑(望月歩)の太客・山谷典子(高田聖子)からの依頼。父と結婚した後妻業の女との遺産トラブルである。
山谷が走って追いかけた直後、後妻業の女は死亡してしまう。警察から事情を聞きたいと言われ「私、殺人犯になっちゃうんですかぁ~」と焦る山谷。その後、後妻業の女の死因は自ら銀行印を飲み込んだことによるショック死だとわかる。

ぜんぜん絡み合わない3つの事件。
共通項を無理やり挙げるとすれば、津々井、責任者の小野、山谷が3人とも「思いも寄らないところで、容疑者または加害者側になってしまった」「罪を犯そうとは思っていない」という点。
痴漢と叫んだ平井茜、食堂の従業員に共通するのは「弱者の復讐」か。

津々井と篠田の間にも不思議な関係性が出来始めている

「僕は篠田敬太郎じゃない。僕は殺人犯なんだ」

津々井の冤罪を晴らし、ひぐま食品の騒動を収束したご褒美だろう、津々井の奢りで高級寿司屋へ。寿司を頬張る麗子の食べる顔がめちゃくちゃ幸せそうだ(飯テロドラマめ)。

津々井が篠田に「あんた雑用係なんだから少し遠慮したほうが」とチクリ。しかし麗子は「篠田は雑用係じゃありません。私の助手です」とキッパリ言い返す。
これを聞いて篠田が涙ぐむ。

事務所に戻って篠田がぬか漬けの壺から取り出したのは全部名前が違う身分証。
助手、という嬉しい言葉をかけてもらい、自分の素性を話したくなったのだろう。

「僕が何者なのか。言いたくなければ言わなくていいって言ってくれたよね。ありがとう。嬉しかった。僕は篠田敬太郎じゃない。僕は殺人犯なんだ」
静かに、衝撃の告白をする篠田(仮)。

って、えー!!篠田は確かに怪しいけど、殺人犯だなんて。
元彼が残した「しのだをたのんだ」は「弁護士として冤罪を晴らしてあげてくれ」という意味なのか。

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(20回)から連想してギョッとした「ぬか漬けの壺」

ミステリーマニアを拗らせて「殺人犯」というものに憧れているという可能性はないだろうか。1話でも栄治を殺した犯人になりたがっていたし(遺産を狙ってのことだが)。
それとも超意外な展開で、篠田の正体は、スパイ?殺し屋?わくわく…っ!!(……ってそれはないな)。

1話の「栄治が死んだのは数日前に自分が釣りに連れて行って風邪をひかせてしまったから」という具合に、誰かが亡くなったのは自分のせいだと思って自分を責めている、というのが一番可能性としてありそう。

ドラマ冒頭で篠田(仮)が手を合わせていた「小笠原家の墓」。小笠原、という人を死なせてしまったのだろうか(ただの先祖の墓という可能性も捨てきれない……)。
大学のミステリー研究会にいた篠田敬太郎というOB(本物)の死亡原因も実は不明だ。篠田(仮)と何か関係が?

綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』篠田はなぜ警察を避けるのか。月9も「全部大泉のせい」?

フジテレビ系『元彼の遺言状』

毎週月曜よる9時〜
出演:綾瀬はるか、大泉洋、生田斗真、関水渚、森カンナ、笛木優子、要潤、野間口徹、佐戸井けん太、笹野高史、萬田久子、浅野和之 他
脚本:杉原憲明、小谷暢亮
音楽:川井憲次
演出:鈴木雅之、澤田鎌作、西岡和宏
プロデューサー:金城綾香、宮﨑 暖

フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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