二宮和也『マイファミリー』考察。東堂(濱田岳)は哀しき犯罪者? 真の黒幕は捜査一課長(サンド富澤)説を検証
いよいよクライマックスに突入した『マイファミリー』。7話は最高視聴率だった1話を更新する13.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、ますます注目を集めている。
第7話では、鳴沢温人(二宮和也)、未知留(多部未華子)夫妻と長年の友人関係にある東堂樹生(濱田岳)が犯人だったことが判明した。東堂の動機は一体なんなのだろう? また、東堂の背後に潜んでいるであろう真の黒幕についても考察していきたい。
香菜子にとってのマイファミリー
阿久津実咲(凛美)誘拐事件の実行犯は「ハルカナ・オンライン・ゲームズ」のプログラマー・鈴間亜矢(藤間爽子)だった。温人が阿久津晃(松本幸四郎)とともに、ハルカナで鈴間の身辺を調べると、鈴間の履歴書は偽物で、犯行は長期計画だったとわかる。
記入されたアパートの住所を尋ねると、そこに住んでいる女性(梅沢昌代)は、鈴間のことを尋ねてもまったく知らない様子。しかし派手な編み込みヘアー、デカピアス、独特な喋りの間と、妙にキャラが強かったのが気になる。アパートのポストに「中原」と書かれていたので、名前くらいは覚えておいてもいいのかもしれない。
阿久津は、立脇香菜子(高橋メアリージュン)を疑う。温人のビジネスパートナーである香菜子だが、調べていくうちに、鈴間のロッカーの荷物を取り出していたり(証拠隠滅?)、密かに鈴間と連絡を取っていたろしたことかがわかる。怪しさ満点、誘拐の首謀者は香菜子か?
しかし、違った。鈴間の怪しい行動を察知した香菜子は、ハルカナの社員が誘拐犯であることが世間に知られるリスクを恐れ、バレるのを防ごうとしていたのだ。香菜子の怪しい行動は、会社を守ろうとした結果だった。彼女にとってハルカナ・オンライン・ゲームズこそが守るべきマイファミリーだったから。
2つの誘拐、犯人の動機を考察
温人は自宅に盗聴器が仕掛けられているのを発見する。そこから、点と点が次々につながっていく。
友果(大島美優)が誘拐されたタイミングは、たまたま1人になった瞬間だった(次に起きた優月の誘拐も同じ状況だったと言える)。そんな偶然はあり得ない、盗聴器で一家の動静をうかがってでもいなければ狙えないはずだ。当然、誘拐が起こった当時も鳴沢家に盗聴器が仕掛けられてないかどうかは確認していた。元刑事の東堂がチェックしたはずだった。東堂は「盗聴器はなかった」と報告し、温人たちはそれを信じた。
さらに温人は、犯人のゲームIDの「haruto1212」が東堂の結婚記念日12月12日にちなんだものだったこと、そして東堂の結婚式に鈴間が出席していたことに気づく。問い詰められた東堂は、「俺が誘拐した」と犯行を認めた。
6話で考察したが、鈴間亜矢と東堂の妻・亜希(珠城りょう)は、「亜」という字が共通していることから姉妹である可能性が高い。よって、友果、優月(山崎莉里那)、実咲の3件の誘拐は、東堂と鈴間だけでなく、亜希が絡んでいるとみることができる。では、この3人の動機はなんだろうか? 考えられるのは大きく2つだ。
ひとつ目は、この連載でずっと推してきた東堂心春(野沢しおり)誘拐事件の犯人を誘い出すためというパターン。10億円を10日にわけて受け渡すように取り付けたのは、交渉の機会を増やして容疑者を観察しようとしたからなのだ。温人ひとりに金の受け渡しをさせたのも、(東堂が怪しんでいる)阿久津夫妻を間近で見張るためと考えられる。もともと東堂は、温人や三輪碧(賀来賢人)のことも疑っていたのかもしれない。
ふたつ目は、心春を人質にされているパターンだ。
「仲間が見ています。余計な真似をしないでください。相手を軽く見てはいけません。本当に実咲ちゃんは殺されます」
7話で鈴間が温人に言ったこのセリフからは、真の黒幕の存在がうかがえる。心春誘拐の犯人に脅された東堂と鈴間は、言われるがままに友果、優月、実咲を誘拐したのかもしれない。「余計な真似をしないで」には、「私たちも実咲ちゃんの安全は守ろうとしています」というニュアンスが含まれているようにも解釈できる。
もしかしたら亜希も心春と一緒に監禁されていて、鈴間が協力しているのは姉を助けるためなのかもしれない。また、東堂がゲームIDに結婚記念日を入れたのは、温人に向けたSOSだったとも考えられる。
どちらにせよ、東堂が“哀しき犯罪者”であることは間違いなさそうだ。鈴間の顔を見た温人に手を下さなかったことからも、東堂は温人たちのことを仲間だと考えているのだと思われる。
真の黒幕は捜査一課長の吉乃栄太郎?
さて、真の黒幕についてだが、ヒントがあまり見当たらない。伏線もほとんど張られていないのではないだろうか。だから半ばカンではあるが、僕が3話から疑っているのは捜査一課長の吉乃栄太郎(サンドウィッチマン・富澤たけし)だ。
吉乃は、友果誘拐事件の際に「人質の救出を最優先」としていた。しかし、なぜか友果の安全が確保される前に犯人の潜む小屋に無茶な突入命令を出している。これは明らかな矛盾で、「警察の大失態」をわざと演出したと取ることができる。
7話では、「世間に警察の大失態がこれだけ広まったんだ。腹を切らないわけにはいかない」「一課長を外れたら有給を取ってカミさんと温泉でも行く」と発言しており、逃げようとしているようにも見える。部下の葛城圭史(玉木宏)への発言も、事件の捜査を諦めさせようとするものばかりだ。このタイミングで妻子持ちであることがわかった経緯も、何か意図を感じざるを得ない。『マイファミリー』が家族がテーマの物語なだけに。
また、葛城が東堂に向かって「小春ちゃんは絶対に生きているよ」と発言したことがあった。東堂を励ますためだと考えられたが、実は葛城は元から吉乃に疑いを持っており、なんらかの確信を込めてあのセリフを言っていたのかもしれない。
今夜放送の8話で、最終章に突入。これまで失敗続きの葛城が、そろそろ本領を発揮しそうな気配がする。
毎週日曜よる9時〜
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、濱田岳、玉木宏 他
脚本:黒岩勉
音楽:大間々昂
主題歌:Uru『それを愛と呼ぶなら』
演出:平野俊一、田中健太、宮崎陽平、富田和成
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
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