二宮和也『マイファミリー』考察。真犯人は捜査を邪魔したあいつに違いない!捜査一課長と東堂亜希の関係は?

日曜劇場『マイファミリー』8話では、東堂樹生(濱田岳)がすべてを告白。鳴沢温人(二宮和也)の娘を誘拐した動機、三輪碧(賀来賢人)の娘の誘拐を強いられた経緯。娘を誘拐された父親の悲しい思いが連続誘拐事件を引き起こしていたことがわかった。しかし、阿久津(松本幸四郎)の娘の誘拐には関わっていないという。真犯人は一体? 話題騒然の『マイファミリー』のポイントを整理、ズバリ真犯人を推理します(ネタバレを含みます)。
二宮和也『マイファミリー』考察。東堂(濱田岳)は哀しき犯罪者? 真の黒幕は捜査一課長(サンド富澤)説を検証

『マイファミリー』8話 真犯人が自ら誘拐した動機は? 吉乃と亜希の関係性を考える

日曜劇場『マイファミリー』(TBS系)8話では、友果(大島美優)、優月(山崎莉里那)を誘拐した犯人が東堂樹生(濱田岳)だと明らかになり、半分はこれまでの種明かしに費やしたような展開だった。いくつかの事実が明かされたことで、東堂の背後に潜む真犯人についてはさらに謎が深まる。一体犯人は誰で、どんな目的があったのだろう。

東堂の独白

東堂の独白から始まった8話。東堂は妻の亜希(珠城りょう)の妹、鈴間亜矢(藤間爽子)を共犯に、鳴沢温人(二宮和也)の娘・友果を誘拐する。模倣犯になることで、東堂の娘、心春(野澤しおり)が誘拐された事件を警察に再捜査させようとしたのだ。しかし、警察は心春には動いてくれなかった。そこで東堂は、友果誘拐事件の暴露本を出版して事件に注目させようとした。
ちなみに、神奈川県警の葛城圭史警部(玉木宏)は2つの事件の関連を疑っていたが、上司である捜査一課長の吉乃栄太郎(富澤たけし)が再捜査を阻止した。

暴露本を読んだのであろう真犯人から東堂に連絡が入る。犯人は心春を返す代わりに、三輪碧(賀来賢人)の娘・優月(山崎莉里那)を誘拐すること、その交渉人を温人にすることを要求した。娘を取り戻すため、東堂は仕方なく飲むことにした。優月誘拐の際、何度も交渉を延期したのは、真犯人に接触する機会を得るための時間稼ぎだった。

東堂の犯行を簡単にまとめると、友果誘拐は自らの意思、優月誘拐は真犯人の命令で行ったということになる。そして、阿久津実咲(凛美)誘拐には関わっておらず、この件は真犯人自らが手を下したものだった。なぜ実咲誘拐だけ東堂を使わなかったのか? ここに何かしら重大なヒントが隠されているはず。レビューの後半で改めて触れたい。

濱田岳の演技に圧倒されたが、とんでもない話

「やる前からわかっていたよ。地獄だって」

唇を震わせ、友人らの目を見ることもできずに告白する東堂。濱田岳の演技が凄まじすぎて一瞬、本当はいい人なのかな? と思ってしまう。だが、いくら自分の娘のためとはいえ親友夫婦の娘2人を誘拐した行為は許されるべきではない。しかも、三輪が言うように、誘拐したからといって心春ちゃんが戻ってくる保証などどこにもなかったのだ。東堂のせいで友果も優月も心に深い傷を負ってしまった。
それでも温人が東堂を責めなかったのは、親として娘を思う気持ちがわかるから、今は実咲を助けることを最優先すべきだからだ。温人や三輪の思いが伝わり、冷静になった東堂は考え方を大きく改める。

「心春ちゃんは5年間も監禁されているわけがない」

真犯人に「心春と実咲のどちらかを金と引き換えに返す」と最悪の二択を迫られた東堂は、5年前に誘拐された心春の死を認め、「今は生きている子を助ける」と実咲の無事を優先した。一体どんな思いでこの決断をしたのだろうか。誘拐という最悪の罪を犯した東堂だが、こんな姿を見せられたら許す気持ちに傾いてしまう。娘を東堂に誘拐された三輪も「実咲ちゃんと心春ちゃんを取り戻そう」と声を掛けた。

東堂の罪が明らかになり、その上で団結した温人たち。しかし、真犯人からは「警察に通報しましたね。取引は中止です」「約束を破ったあなたの責任です」と一方的に電話を切られてしまう。立脇香菜子(高橋メアリージュン)から東堂と鈴間の関係を聞かされた実咲の父・阿久津晃(松本幸四郎)が東堂と行動を共にしている温人を疑い、警察に通報していたのだ。

温人たちは、監禁された倉庫の外で倒れている実咲を発見することになり、そこに警察が駆けつけ、温人は逮捕されてしまう。

真犯人の正体は?

なぜ、真犯人は実咲誘拐にだけ東堂を使わなかったのか? 8話で出された最大のヒントはこれだろう。
単なる金目的だとしたら、リスクを背負って真犯人自らが動く理由が見当たらない。犯人には、実咲本人と接触しなければならない理由があったと考えられる。その理由とは、おそらく実咲のタブレットだ。

5話に、実咲がタブレットの中にある「心春ちゃん」というフォルダを意味ありげに見つめるシーンがあった。実咲と心春は一緒にボルダリングをする仲良しであり、フォルダにはその時の写真や動画が収められていると考えられる。その写真の中に、心春と犯人のつながりを示す証拠が隠されているのではないだろうか?

そして実咲がタブレットを意味ありげに見つめたのは、阿久津家に吉乃が訪れた直後だった。吉乃の顔に見覚えがあった実咲が、確認するためにフォルダを開こうとしたと考えるのが自然だろう。

吉乃といえば、捜査一課長という立場を使って心春と友果の誘拐事件を結びつけないように指示をするなど、捜査の邪魔をするような行動が目立っている。心春誘拐事件についても、東堂亜希の狂言誘拐だと主張して捜査を中止させた張本人だった可能性も考えられる。

今話でも、ラストの温人逮捕のシーンで1人だけ登場していない。阿久津の通報にすばやく気付いたのも、真犯人が警察内部の人物だったからではないか。この各話レビューで何度も触れてきたが、吉乃が真犯人だと考えて間違いなさそうに思う。

吉乃の動機と亜希との関係

では、真犯人の動機は何なのか?

一番に思いつくのは、東堂と三輪が大学時代に起こしたという交通事故だ。未知留(多部未華子)の家の車で事故を起こしたという情報しか明かされていないが、この事故で吉乃の子どもが亡くなってしまったと考えれば復讐の動機になりそうだ。だが、果たしてそこまで大きな過去が東堂と三輪に隠されているのかと問われると、少し疑問。そもそも、そんな過去があったら、東堂は一番に被害者家族を誘拐犯として疑いそうなものだ。

あるとしたら「東堂たちに人身事故の自覚はないが、間接的に吉乃の子供が亡くなってしまった」というパターンだろうか。それならありそうだが、具体的にどういうシチュエーションなのかは手がかりもないし、推理のしようがない。
いずれにしろ、過去の交通事故は何かで絡んできそうな気がする。

もう一つ考えられるとしたら、狂言誘拐だ。物語内では「亜希が狂言誘拐の疑いをかけられて失踪した」となっているが、冤罪ではなく本当にそうだったというパターン。その手助けをしたのが、吉乃なのだ。現在、亜希と心春は別のどこかで暮らしていて、その幸せを守るために吉乃は、警察の捜査の邪魔をしていたのだ。

では、2人の関係はなんだろう。不倫関係が一番簡単だが、それではちょっと薄い。亜希の肉親は鈴間亜矢しかいなかったことが明かされているので、「吉乃と亜希は、施設で一緒に育った“家族のような存在”」とかだったら、収まりが良いような気もする。

今話放送の9話では、実咲のタブレットをめぐって展開するようだ。そろそろ葛城と温人の共闘を期待したい。

二宮和也『マイファミリー』考察。東堂(濱田岳)は哀しき犯罪者? 真の黒幕は捜査一課長(サンド富澤)説を検証

TBS 日曜劇場『マイファミリー』

毎週日曜よる9時〜
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、濱田岳、玉木宏 他
脚本:黒岩勉
音楽:大間々昂
主題歌:Uru『それを愛と呼ぶなら』
演出:平野俊一、田中健太、宮崎陽平、富田和成
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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