二宮和也『マイファミリー』衝撃の「ファミリーですから」に隠された意味とは? 犯人、動機を大胆に考察
『マイファミリー』(TBS系)第5話は視聴率12.0%(世帯/ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好調を維持。非常にスピーディでテンションが高いストーリー展開が魅力だ。
連ドラにおいて中盤の山場となる第5話では、主人公のはずの鳴沢温人(二宮和也)が犯人から“共犯者認定”を受けるビックリ展開があった。その際に犯人は「(温人は)ファミリーですから」と言っていた。かなり重要ワードな気がする。
「マイファミリー」の表の意味
三輪碧(賀来賢人)の娘・優月(山崎莉里那)が誘拐されてしまった。手口は、温人の娘・友果(大島美優)の誘拐と同じで、犯人は警察の介入を許さない。温人、三輪、東堂樹生(濱田岳)、三輪の元妻・沙月(蓮佛美沙子)は身代金の受け渡し場所に金を持っていくが、なぜか犯人から取引の延期を命じられる。
おそらく犯人にとって不都合な何かがあったのだろう。何度見返しても不自然な点は見当たらなかったが、最終回後に見直すと「なるほど……」となるシーンなのかもしれない。
精神的に追い詰められた三輪は、沙月が生活費に困っていることやいくつかの怪しい仕草から、優月と沙月が仕組んだ狂言誘拐を疑ってしまい、沙月を憤慨させてしまう。だが、過去に自分の娘を誘拐された東堂が、自分も妻を疑って後悔したことがあると告白し、三輪は沙月への疑いを思い直す。沙月は沙月で、三輪に優月が懐いていることに納得がいかず、色々と話せていなかったと打ち明けた。それが誤解につながったのだと。前回の誘拐事件では温人が蔑ろにしていた家族との絆を取り戻し、今回は三輪が少しだけ自分の行動を顧みるきっかけとなった。
『マイファミリー』は「『サスペンス』『ミステリー』という枠組みのものではない──“ファミリー”エンターテインメントである」と謳っている。このまま簡単に三輪と沙月がヨリを戻すとは思えないが、ミステリードラマとして惹き付けながら、さまざまな家族の形を見つめ直すことこそ、このドラマのメインテーマなのだろう。
黒幕は東堂?その目的は?
翌日、指定された場所に金を持っていくと、犯人から「紺色のワゴンに身代金を積み、その車の後を追うな」との指示が。優月の居場所を犯人から聞くと、温人、三輪、沙月で救出に向い、東堂が温人の車で犯人の車を追跡を試みる。優月の安全を確保してから、東堂が犯人と接触するという計画だ。
しかし、ここで問題が発生する。夫・温人の不審な行動から誘拐事件が起きていることを察知した鳴沢未知留(多部未華子)が、単独で犯人を尾行し接触を試みていたのだ。もちろんその犯人は単なる受け子の可能性が高く、犯人を刺激したら優月が殺されかねない。間一髪、別行動していた東堂が未知留を止めるファインプレーで事なきを得る。
ただ、この東堂の行動が地味に怪しい。なぜ車で追っていたハズの東堂が歩いていたのか? 犯人の顔を見られると困る理由があったのではないだろうか? 優月を救出したあとも、東堂はわざわざ温人の車を借りて「監禁場所を調べにいく」と単独行動をしている。「実は金を積んでいた」など、温人の車を使いたい理由が他にあったように思えてならない。
また、犯人が車に乗る際に足元だけ映されたのだが、その靴のサイズがやや小さめで女性に見えたのも気になる。この足がまだ登場していない東堂の元妻で、2人は共犯である可能性も見えてきた。では目的はなんなのだろう。もうちょっと考えてみたい。
「ファミリーですから…」に隠された意味
平穏が訪れたのもの束の間、温人に犯人からのメッセージが届く。指示通り家の外を見ると、1億円が入った段ボールが無造作に置かれていた。戸惑う温人の電話が鳴り、犯人からは「一緒に営利誘拐をした成功報酬」と伝えられる。
もちろん温人には理解できないが、犯人からすれば、被害者との金のやり取りをスムーズに行えたのは温人の存在が大きい。犯人いわく「ファミリー」であり、立派な共犯者なのだ。タイトルを利用したゾッとするようなシーンだ。さらに犯人は、阿久津晃(松本幸四郎)の娘・実咲(凛美)を誘拐していて、温人に協力を要請する。
ここで注目したいのは「ファミリー」という言葉。犯人が温人を相棒と思うのなら、バディ、もしくはブラザーと呼ぶのが一番しっくりくる。なのに使った言葉はファミリー。つまり、複数犯だと考えられるのだ。そうなるとますます怪しいのは東堂夫妻だ。
東堂夫妻は、4年前に娘の心春(野澤しおり)が誘拐されたことで心が歪み、似たような事件を起こしたとも考えられる。だが、それだとあんまりだ。では、心春を救うために自らが4年前の事件の模倣犯となり、犯人を誘い出そうとしている……というのはどうだろうか。
6話の予告動画で、温人が犯人と対面するシーンがあったが、この正体は東堂か? そして7話から一緒に心春を救うための物語、3章がスタートすると考察する。犯人が電話越しに「温人さんを信用してますから」と言っていたが、これは東堂の本心でもあるのだ。
毎週日曜よる9時〜
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、濱田岳、玉木宏 他
脚本:黒岩勉
音楽:大間々昂
主題歌:Uru『それを愛と呼ぶなら』
演出:平野俊一、田中健太、宮崎陽平、富田和成
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介(大映テレビ)
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