綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』超スピード解決からの3話、まだまだ名コンビって感じではないけれど
麗子は意外と人情派?
2話で原作の『元彼の遺言状』(新川帆立/宝島社)の事件はスピード解決、3話は、シリーズの連作短編集『剣持麗子のワンナイト推理』(同)収録の「家守の理由」をベースに、1~2話の人間関係をドラマに組み込んだストーリーが展開した。
「元彼の遺言状」によって「暮らしの法律事務所」を相続した剣持麗子(綾瀬はるか)。事件に関わる原因となった篠田敬太郎(大泉洋)は、事務所の料理人兼雑用係になっていた。
<しのだをたのんだ>という元彼・森川栄治(生田斗真)が暗号で伝えたと見られる遺言を無視せず、篠田を住まわせる麗子。
事務所には、村山弁護士(笹野高史)が殺されたとは知らない顧客からこまごまとした相談が寄せられる。「(仕事は)引き継いでない」と文句を言いつつ引き受けてしまう麗子は、冷徹に見えて、意外と人情派なのか。
銀髪のホスト「武田信玄」(望月歩)から弁護の依頼を受けた麗子。
本名は黒丑益也、クロウシマスヤ……苦労しますや。町の不動産屋の社長が殺され、立ち退きを要請されていた黒丑に疑いがかけられたのだ。
協力しあっているようすがない
黒丑の依頼内容など、基本設定は原作に倣っている。だが、大きくアレンジされたところも多い。
たとえば、事件解決のキーとなる咲き分けのツツジ。
黒丑の家の庭に咲く白いツツジの中に一部分だけ赤いツツジが咲いているのを見て「何かが埋まっているのでは?」と篠田は疑いを抱く。
黒丑自身も、父が言い残した「何があってもあの家には住み続けろ」という言葉にとらわれていたことがわかってくる。
原作で(隣の家の庭からはみ出して)咲いているのはアジサイで、一部分赤く色が変わっていることは同じだが、その原因がまったく違う。
というか、その原因が明かされることで、乱暴者だった父の意外な一面がわかるのがひとつの読みどころとなっていた。
また、そのほうが、麗子が留置所で面会した女性から愛犬の世話を押し付けられる冒頭のエピソードともっと響き合ったんじゃないかと惜しい気もする。
原作通り、土壌によって色が変わるアジサイでもよかったんじゃないだろうか、咲き分けのツツジって街路樹としてもよく見かけるから、画としてもおとなしく感じた。
真犯人にたどり着くまでに麗子と篠田が協力しあっているようすがない点も気になった。
篠田は「秋須坂」という地名から「漢字を使った見立て殺人なのでは?」と見当違いの推理をしただけで、それが麗子のヒントになったというわけでもなさそう。麗子は、弁護士の立場を利用して手に入れた「立ち退きリスト」から犯人像に近づく。
ラストで黒丑が「名コンビって感じでした」と言っていたが、そうかなぁ……という印象だ。
愛嬌があって憎めない黒丑
登場人物は魅力的だ。麗子と篠田には本当に最高のバディになってほしい。
ちょこちょこ嘘をつく黒丑も愛嬌があって憎めない。4話の予告にも登場していたから楽しみだ(黒丑は原作でも活躍します)。
1~2話で登場した森川紗英(関水渚)がいるのも嬉しい。栄治の元カノの名前も全員覚えていた紗英、実は「私一度見たものは忘れないの」という脅威の記憶力の持ち主だった。
高額な弁護料をふっかけ、(大手事務所弁護士時代の)企業の顧客に断られまくっている麗子と、住まわせてもらっているからと疑問も持たずに無給で働いている篠田に「バカなの?」「バカなの?!」とずけずけツッコミを入れるシーンは痛快だった。
原作には、『元彼の遺言状』の登場人物はいない。ここから先、ドラマオリジナルの人物模様が繰り広げられるのではないかと、大胆アレンジに期待している。
毎週月曜よる9時〜
出演:綾瀬はるか、大泉洋、生田斗真、関水渚、森カンナ、笛木優子、要潤、野間口徹、佐戸井けん太、笹野高史、萬田久子、浅野和之 他
脚本:杉原憲明、小谷暢亮
音楽:川井憲次
演出:鈴木雅之、澤田鎌作、西岡和宏
プロデューサー:金城綾香、宮﨑 暖
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