教えて!弁護士センセイ 「法律未満の何でも相談」07

SNSでなりすましの被害を受けた、どうすればいいの?

仕事でモヤモヤ、夫にモヤモヤ、人間関係でモヤモヤ。もしかしたら、法律を味方にすれば少しだけ生きやすくできるかも! 弁護士の澤井康生先生が、日々の困りごとをミレニアル女子目線で易しく解説します。 今回のテーマは、SNSのなりすまし。自分になりすました誰かに迷惑な投稿をされてしまったら?実際の裁判例をもとに考えます。 A子:MM商事営業部 B子:A子と同期の法務部主任

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●教えて!弁護士センセイ telling,の「法律未満の何でも相談」07

B子:A子、お疲れ様。

A子:あ、B子さん、お疲れ様。ちょうどいいわ、ちょっと相談したいことがあって。

B子:先週に引き続きまた何かの相談? 今度はどうしたの?

A子:実は私SNSをやっているんだけど、誰かが私のアカウント名と顔写真を勝手に使っているのよ。

B子:A子の写真はどこから手に入れたのかしら?

A子:私がSNSのプロフィール写真で使用していた写真よ。

B子:公開されている写真だからそれを使ったのね。それで何かされているの?

A子:その人物が私の名前を騙(かた)ってSNS上に私の友だちにひどい悪口を言いふらしているのよ。まるで私が悪口を言っているみたいに見られちゃうから困ってるの。

B子:それでA子を騙っている人物って誰だか見当はついているの?

A子:実は先週、元カレから「よりを戻したい」って連絡が来たんだけど、しつこいから着信拒否にしたんだよね。その翌日からSNSのなりすましが始まったのよ。だから元カレなんじゃないかなと思ってるの。

B子:確かにその元カレかもしれないけど、まず相手を特定しないといけないわね。これは弁護士さんに頼んでサイト運営者とプロバイダに対して“発信者情報の開示請求”っていうのをすればできるわよ。

A子:さすがB子、詳しいわね。それで相手が誰か特定できたら法的に懲らしめられるのかしら?

B子:実は私も以前に同じような被害にあって調べたことがあるんだよね。

A子:ええっ、そうなの? B子もなかなか隅におけないねえ。

B子:それは置いておいて、SNSをのっとられて不利益なことがあったら、名誉権の侵害で慰謝料を請求できるよ。被害者になりすまして他人を罵倒する人間であるかのような誤解を与えて社会的評価を低下させたと認定した判決があったから(大阪地裁平成29830日判決を簡略化しています)。

A子:なるほど、要は「私になりすまして私の評判を傷つけた」ってことね。

B子:簡単に言うとそういうことね。

A子:私の写真を勝手に使われたことについては、何か文句を言えないのかな? プライバシー権の侵害とか、肖像権の侵害とか。

B子:もともとSNS上で公開していた顔写真だから、プライバシー侵害にはならないと思うよ。肖像権はケースバイケースだけど、その写真を使って名誉権を侵害する投稿がされたら、肖像権侵害も主張できるみたいだよ。

A子:B子ありがとう^^まずは弁護士さんに相談して相手を特定すること、それから損害賠償請求ね。とりあえずどうすればいいかわかって安心したわ。

B子:A子はモテるからいろいろ大変ね。

A子:だからって、こんなトラブルはゴメンだよ……。

■澤井康生先生のプロフィールはこちら
元警察官僚、警視庁刑事を経て旧司法試験合格。弁護士でありながらMBAも取得し現在は企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所非常勤裁判官、東京税理士会インハウスロイヤー(非常勤)も歴任。公認不正検査士の資格も有し企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富、その他テレビ・ラジオ等の出演も多く幅広い分野で活躍。東京、大阪に拠点を有する弁護士法人海星事務所のパートナー。代表著書『捜査本部というすごい仕組み』(マイナビ新書)など。

元警察官僚、警視庁刑事を経て旧司法試験合格。MBAも取得し現在は企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所非常勤裁判官、東京税理士会インハウスロイヤー(非常勤)も歴任。
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