ジャーナリスト(25)

人生を意味のあるものにしたい、積極的に社会と関わっていきたい

ジャーナリスト(25) アメリカのミレニアル世代の特徴として、子どもの頃ポケモンで遊んだ、思春期にリーマンショックを体験している、ということが挙げられる。彼女もまた、そんなミレニアル世代のひとり。富士山が好きで、インスタグラムには自分で作った和食の写真を掲載。たまに英語が混じるだけの流暢な日本語で、インタビューに答えてくれた。

 母が韓国系アメリカ人なので、私も見た目はアジア人。子どもの頃は、日本と韓国の歴史も知らなくて、アジアの文化は私の文化、みたいに思っていましたので、友だちに「アジア人に見える」と言われるとうれしかったです。差別などは感じませんでした。子どもの頃はみんな、国の区別なく一括りにして「アジア人」という認識だったんです。幼さゆえの無知でしたが、それがよかった部分もありますね。

 私は子どもの頃ポケモンで遊んだ「ポケモン第一世代」。そのこともあって日本に興味を持つようになり、小学生の頃から放課後のクラスや家庭教師について日本語を習い始めました。高校では日本語を選択。卒業後はアメリカの大学へは行かずに、東京の大学に入学してコミュニケーションを専攻しました。

日本では就職したくないと思いました

 でも、 先輩の就活を見て、日本では就職したくないと思いました。みんな同じスーツを着て、染めた髪をまた黒く染め直して……。これは、絶対に私には無理だと。 付き合っていた彼(現在の夫)は日本人ですが、帰国子女なので、やはり日本の習慣があまり合わない。私は日本でアルバイトをしてお金を貯めて、大学院でジャーナリズムを学ぼうと思っていたのですが、彼とアメリカに戻ることにしました。

 そして、ニューヨークで日系メディアに就職し、22歳で結婚。本当はそんなに早く結婚するつもりじゃなかったんです。結婚はもっと人生経験を積んでからするものだと思っていましたので。

 でも、彼とは5年も付き合ったし、一緒に住んでいたし、愛しているからいいんじゃないかと……。彼のビザが切れそうになっていたことや、結婚した方が税金面で有利だという、現実的な理由もありました。

子どもは欲しくないです

 私も夫も、子どもは欲しくないです。 子どもを産んだら、したいことができなくなるから。もしかしたら、10年後は気持ちが変わっているかもしれませんが。

 日系企業で働いていて、アメリカの会社とは違うな、と思うことが時々あります。例えば、結婚したことを会社の直属の上司と人事部には報告したんですが、ほかの人には黙っていたんです。ニューヨークなどの都会では若いうちに結婚する人は少ないので、若気の至りのような印象を持たれるんじゃないかという心配がちょっとあったし、プライバシーは仕事には関係ないと思っていましたので。

 でも、結婚の報告をしなかったことで、会社の偉い人から注意を受けました。日本の会社では、社員はみんな会社の子ども、みたいな感じなんですね。

 また、 「もっと笑顔で」と注意を受けたことがありました。集中して仕事をしているときはニコニコなんてできない。つい真剣な顔つきになってしまいます。男性は笑顔なんて求められないのに、女性だけ。どうして?と思いました。2度も注意されたのでびっくりして……。偉い人だったので、笑顔を作ろうとしましたが、できなかったです。ひきつった感じになってしまいました。

で、できるだけ早く逃げました。

人生を意味のあるものにしたい。積極的に社会と関わっていきたい

 国際関係や政治関連の取材をしていたので、5月まで国連のオフィスに通っていました。メディアには、例えば必要以上に大げさな見出しをつけるなど、よくないところもありますが、民主主義には必要なものだし、社会の役に立っていると思います。

 将来はほかの仕事に就くかもしれませんが、どんな仕事であっても、少しでも社会に影響を与えられるような仕事がしたいです。そして、autonomy(自立性)のある働き方がしたい。人から責任やプレッシャーを与えられるのではなく、自分で考えて決断して、自分のした仕事に責任をもって働きたいです。

 アメリカのミレニアルはそういう考えの人が多いです。そして、人生を意味のあるものにしたい、積極的に社会と関わっていきたいと思っている。だから、アントレプレナーはミレニアルに人気がありますね。

 私たちは高校生のときにリーマンショックを体験しています。お金持ちがリーマンショックを引き起こしたのに、その人たちはまだお金持ちで、貧乏人はさらに貧乏になって……。そういうのを見てきている。そして、トランプ政権になって、これからどうなるかますますわからなくなってきた。だから、楽観的にはなれないんです。

 大学のとき、「専業主婦になりたい」という日本人の友だちが何人かいて、ちょっとびっくりしました。何が起きるかわからないから、仕事を持たないで経済的に人に頼るのは怖いと思いますので。

 日本では、お母さんや実際の人生のロールモデルを見てそうなりたいと思ったり、社会的にそういうエクスペクテーションがあるんじゃないでしょうか。でも、アメリカでも1950年代の女性は専業主婦になりたがっていたので、文化的な違いじゃなくて、世代的な違いだと思いました。

 私のニューヨークの友だちには、主婦になりたいという友だちはひとりもいません。ニューヨークはアメリカの中でもちょっと特別なところかもしれませんが、みんなニュースをよくチェックするし、政治にも関心が高く、選挙があれば投票に行き、グローバルに考えていますね。

ニューヨークにて

ライター。東京での雑誌などの取材・インタビュー・原稿執筆などの仕事を経て、2000年に仕事と生活の場をニューヨークに移す。