テレワークの良いところは、きちんとご飯が食べられること。
テレワークの良いところは、きちんとご飯が食べられること。
大学院を卒業してから、シンクタンクで働いています。官公庁の行うプロジェクトの、調査やコンサルティング業務がメインです。
結婚してから住まいを神戸に移しましたが、会社は東京にあるので、神戸に住みながらテレワークで働いています。時期にもよりますが、週に1、2日程度は東京に新幹線で出社しています。
神戸に住まいを移したのは、夫が実家の家業を継ぐため。ジャズが2人とも好きで、音楽を通じて知り合い、つきあうようになりました。出会った当初は彼も東京でサラリーマンとして働いていたんですが、家業をいずれ継ぐことは決まっていました。
実は、彼には「神戸に戻る前に、一度アメリカで音楽の勉強をしたい。そして、帰国後は家業のほか、音楽も仕事としてやりたい」という希望がありました。2014年の年末に、プロポーズと同時に一緒にニューヨークで暮らさないか?という提案があり、私もかねてから集中して英語を勉強したかったこと、また一度海外で生活をして、視野を広げてみたかったことから、一緒に行くことにしました。
帰国したら、テレワークの制度ができていた
籍を入れたのは、ニューヨーク行きを目前に控えた2015年8月です。彼はその年の1月から先に留学していたので、一時帰国のタイミングで籍を入れ、12月に私が渡米するまでは別居婚でした。
仕事は11月で一度、退職したんです。もともと帰国後は神戸に住むのが決まっていたので、上司に「結婚することになり、東京を離れないといけないので辞めます」って伝えました。そうしたらその上司に、「できれば復帰してもらいたい。あなたが帰国するまでに、遠隔地でも勤務ができるようになるかもしれない」と言われて。半信半疑というか、驚きました。会社としても、そういった制度に踏み込むべきタイミングと捉えていたようで、とてもありがたいと思いましたね。
そして約1年後に帰国したら、上司の言葉通りにテレワークの制度ができていたんです。同僚もクライアントも東京にいるなか、自分だけ離れた場所で、どれだけやれるか。不安も大きかったのですが、まずはチャレンジしてみようと、喜んで復職しました。
もっとも難しいのは、同僚がどのくらい忙しいのかわかりづらいこと
今は、こういう働き方をさせてもらってありがたいなと思うのですが、同時にその難しさも痛感しています。
同僚とのメールでのコミュニケーションに限界を感じ、それまでほとんど使っていなかったチャットソフトを使って、ちょっとした相談事をするようになりました。
それを使っていても、一緒に仕事をしている同僚がどのくらい忙しいのか、その時になんの仕事をしているのか、わかりづらいのが悩みです。同じ空間にいれば空気感でわかるようなことも、文字や電話ごしだとなかなかわからないんですよ。だから、電話で話したり直接会ったりできるチャンスに、より踏み込んだコミュニケーションをとるように心がけています。
一方、遠隔で勤務できるメリットもたくさんあると思います。何より、仕事を辞めずにすんだことは大きいです。また、クライアント訪問や会議など、対外的なアポは東京出社の日にまとめて入れ、自宅でテレワークをする日は作業に集中するようにしています。テレワークの日はまとまった時間が取れるので、資料作成などがどんどん進み、生産性が上がったなと感じます。通勤ラッシュから離れ、通勤時間を仕事や家事に使えるようになったことも大きな変化でした。
それから、きちんとご飯が食べられるようになりました。東京にいたときは、会社のデスクでコンビニのご飯とかが当たり前でした。ひどいときは3食とも菓子パンの日もありましたよ。
夕食をとったあとに仕事に戻ることも多々あります。それでも、人間らしい時間に家族と一緒に食事ができ、野菜をたくさん食べることができている。体調も安定し肌の状態なども良くなり、大きく変わったなと思います。
今後の目標は、神戸で自分の世界を広げていくこと。地元は長崎で、仕事は東京。友達も東京在住の人が多くて、神戸でのコミュニティがありません。でも神戸での暮らしはとても気に入っているので、ちょっと勇気を出して、もう少しこの街での活動に一歩を踏み出したい。家庭以外の自分の世界が、これから大きく広がればいいなあって期待しています。
神保町にて
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第1回テレワークの良いところは、きちんとご飯が食べられること。
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第2回テレワークは同僚に迷惑かける? 仲間の本音を聞いてみた
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第3回地元で輝ける場所を見つけたから、また東京でチャレンジしようと思えた。
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第4回海外からのリモートワーク。本当に仕事は成り立つのか、現地で聞いてみた
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第5回海外でリモートワークする女性の、上司・同僚の本音はいかに?