綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』篠田の記憶があやふや過ぎて、やっぱり怪しい

逮捕からのリスタート

「僕は篠田敬太郎じゃない。十ヶ浜強盗殺人事件。6年前にこの事件に巻き込まれてからずっと逃げ続けてきた」
篠田（大泉洋）が麗子（綾瀬はるか）に告白する。篠田の本名は田中守。身分を偽りながら各地を転々とし、3年前に森川栄治（生田斗真）と出会ったという。

麗子は警察に事情を話し、篠田は逮捕されてしまう。
「僕はやってない殺してない僕は無実なんだよ！それをなんで分かってくれないんだよ！ばか！」と面会室でまくし立てる篠田（ほんとは田中守）。
もちろん麗子はちゃーんと篠田（ややこしいのでこのレビューでは篠田とします）の無実を信じていた。
「弁護士として指名手配犯をかくまうわけにはいかない。同時に冤罪を晴らすには私の力では足りない。警察の力を借りないと。あんたやってないんでしょ？」

あの日何が起きたのか

麗子の元上司・津々井（浅野和之）のはからいで保釈され、麗子と篠田は6年前に事件が起きた十ヶ浜へと向かい、真相を確かめるべく再調査に着手する。

事件は、実業家の小笠原仁美（田山涼成）が主催したパーティで起きた。
篠田は助っ人料理人としてパーティーの前日からレストラン「プロメッサ」に居た。

篠田の記憶では（今回調査をしながら少しずつ蘇った記憶も込みで）、徹夜でパーティーの準備をしていた。終盤には料理人にもワインが振る舞われ、篠田は酔い覚ましのために外に出て眠ってしまう。

寒くなって店内に戻った時パーティーはまだ続いていた。篠田はそこでまた眠ってしまう。

目が覚めると誰もいない。片付けもしていない。血のついた包丁を発見した直後、店の電話が鳴る。謎の人物から「逃げろ。このままだとあんたが犯人にされる」と告げられ、再び店内に目を向けると倒れた小笠原の姿が……。

篠田は無実にもかかわらず、電話の指示に従ってとっさに逃げる判断をしてしまったのだった。凶器の包丁、小笠原の財布にはなぜか篠田の指紋が残っていて、篠田は容疑者となってしまった。

電話をかけた人物は誰か

警察も再捜査を開始していたが、その晩パーティーにいた十ヶ浜の住人たちは「私たちの中じゃあの事件はもう終わってるんです」と協力的ではない。
津々井が手に入れた資料によると、殺された小笠原は地元では相当に恨まれている人物であった。彼のせいで、一家離散、夜逃げ、一家心中に追い込まれた家族もいたのだとか。

篠田に「逃げろ」と電話をかけた人物は誰か。きっとそいつが真犯人だ。
麗子たちはその時診療所にいたと思われる医師の高瀬（東根作寿英）か亀田旅館の主人（勝矢）が電話の主では？　と疑う。
旅館の主人は強い口調で否定。しかし高瀬は肯定も否定もしなかった。

あの日何があったのか、裁判で証言してほしいと麗子は高瀬に頭を下げる。
しかしその翌日、高瀬は死亡。海に浮かんでいるのを発見される。

結局は篠田が犯人だったりして？

パーティーに参加した住人はみんな小笠原を殺した真犯人を知っていて、隠していると見るのが自然だと思う。では、真犯人は誰なのか。

推理1
高瀬先生、亀田旅館の主人、さらに旅館に出入りしている酒屋3人の共犯。
自殺と見えた高瀬も、裁判で証言するのを阻止するために旅館の主人または酒屋が高瀬を殺害（高瀬の遺体を見て酒屋は動揺していたから旅館の主人か）。

推理2
高瀬先生の単独犯。6年前の事件の真実に近づかれ、改めて良心に苛まれた挙句、自殺。

推理3
パーティーの最後まで残っていたであろうレストランオーナー（遠山俊也）、または滝沢美月（成海璃子「プロメッサ」のスタッフ）が真犯人。美月は最初、十ヶ浜を訪れた篠田に不審者でも見るかのような視線を投げたが、2回目には「思い出しました！」と親しげになった。態度が違いすぎて怖い、何があった？

んーわからん。

他にも謎が残っている。
パーティーの日、レストランの入り口にいた滝沢美月は本当に篠田の出入りを覚えていないのか。
無一文のはずの篠田が逃亡時、レストランから港までどうやって移動したのか覚えていないのはなぜか。本当に無一文だったのか。
小笠原の財布に指紋が残っていたのはなぜか。

まだワインが残っていて眠ってしまった、あるいは気絶していた。その間に誰かが港まで運んだのだろうか。
あるいは『最愛』（TBS系金曜ドラマ）の設定のようになんらかの記憶障害があって、篠田が本当に犯人だった！ みたいな展開もあったりして？ だって6年前とはいえ、篠田の記憶は曖昧すぎやしないか。

展開も気になるが、この回は、港町のご馳走にも心奪われた。浜焼き、カニ、海鮮丼、とどめに篠田のイタリアンコース！