綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』最終回かと思ったらもう1話!麗子と篠田の絆はこれからも深まりそう

剣持麗子(綾瀬はるか)と篠田敬太郎(大泉洋)のバディ推理ドラマ月9『元彼の遺言状』(フジ系)が最終回を迎えました。篠田の冤罪の晴れた10話で最終回と思いきや、後日談的11話が「暮らしの法律事務所」の今後活躍を期待させるほのぼのとした最終回として放送され、麗子と篠田、ほかのキャラたちにもまた会えそうな気持ちにさせてくれました。10、11話を振り返ります。
綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』篠田の記憶があやふや過ぎて、やっぱり怪しい 綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』篠田は確かに怪しいけど、殺人犯とは思えない

10話「十ヶ浜強盗殺人事件」裁判

第10話スタートは法廷が舞台。
篠田が容疑者となった「十ヶ浜強盗殺人事件」の裁判員裁判が始まる。
麗子は普段と変わらず自信満々だが、実は刑事裁判で法廷に立つのは初めて。
第9話で、証人になってくれそうだった高瀬先生(東根作寿英)は亡くなってしまった。
対する検察側は住民たちの証言や物的証拠も充分に揃えていた。篠田危うし!

しかし麗子は諦めなかった。

事件の鍵を握るリストランテ「プロメッサ」従業員の滝沢美月(成海璃子)に次々と質問を投げかける。
検察官(八嶋智人)「異議あり!」→裁判長(正名僕蔵)「認めます。弁護人は質問を変えてください」→麗子「質問を変えます」。この繰り返しがシーンを盛り上げる!

はじめはキリッとした表情で証言していた美月だが、麗子の質問が「被告人にタクシー代を借りましたね?」「外に出ましたね?」と核心に迫るにつれて、表情が変わっていく。「違います」という声もだんだん弱々しいものになっていた。

麗子は篠田が過ごしてきた6年間のことを話し始める。
それは第9話ラストで篠田が語った透明人間としての苦しい日々のことだ。その時の麗子は「さっきから何ごちゃごちゃ言ってんの」と冷めた反応だった。でも実は強い怒りと共にしっかり心に刻まれていたのだ。

「真実にひとりの人間の人生がかかっている」
「財布を無くし困っているあなたを助けてくれたのは田中(篠田の本名)さんですか?」

麗子の言葉で吹っ切れたのだろう、美月は篠田の無実につながる真実を証言してくれた。力強く、清々しい表情で。
美月はなぜ嘘をついていたのか。

麗子の怒りがびりびりと伝わる

1日めの裁判が終わって、篠田に「事件が起きて名探偵がその真相を解明するときに関係者全員を集めるのがセオリー」だとレストランに集められた住民たち(篠田は名探偵ちゃうやろと思うけど)。
麗子と篠田は高瀬先生の死の謎を解き明かしたい。だが、手がかりは何もない。

しかし亀田旅館の主人(勝矢)が思わず「(小笠原は)殺されても仕方のないやつだったんだ」と口走ったことから真相が分かっていく。
小笠原を刺したのは高瀬先生だった。住民たちに無理難題を押し付ける横暴な小笠原(田山涼成)を刺してしまったのだ。

高瀬先生は、十ヶ浜唯一の医者であり、家族の命を守ってきてくれた住民たちにとって大切な存在。先生を殺人犯にするわけにはいかないという総意から、身寄りがない篠田に罪を被せたのだった。

美月が嘘をついていたのも、本当のことを言ってしまったら住民たちに迷惑がかかる、町にいられなくなるかもしれない、おそらくそんなことを考えていたからだった。

事件から6年後、失踪していた篠田が現れ、罪悪感に耐えられなくなった高瀬先生は自殺……。

「ふざけたこと言ってんじゃないわよ! 必要な人のためなら誰かを犠牲にして良いなんて誰が決めたの?」
「何が篠田は必要ない人間よ。必要ない人間なんていない」
「あなたたちは篠田から6年の歳月を奪った。彼はその6年間透明人間として生きるしかできなかった。みなさんはどう思われますか。私は本当に腹が立ちます!」

「本当に腹が立ちます」から麗子の怒りがびりびりと伝わってきた。
住民たちの多くはあの事件を「もう終わったもの」として暮らしていた。
しかし篠田は苦しみ続けていたのだ。犯人としてもいい人物=必要ない人物として扱われたことで、自己肯定感がどれだけ損なわれたか。

結審の日、法廷で真相が明らかになり、篠田は無罪になる。
喜びの涙に顔を覆う篠田を見守る麗子の表情は温かい。

麗子の「人を信じる力」が美月の証言や亀田旅館の主人の言葉を引き出し、無実を勝ち取った第10話だった。

「本当に腹が立ちます」麗子の怒り、篠田の涙

後日談的な11話にほっこり

「十ヶ浜強盗殺人事件」が解決した10回がドラマ最終回でも全然よかった。だが、コンサートでのアンコールのような、演劇舞台のカーテンコールのような、オマケの第11話「麗子失踪編」が放送され、これが最終回となった。

晴れて無罪放免となった篠田。
「せっかくだからさ、この際いろいろ申し込もうと思って。パスポートにマイナンバーカードに歯科検診に図書館に区民プール。麗子ちゃん、世界は広かったんだね!」
当たり前のことなのに凄く嬉しそう。改めて、篠田良かったねぇ。

篠田は小説の売り込みをスタート。
偶然出会った出版社の男(阿南健治)に「有名作家も最初は自費出版」と誘われ、300万円を支払った。それを立て替えたのは紗英(関水渚)。「ようやく掴んだ夢だもの。300くらいはした金よ」と気前が良い(人が良いとも)。

届いた見本刷を前に無邪気に喜ぶ篠田、紗英、黒丑(望月歩)。津々井先生(浅野和之)だけが詐欺を疑い頭を抱える。出版祝いのごちそうを用意した篠田だが、麗子からは「旅行に行くの。タヒチ」と電話が入る。

さて、タヒチに行っているとはいえ麗子に電話が繋がらない。普段使っていないメアドから一方的に連絡が入るのみ。

何かおかしい、と感じた篠田は麗子の居場所を推理し、麗子が留置所にいることを突き止める(篠田の推理が当たったのってもしかして初めて?)。
さらに麗子が留置所に入れられてしまった理由も言い当てた。
篠田が出版詐欺に遭ったことに気付き、詐欺師からお金を取り戻そうとした麗子。しかし詐欺師の策略にひっかかって逮捕されてしまったのだった。
「お金にならない仕事はしない主義」じゃなかったの麗子ちゃん!

麗子は金の亡者、ツンツンした女と見せかけて、実は正義感も情も誰より深い人だった。食べっぷりも気持ち良くて回を重ねるごとに好きになっちゃうキャラクターだった。
回を重ねるごとに好きになっちゃうのは紗英も、津々井も、篠田も。
麗子不在時のエピソードで、十ヶ浜のことを話したら社交界で名探偵と噂が広まり、知り合いから「政治家の事務所から裏金3億円が消えたから助けてほしい」と頼まれたと嬉しそうに報告する紗英、可愛かった。

褒められた紗英が照れ隠しで言う「な、なに言ってんのよ」もめっちゃ好き。あと黒丑も好きだった。原作とドラマがかなり違っていたから仕方ないけどもっと出番があっても良かったのになぁ。

真相を決定するには証拠が足りなかったり、根拠がいまひとつ薄かったりとミステリーとしては正直「ウーン」と思うこともあったけど、友情や正義をクールに描こうとした意欲作だったと思う。

紗英のキャラ、最高でした!
綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』篠田の記憶があやふや過ぎて、やっぱり怪しい 綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』篠田は確かに怪しいけど、殺人犯とは思えない
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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