最終回直前『日本沈没ー希望のひとー』8話。小栗旬が予告してた“里城無双”来た!カッコ良くてかわいい石橋蓮司

小栗旬主演の TBS 系日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』。原作は1974年に刊行された小松左京の小説『日本沈没』。2023 年の東京を舞台に、沈没という見えない危機が迫るなかで「見出していく希望」をテーマに描かれます。アメリカに働きかけた東山総理(仲村トオル)の移民対策が中国の怒りを買い、中国から「日本沈没」の危険が世界中に知られてしまう。中国の協力なくして移民対策はなし得ない。天海(小栗旬)は、里城副総理(石橋蓮司)と劉国家主席と面会するため中国に向かう。

「石橋蓮司さんが演じた里城副総理は、途中から可愛く見えてくるんですよ。“里城無双”って感じになっています(笑)」

放送開始前のインタビューで、小栗旬はこう語っていた。前半の里城は、国民の命よりも経済を重んじる頭の固い政治家のように描かれており、とても活躍するようには見えなかった。
しかし、ここ1~2話で里城は印象が激変した。特に最終回直前の8話では、まさに里城無双と言った状態で、カッコよくもあり、小栗の言うように可愛くもあった。もはや主人公なのでは錯覚するほどだ。

日本と心中を決める人たちも

東山総理(仲村トオル)のミスにより、中国との移民交渉が難航する。さらには全世界中に日本が沈没する事実が知れ渡ってしまう。改めて交渉の場についた中国は、移民受け入れの条件として日本企業5社の引き渡しを要求してくる。だが、常盤医療の常盤会長(小野武彦)はこれを拒否した。

東山が説得に当たるも、常盤会長は「希望の見えないところに大事な社員を行かせられない」「政府は何もできていない」と完全拒否。何も言い返せない東山の株は、里城と入れ替わるように暴落していく。仲村トオルが威厳たっぷりに演じてくれているだけに、なんとか汚名返上のシーンを期待したい。

8話では、タイトルにもある「希望」というワードがよく使われた。ここでの希望の意味は、日本から脱出することではなく、脱出後に見る希望のことだ。日本人のほとんどは海外での生活に不安を覚えており、天海ら政府関係者は「生きてさえいれば」と命を最重要視したが、国民は生き延びた先にある生活を見ていたのだ。

移民交渉が上手くいったとしても、希望する国にはほぼ行けない。仕事、学歴、財産、人間関係など、これまで培ってきたモノはほぼ全て無になり、日本国民はみな一からやり直さなければならない。天海の母・佳恵(風吹ジュン)も「周りの人間と日本に残る」と言っていた。実際に日本が沈没するとして、海外での生活に希望を持てる人間はどれくらいいるだろう? 佳恵の言い分は非常にリアルだ。

希望のひと

「希望が必要だな」

沈没を前に荒む人々を見た天海は、生き残ることだけではなく、生き残った先のことを考え始める。居酒屋の店員・愛(与田祐希)の「街ごと引っ越せたらいいのに」という言葉をヒントに、ジャパンタウン構想を思いつく。日本にも外国人たちが集って形成するチャイナタウン、コリアタウン、ブラジルタウンなどがあるが、同じように日本も他国に街を作ろうというのだ。そして世界中に散らばったジャパンタウンがネットを介すことによって、国土がなくても日本人同士が繋がることができると考えたのだ。

このプロジェクトが天海が考える希望になる。人間はどれだけ過酷な状況に身を置いていても、未来に希望があれば前を向くことができる。逆にどれだけ恵まれていても未来に希望がなければ、前へは進めない。このドラマが伝えたいモノは、絶望の中で前を向くことの大切さになるのだろう。タイトルの「希望のひと」とは、希望になる人ではなく、希望を作り出す人のことだった。

里城無双!

ジャパンタウン構想を携えた天海と里城は、里城と古くから親交のある楊元国家主席に会いにいく。10分と限られた時間の中で天海は、プロジェクトを力説する。楊氏からの「日本人は中国人になれますか?」との質問には、「中国人になれるとは簡単にはお約束できません」と偽りのない言葉で向き合った。

ここからが里城無双の始まりだ。里城は武器である外交力で交渉の場を作ってはいたが、特に有効な発言をしたわけではなかった。しかし、楊氏の心を動かしたのは里城だった。持ち出した古い写真には40年前の里城と楊氏が写っている。楊氏は技術力の提供など中国の発展に大きく尽力した里城への恩義を理由に、現主席への提言を約束してくれたのだ。

現主席との移民交渉がまとまると、里城は東山と抱き合い、曇りのない笑顔を炸裂させた。たぶん今作では初めてだろう。里城の偉大な実績と、ただただピュアな表情。カッコ良さからかわいさまで一気に表現してみせた、まさに里城無双だ。これまでにやり遂げたことが里城を支え、日本を救ったのだ。ちょっと前までの悪役顔が嘘のようだ。

もう1人の希望のひと

中国を皮切りに、フィリピン、インドネシア、モンゴルなど次々に移民交渉が決定していく。しかし、具体的な移民の選別方法が難しい。家族単位で移民先を申請する案が出されたが、それだと独り身や事実婚の人々が一人ぼっちになってしまう。事実婚は婚姻届けを出してしまえば解決かと思うかもしれないが、おそらくここには同性カップルも含まれているのだろう。もちろん結婚を決意できないカップルだってたくさんいる。

友人グループでの申請もアリという意見が出たが、反社やカルト集団についての処遇が難しい。他にも重病患者はどうするのか、受刑者の処遇は? 問題は山積みだ。そもそも友達グループというのは具体的に何人くらいなのだろう。なんだか学生時代に「3人組を作れ」と言われた時の恐怖を思い出す。もうめんどくさい。そう考える人が出てきてもおかしくない。

そんななか、椎名(杏)がメディアの力を駆使して「私たちは日本の皆さんを待っています」という世界中からのメッセージ動画を街頭ビジョンに流す。これで生きていけると感じた人も少なくなかったはずだ。椎名も天海と同様に希望のひとだったのだ。

今夜放送の最終回は、なんと2時間3分の拡大スペシャル。東山と世良教授(國村隼)を狙ったテロが起きてしまい、全世界で日本人移民の受け入れ停止が発表される。それでも災害は待ってくれず、ついには日本が沈没し始める。全くもって落とし所がわからないが、一体天海たちはどうなってしまうのだろうか。

小栗旬×松山ケンイチ『日本沈没ー希望のひとー』7話。里城(石橋蓮司)を信じてよかった……からの、無能なのは総理(仲村トオル)だったのか!

日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』

TBS系毎週日曜よる9時~
原作:小松左京「日本沈没」
出演:小栗旬、松山ケンイチ、杏、ウエンツ瑛士、与田祐希(乃木坂46)、國村隼、風吹ジュン、比嘉愛美、宮崎美子、吉田鋼太郎(特別出演)、杉本哲太、風間杜夫、石橋蓮司、仲村トオル、香川照之ほか
脚本:橋本裕志
音楽:菅野祐悟
演出:平野俊一、土井裕泰、宮崎陽平
プロデューサー:東仲恵吾
企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
ドラマレビュー