小栗旬『日本沈没ー希望のひとー』3話。今夜いよいよ日本パニックモードへ!やりすぎなくらいが日曜劇場だ

小栗旬主演の TBS 系日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』。原作は 1974 年に刊行された小松左 京の小説「日本沈没」。2023 年の東京を舞台に、沈没という見えない危機が迫るなかで「見出して いく希望」をテーマに描かれます。だが、3話目でまだ沈没しないのはかなりゆっくりした展開かもしれません。田所博士(香川照之)の説を真剣に捉えた天海(小栗旬)だけは「一年“以内”、沈没は明日も起こりえる」と危機を訴えているけれど、果たして4話の日本の運命はどうなりますか。

小栗旬を始めとした豪華キャスト、原作は何度も映像化された小松左京の『日本沈没』、放送枠は「日曜劇場」ということで、このドラマは非常に大きな期待を背負ってのスタートとなった。

1話の15.8%からほぼ落ちずに、2話15.7%、3話15.7%と高視聴率をキープし、出来栄えも概ね視聴者の期待に応えるものとなっている。しかし、もしかしたら冗長に感じてしまっている人もいるかもしれない。なぜなら、タイトルで宣言している割に日本が全く沈没しないからだ。

とはいえ、1話から急展開で災害が起きてもそれはただのパニックドラマになってしまう。今は政治劇でしっかりと話を固めている過程。積み上げている最中なのだ。だが、それでもいよいよストーリーは大きな展開を迎える兆しを見せている。選挙休みを挟んで今夜放送再開される第4話では、いよいよ日本がパニックモードに突入しそうだ。

危機感のズレは仕方ない?

田所博士によると、50パーセントの確率で一年以内に関東沈没が始まるとのこと。未来推進会議のメンバーは、「50パーセントの確率で一年“後”に関東が沈没する」と都合の良い解釈をしてしまう。しかし、一方の天海(小栗旬)だけは「一年“以内”、沈没は明日も起こりえる」と危機感を募らせる。

政府や会議のメンバーの言動は若干ノンビリしているように見えてしまう。が、これは仕方のないことだ。誰だって関東沈没なんて現実を突きつけられたら、スピーディに最善の選択なんてできやしない。里城副総理(石橋蓮司)は田所を詐欺学者と決めつけていたが、この人だってそれほどおかしな思考とは言えないだろう。田所みたいな奇人がネットで沈没だとか騒いでいたら、僕だって簡単に信じられるとは思えない。

イマイチ現実感のない沈没説、しかし、地球物理学の権威であるジェンキンス教授(モーリー・ロバートソン)が田所を支持したことで一気に信憑性が増す。だが、それでも未来推進会議のメンバーには危機感にズレがあった。天海と常盤(松山ケンイチ)の強いプッシュで、「国民へ沈没をどう発表するか?」という話し合いが持たれたが、この2人にすらズレは生じていた。

やりすぎなくらいが日曜劇場にはちょうど良い

常盤の主張は、「対策を急ぎ、閣僚、各省次官、財界幹部、自治体へと段階的に沈没の情報を拡げていく」というものだった。経済的な混乱を抑えながら、少しでも多くの命を守ろうとする賢明な案と言える。

天海も当然同じ意見かと思われたが、口から出た言葉は全くの別物だった。噂が一人歩きをすることを防ぐため、全国民に情報を一気に拡散させるというのだ。どう考えてもハイリスク、勝手な行動を取る者も増え、混乱は避けられない。情報開示の時点で、間違いなく壊滅的な経済ダメージを負うことになるだろう。もし、沈没が起きなかったら目も当てられない悲惨な状況だ。それでも天海は、情報開示さえすれば命だけは助かると主張した。

反対する常盤に対して、天海は「誰かに忖度しているのですか?」と強気の姿勢。これは経済面に重きを置く常盤と里城の関係に釘を刺す言葉だ。確かにそういった一面があったのかもしれないが、常盤の意見は建設的だ。間違っているわけではない。むしろこの状況では、天海の意見の方が正義が行きすぎているようにも見える。だって、沈没が起きる確率は50%なわけだし、それすらも信じるのは難しいのだから。

そんな天海の原動力は、漁師だった父(吉田鋼太郎)の「役人になって弱いものを助けてくれ」という言葉だった。善を根幹に持ちながら、「お前ちょっとやりすぎだぞ!」という攻めっ気を見せるのは日曜劇場の得意パターンだ。半沢直樹ら同枠で活躍したダークヒーローを思い起こさせる。

問い詰める杏

「情報を漏らした者は懲戒処分とする」と結論はいったん保留。しかし、大企業がこぞって東京の都市開発から手を引き出す。里城が財界の要人に沈没の情報を流してしまったのだ。おそらくそこで何かしらの利益を得たのだろう。

里城は目先のことしか考えられない無能に見えるが、東山総理(仲村トオル)には「私をお切りになさってもかまわないんですよ?あなたにはその権力がある」と謎の胆力を見せる。掴みどころのない悪だ。この先もいろいろと振り回してくれそうな感じがある。

そんな中、田所博士は天海に「半年以内に70%超えの確率で関東が沈没する」と予測を修正した。早急に国民に情報を開示しようとする天海だが、リスクを恐れて未来推進会議は動けない。切迫する事態に焦る天海を、盗聴で沈没の情報を得た週刊誌記者の椎名(杏)が問い詰める。
「あなたはそれでいいんですか?あなたは何も動かないんですか?」

天海があまりにも不憫だ。国民の命のために頑張っているのに、上司も仲間も動いてはくれず、週刊誌にはまるで保身に走る悪徳官僚のようにせっつかされる。天海は東山総理に情報を開示するよう頼み込むが、「体制が整ったら」と先延ばしにされてしまう。

そういえば、放送開始前のインタビューで小栗旬が「椎名がせかしてくるんですよ。『わかってるよこっちだって!』って思うんですけど、それがもう辛くて…」と言っていた。きっとこのシーンのことだったのだろう。全ての責任を1人で背負いこむ孤独な戦いだ。

「日本沈没」いよいよ本番へ……

一方の椎名も戦いを始める。沈没を記事にするが、里城の圧力がかかったのか、編集長(伊集院光)が掲載することを許さない。そんな椎名に天海が「一緒に戦ってみないか?」と共闘を持ちかけた。翌朝、杏が所属する週刊誌と同じグループの新聞の一面に「関東圏沈没の可能性」の見出しが出る。これは天海が進退をかけてリークにしたものなのだろうか?

一気に情報が拡散されたことにより、今夜放送の第4話ではいよいよ国民が混乱状態に。予告映像にはビルが倒壊するようなシーンが盛り込まれて、物語が加速していく。これまでは一般庶民にはいまいちリアリティのない政治劇のみだったが、ここから自分の命が危険にさらされるパニック要素が追加される。

ついに始まるのだ。もう一段階、面白くなりそうだ。

小栗旬『日本沈没ー希望のひとー』2話。目的のためには手段を選ばない男、天海はダークヒーロー

日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』

TBS系毎週日曜よる9時~
原作:小松左京「日本沈没」
出演:小栗旬、松山ケンイチ、杏、ウエンツ瑛士、与田祐希(乃木坂46)、國村隼、風吹ジュン、比嘉愛美、宮崎美子、吉田鋼太郎(特別出演)、杉本哲太、風間杜夫、石橋蓮司、仲村トオル、香川照之ほか
脚本:橋本裕志
音楽:菅野祐悟
演出:平野俊一、土井裕泰、宮崎陽平
プロデューサー:東仲恵吾
企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
イラスト、イラストレビュー、ときどき粘土をつくる人。京都府出身。
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