「半沢直樹」続編は盛り上がるのか? 待ちきれなくて前作をイッキ見、考察してみた
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最高視聴率42.2%を記録した「半沢直樹」が、7年振りにTBS日曜劇場(毎週日曜21時~)に帰ってくる。コロナウイルス感染拡大の影響で放送開始日時こそ未定だが、オリンピックかサッカーW杯かってほど日本中を沸かせた、あの「半沢直樹」が帰ってくるのだ。
テレビ離れが進んだ昨今ではあり得ないほど「みんなが観ているドラマ」だったが、僕はリアルタイムで視聴することができなかった。次こそは、「第二次半沢直樹ブーム」にちゃんと巻き込まれるため、放送開始前に前作をイッキ見してみた。
改めて「やられたらやり返す、倍返しだ!」がすごい
「半沢直樹」の原作は、池井戸潤の小説「オレたちバブル入行組」と「オレたち花のバブル組」。銀行に追い詰められて自殺した父を持つ半沢直樹(堺雅人)が、銀行の不正に立ち向かうお仕事ドラマだ。テーマは「経済」だし、派手なアクションもないし、恋愛もない。今振り返ると、おじさんばかりが出てきてなんとも視聴率の取れなさそうなドラマだ。わかりやすい「とっつきやすさ」も持たずに、面白さのみで日本国民をねじ伏せたと言える。
代わりに、「とっつきやすさ」になったのが有名な決め台詞「やられたらやり返す、倍返しだ!」だろう。これがすごい。これが流行ったことが全てとも言える。通常決め台詞には、「真似しやすい」「キャラクター性が伝わる」「なんかインパクトがある」辺りが備わっていれば十分なはずなのだが、半沢の場合はたったの一言でストーリーの大まかな流れさえも補完している。
限りなくわかりやすく説明や演出がなされているとはいえ、小難しいお金の話がメインだ。そんななか半沢がここぞというときに言い放つのは、「やられたらやり返す、倍返しだ!」。つまり「お前は俺たちにひどいことをした。これからやり返すから見ておけ!今から反撃のターンが始まるぞ!」とストーリーのガイドライン的な役目を、たった一言の決め台詞が果たしているのだ。突然、敬語からタメ口になるのも下克上感が上手いこと演出されている。これならお金の話がうまく理解できなくても話の流れはしっかりと伝わる。さすが42.2%。子ども人気があったのも頷ける。
香川照之に耐性ができている僕たち
たっぷりと時間を使った大袈裟な演技もヒットした大きな理由だろう。堺雅人のキレのある長台詞、香川照之の視聴者全員にストレスを与える立ち振る舞い、片岡愛之助のねっとりとしたオネエ口調、全男の理想みたいな上戸彩の良妻っぷり、全部が派手でわかりやすい。言い出したらキリがないが、及川光博の安心感や、滝藤賢一の人を不安にさせる繊細さ、全員がハマり役だった。おっさんたちの顔に刻まれたシワの数々が、何十年も銀行マンとして働いてきた男の説得力を生んでいた。
そんな「半沢直樹」が帰ってくる。しかし、社会現象を巻き起こしたあの熱狂ぶりが再現されるのかと言われれば、簡単ではなさそうだ。7年前よりもテレビ離れは加速している上に、「下町ロケット」「陸王」「民王」「ルーズヴェルト・ゲーム」など、同じ池井戸ドラマが何本も世に出ているからだ。濃くて熱い演技や演出が、前作の時ほど新鮮に感じることができないのだ。
しかし、視聴者が慣れてしまっているからこそできることもある。それはもっともっと大袈裟な演出をすること。香川照之の人間を煮詰めたような濃い演技を、前作で味わった視聴者が大勢いる。言うならば、僕たちは香川照之に耐性ができているのだ。7年前だったらやり過ぎになってしまうかもしれないほど粘度の高い演技も、今なら十分に楽しむキャパシティーが生まれているのだ。ブレーキをかけない自由な演技を、演者には期待したい。
また日本中を巻き込んで欲しい
次作では就職氷河期の「ロスジェネ世代」として、賀来賢人、尾上松也ら。上のバブル世代として、市川猿之助、戸次重幸、古田新太などが新たに出演。香川照之、片岡愛之助、及川光博など前シリーズの主要キャストも登場する。それぞれの特性がフルに生かされるようなことになれば、ひとつのドラマが日本中を巻き込む異常事態が再現されるかもしれない。舞台は、前シリーズのラストで言い渡された出向先の東京セントラル証券だ。
日曜劇場「半沢直樹」
TBS系日曜21時~(放映開始未定)
原作:池井戸潤「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」
脚本:丑尾健太郎ほか
演出:福澤克雄ほか
プロデューサー:伊與田英徳ほか
https://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/
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