「恋はつづくよどこまでも」を惜しみつつ「いいね、光源氏くん」を早くも愛でたい

「恋つづ」ロスから立ち直れない……そんなあなたにオススメの春ドラマが次々と始まっています!「恋はつづくよどこまでも!胸キュン!ダイジェスト」を見て、恋つづにさよならしたら、「光源氏くん」「レンタル」「ギルティ」……春ドラマで旬の俳優陣をチェック!

さようなら「恋つづ」のさみしさをどうしたら

2020年1月クールドラマで、胸キュンで大反響を呼んだ火曜ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)。本日、4月14日(火)には「恋はつづくよどこまでも!胸キュン!ダイジェスト」が放送され、改めて七瀬(上白石萌音)と(かいり)(佐藤健)のキュンキュンシーンを堪能できるはずだ。

「恋つづ」は、すでに最終話は放送されているし、配信サイト・Paraviでのディレクターズカット版も見終わった。佐藤健がおこなっていたライブ配信アプリ・SUGARでの配信も不定期となり、毎週の楽しみが減ってしまってなんだかちょっとさみしい……。そんな気分にもなってしまう。

しかし、4月クールドラマはすでに始まっている。「恋つづ」ロスや外出自粛の辛い気持ちをじんわりとあたためてくるのが、毎週土曜放送のよるドラ「いいね!光源氏くん」(NHK総合)だ。

4月4日(土)から放送スタートしている「いいね!光源氏くん」は、伊藤沙莉、千葉雄大出演のコメディドラマ。千葉雄大が演じる光源氏が、伊藤沙莉が演じる現代の働く女性・沙織の家にタイムスリップしてくる。

沙織「ちょっと待って。そもそも光源氏って『源氏物語』の主人公だよね。ってことは、この人、創作上の人物! リアル2.5次元!?」

物語の登場人物がタイムスリップってどういうこと? というこちらの疑問にも、第2話で沙織がツッコミを入れている。不可思議な点にはフォローを入れてくれる親切設計だ。見る側は、沙織目線でも楽しめる。

 

千葉雄大の「受け入れる柔らかさ」にキュン

光源氏(ドラマでは「光くん」と呼ばれる)は、第1話で沙織にスマートフォンを渡されている。おいしいものや美しいものに出会ったときには、その感動をいっぱいに込め、たっぷり時間をとって和歌を詠む。そして写真とともにSNSにアップ。投稿にはたくさんの「いいね!」がつく。

平安時代からきた光は、烏帽子を脱ぎたがらなかったりテレビに映った女優に恋をし泣いてしまったりと理解しがたい部分もある。けれど、抹茶ラテフロートがおいしくてSNSで文章にしたり、町で見かけた花や犬が可愛くてつい写真を撮ってしまったりという感性は、いまのわたしたちとそう変わらない。

一人現代にやってきた光は、ときに不安がって目を潤ませる。またあるときは、沙織の妹・詩織(入山杏奈)のネイルに興味を示し、自分の爪も飾ってもらってはしゃぐ。男だから女だからなどは関係ない。「この地では、急がねば生きていけぬのか? 気の毒に」などと現代の常識に疑問を呈することはあれど、それを否定せず受け入れる。

「それにしても、何故辻々に懐紙を手にした女人が立っておるのだ?」

街中のティッシュ配りのティッシュ(懐紙)を全部受け取ってしまう光の受け入れ力! 実はその前に、沙織の恋愛に口を出して怒らせてしまっているのだが、それは沙織の気持ちに鈍感だからだった。沙織を否定したわけではなく「焦ることはない」とも語りかけていた。人や状況を受け入れていくこの柔らかさは、千葉雄大にぴったりの役だ。

沙織の「キュン」までは少し時間がかかりそうだが、そののんびり感も心地良いドラマになりそうだ。「恋つづ」でジェットコースターのように振り回されるのも良かったけど、「光源氏くん」ではゆったり癒されたい。

 

増田貴久のまるい頬の人間味

もう一つ、ゆったり系のドラマがあった。毎週水曜深夜放送のドラマホリック!「レンタルなんもしない人」(テレビ東京)。NEWSの増田貴久が、主人公の「レンタルなんもしない人」ことレンタルさん=森山将太を演じる。

「レンタルなんもしない人」は、「なんもしない人(ぼく)を貸し出します。」「ごくかんたんなうけこたえ以外、なんもできかねます。」という紹介文でTwitterで始まった実在のサービスだ。もちろん、レンタルさん(=森山)も実在の人物。交通費とかかった飲食代だけの支払いで、レンタルさんがなにもせず、ただそばにいてくれる。そのドラマ化である。

4月8日に放送された第1話では、東京で夢破れて故郷に帰ろうとしている大宮亜希(志田未来)から「東京最後の一日に付き合ってほしい」と依頼される。亜希の思い入れのある場所だという東京タワーに一緒に登るが、どうもしっくりこない。住んでいた家の近くの河川敷で、亜希は「自分は東京で頑張ってきたのだ」とゆっくり振り返ることができた。

「同じチームでしょ」「縁の下の力持ち」。そんな周囲の言葉を信じていたけれど、亜希は正社員になれず契約を切られてしまった。何も爪痕が残せなかったと嘆く。

亜希「レンタルさんは、東京で何かしてやろうとか爪痕遺してやろうとか思ったことないですか」
レンタル「ないですね。何もしてないけど、毎日そんなに悪いもんじゃないですから」

「レンタルなんもしない人」という名前に偽りなく、レンタルさんは自分からは何もしない。つまらない絵面になってしまうのではと思っていたけれど、「毎日そんなに悪いもんじゃないですから」と言ったときの横顔が本当にきれいだった。

相手に興味がなく生気がなさそうに見えていたレンタルさんの頬に、自然光が差している。その光で頬の産毛が柔らかく光る。また、増田貴久のまあるい頬の膨らみと血色が、なにもしていなくても血の通った人間であることを物語ってくる。増田貴久のこのフォルム、役柄とベストマッチだ。

実在のレンタルさんのツイートを見ていて別居のエピソードなどを知っている人は、ドラマ内で妻・沙紀(比嘉愛未)との仲睦まじい時間に少しモヤモヤするものがあるかもしれない。それでも、増田貴久が「なにもしない」と人間らしさとの演技をどんな風に両立させていくのかを追っていくのは、とても楽しみだ。

「レンタルなんもしない人」の後に放送されているミニドラマきょうの猫村さん」(テレビ東京)と続けてみて、癒し効果を高めるのもおすすめ。

 

町田啓太の「彼氏感」笑顔を堪能

最後は、毛色がまったく異なるがプラチナイト木曜ドラマF「ギルティ~この恋は罪ですか?~」(読売テレビ・日本テレビ系)を紹介したい。「登場人物、全員裏切り者。」「#ドロキュン ラブ・サスペンス」と濃いめのコピーが画面に踊る。ロケバスの運転手にアプローチして結婚したエピソードが知られる新川優愛が主演を務め、ドロドロの不倫沼に巻き込まれていく。

主人公の編集者・荻野爽(さやか)(新川優愛)は、優しい完璧な夫・一真(小池徹平)と仲良く暮らしている。仕事や結婚生活の悩みは、親友の瑠衣(中村ゆりか)に話す。すると、瑠衣も親身になって応えてくれていた。

あるとき、仕事で行ったレストランで、爽は秋山慶一(町田啓太)と会う。慶一は、幼馴染であり元恋人でもあった。かつて最も好きだった人物との再会をきっかけに、家庭環境に恵まれなかった爽は、昔の自分を思い出すようになっていく。

4月9日放送の第2話では、爽は、瑠衣と一真が不倫していることを知ってしまう。一真は爽の夫であると瑠衣は知っているが、一真は爽と瑠衣の関係を知らないようだ。瑠衣はなぜ一真を狙ったのか。一真はなぜ爽と結婚したのか。一真に強く言えない爽は、この事実をどう受け止めるのか、信じていた二人だったのに。と、物語は登場人物たちをグルグルと闇に落としていく。

回想シーンで、高校生時代の爽と慶一が登場するが、新川優愛と町田啓太がそのまま高校の制服を着ている。町田はドラマ「PRINCE OF LEGEND」(日本テレビ系・2018年)や「女子高生の無駄づかい」(テレビ朝日系・2020年)で教師役をしていた記憶が新しすぎて、ブレザー姿だと高校生感があまりない。でも、それがまた「爽の美化された記憶」としての違和感を醸していて良い効果になっている。

町田啓太の笑顔には「誰にでも平等に向けられる」感じがある。下心が見えない、品がありすぎるからだろうか。SNSなどで言われている「彼氏感」とは、誰でも「私に向けて笑ってくれた」と勘違いしてしまいそうな、この平等な笑顔のことではないだろうか。

例えば最近では、ミスター学習院大学コンテスト2015に参加していた「よしだまん」が同居人に「ふェイ、おつかれィ」と呼びかける動画が8万リツイート38.2万いいね(※4/13現在)をされ、「彼氏感ある!」とバズっていた(参考:https://twitter.com/zangyowawhite/status/1234802663272796160)。見る人がそれぞれに「彼氏っぽい」と思えるプレーンな雰囲気は、町田啓太の笑顔に通じるものがある。キュンとできるポイントだ。

 

不倫女子には堪らん!小池徹平の流され力

一方、1話では表情筋が固定されているのかと思うくらいの張り付いた笑顔を見せていた一真。2話では、激昂したかと思うと「話にならない」と出ていき、着衣でシャワーを浴びながらの不倫相手とのセックスを挟んで、急に妻に「ごめん」と潔く謝る、わかりやすくヤバい男である。

普段の一真は、記念日を忘れずにケーキを買って来たり、家事もスキンシップも欠かさない「良い夫」。「良い夫」像に自分で自分をハメ込んでいる。そのヤバさが爽を惹き付けてしまったのだろうか。

一真は不倫相手である瑠衣の押しに勝てず流され、爽のいない間に家にあげてしまったり、家の風呂場でセックスしてしまったりする。これは不倫女子にはグッとくるポイントとも考えられる。既婚男性が、自分のために(自分のせいで)倫理を踏み超えてきてしまう。それは支配欲を満たす快感なのかもしれない。

瑠衣役の中村ゆりかの不倫女の演技は、第二の松本まりかかと思うほど。寝取り根性が芯から漏れていていっそ気持ち良い。他にも、ドラマ「恋のツキ」(テレビ東京・2018年)や「左ききのエレン」(TBS系・2019年)で存在感を示した神尾楓珠が、爽に思いを寄せる後輩役で今後活躍しそう。隠された見どころがまだまだありそうで怖い、楽しみだ。

放送が延期されたドラマも多い今シーズン。だが、放送開始されたドラマは粒ぞろい。ここでは特に、キャスティングに「大正解!」と言いたくなるドラマを紹介した。千葉雄大、増田貴久、町田啓太、小池徹平、神尾楓珠と、どのタイプの男性にキュンキュンするか、癒されるか、自分のタイプを探してみてはどうだろう。

そして、今晩は「恋はつづくよどこまでも!胸キュン!ダイジェスト」放送! 正統派・王道のキュンキュンをチャージしつつ、次見るドラマを吟味しつつで、平日を乗り切っていきたい。

火曜ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)2020年1月期放送
※4月14日(火)「恋はつづくよどこまでも!胸キュン!ダイジェスト」放送予定
https://www.tbs.co.jp/koitsudu_tbs/
Paraviで配信中
https://www.paravi.jp/title/50393

よるドラ「いいね!光源氏くん」(NHK総合)土曜よる11時30分放送
https://www.nhk.or.jp/drama/yoru/hikarugenji/
NHK公式サイトで配信中
https://www.nhk.jp/p/ts/L2XV225GVX/

ドラマホリック!「レンタルなんもしない人」(テレビ東京)水曜深夜放送
https://www.tv-tokyo.co.jp/rentalsan/
Paraviで配信中
https://www.paravi.jp/title/53567

ミニドラマ「きょうの猫村さん」(テレビ東京)水曜深夜放送
https://www.tv-tokyo.co.jp/kyouno_nekomurasan/

プラチナイト木曜ドラマF「ギルティ~この恋は罪ですか?~」(読売テレビ・日本テレビ系)木曜よる11時59分放送
https://www.ytv.co.jp/guilty/
TVerで最新話配信中
https://tver.jp/corner/f0049796

ライター・編集者。エキレビ!などでドラマ・写真集レビュー、インタビュー記事、エッセイなどを執筆。性とおじさんと手ごねパンに興味があります。宮城県生まれ。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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