【麒麟がくる】第13話 道三(本木雅弘)と帰蝶(川口春奈)父娘の血のつながり、すごい
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どちらかと申せば嫌いでございます
天文21年(1552年)、光秀(長谷川博己)は道三(本木雅弘)と高政(伊藤英明)の間に挟まれて悩んでいた。大河ドラマ「麒麟がくる」第13回「帰蝶のはかりごと」(演出:深川貴志)の冒頭は、光秀がうぐいすの声ではっと何か閃いて、道三に会いに行く。
「わしが嫌いか」と問う道三に光秀くんは「どちらかと申せば嫌いでございます」とはっきり言ってしまう。でも何かと御恩があるから殿には弓は引けないと泣く。男子たるものこんなに涙声になっていいのか。もしや嘘泣きしてるのかと思ってしまうほど、このドラマは人の気持ちが信用ならない。心の内にいろいろな思惑を秘めた、食えない人ばかりの中で、光秀くんだけ純粋に見えるが、それだってわからない。
道三は光秀の涙に免じて、高政が心酔する土岐頼芸(尾美としのり)とは戦わず穏やかに美濃から出ていってもらうと言う。
その頼芸に道三がしたことは、大切にしている鷹たちを皆殺しにすることだった。
鳥小屋のシーンは無残な鳥をそのまんま映すことなく、羽を大量に散らし、ハエの羽音をさせて、屍肉の匂いを感じさせる演出。けっこう効果的だったが、頼芸のひげに羽がぴたっとくっつき、羽がひげみたいになっていたので、ちょっとおもしろく見えてしまった。
血で繋がった者たちの情が絡み合う
怖気づいた土岐は美濃から逃げ出し、ショックな高政。道三には「そなたは置き去りにされたあわれな忠義者ではないか」とばかにされて「おまえ」と牙をむく。
「言葉は刃物じゃ 気をつけて使え」
まことの父親と道三を認めない高政に、哀しい顔の母・深芳野(南果歩)。
下賤な成り上がりの父(道三)より高貴な身分の父(頼芸)の子でありたいと願う高政。
父を幼い頃に亡くして、母ひとり子ひとり(叔父ひとり)の光秀。
父が母のせいで自分を大事にしてくれないと不満を募らせた信長(染谷将太)
母と自分を人質に出した父が嫌いだった家康(竹千代)。
「麒麟がくる」は、父と子、母と子、血で繋がった者たちの情が絡み合う物語だと感じる。土地や家に強くがんじがらめになっている人たちの欲望は、継ぎ足しし過ぎて味が濃く苦過ぎる。
父に人質に出された帰蝶(川口春奈)は、父母の愛情に飢え、身内が信用できないと思っている夫・信長と意気投合している様子で、信長を守ろうと行動に出る。このふたりは血が繋がってはいないが、夫婦として、強く結びついているように見える。
信秀(高橋克典)が死んだのち家督を継いだ信長だったが、織田家には内紛が起きて、天文22年、その扱いに困った平手政秀(上杉祥三)が切腹。信長が頼れるのは帰蝶しかいない。
帰蝶は、道三から信長に面会したいという旨の手紙をもらっていた。
四面楚歌。父も家老も死に、東は今川。国の中が敵だらけ。道三に会ったら殺されるんじゃないかと想像した信長は面会を断る。
そこで帰蝶は「私は美濃に戻らねばなりませぬがよろしうございますか」と脅す。
信長は黙って帰蝶の手をとって、そっと握る。
夜、また膝枕してもらっている信長。完全に帰蝶に手なづけられている印象。
帰蝶は何を考えているのか。道三に夫を殺させようと言うのか。それとも道三と手を握らせて、今川の攻撃と織田家の内紛を一気に解決しようとしているのか。
「麒麟がくる」で実は一番読めないのが、帰蝶である。いまのところ、信長の妻として内助の功を発揮している感じなのだが…。
帰蝶は、信秀が気に入っていた旅芸人の伊呂波太夫(尾野真千子)が紀伊の根来衆などと顔見知りで兵を集めさせていたと聞いていて、彼女にお忍びで会いに行き、大金を払って兵を集めさせることにする。大金をじょじょに見せていく(最後は砂金)ところが痛快だった。
光秀くん、こればっかり!
尾張の聖徳寺で信長と会うことが決まり、道三は光秀に一緒に来るように言う。
万が一、別人が来るかもしれない。人の心はわからないもので「共に茶を飲むとき、その茶に毒が入っているかもしれんぞ」と言う道三の話を聞いて、面妖な顔をする光秀くん。
いまの信長はまことに危ういところに立っていて、道三にも信長を殺さないかという話が持ちかけられていた。婿殿に会ってみてからどうするか考えると不敵な顔。場合によってはまたお茶で毒殺してしまうかもしれない。
光秀くんは、帰蝶から「信長をよろしく頼む」と書かれた手紙をもらっていて、またしても道三と帰蝶の間に立たされてしまう。光秀くん、こればっかり! 長谷川博己があえてなのか、ポカンとのほほんとした顔をしているので、ちょっとおもしろく見ることができるが、実際、この立場だったら、心身ともに病むだろう。
そして4月。
道三は、古きものより新しきものを、また美しきものを好むからと、会見用の衣裳を決める帰蝶。
「できることはすべてやり、あとはその場の勝負」
「これは父上と私の戦じゃ」
頼もしい帰蝶。やっぱり信長を守ろうとしているようだ。
聖徳寺にやってきた信長は、鉄砲をもった大量の兵士を連れてくる。総勢300人。
伊呂波太夫に集めせたのだろう。
信長を送り出し、ひとり、城でお茶を飲んでいる帰蝶。
父が信長をお茶で殺すかもしれないと言い、娘は余裕で茶を飲んでいる。道三父娘の血のつながり、凄い。帰蝶は父も夫もどちらも守ろうとしているのかも。最もそれが彼女が人質になった最大の目的であるし、彼女の最たる幸福の形でもあるだろう。帰蝶、強い。賢い。見習いたい。そう思うと、高政が自分は道三の子じゃないんじゃないかと思うのもわかるような気もしないでない。高政には全然、そういう強さとかはったりみたいなものがないから。
藤吉郎は16歳。信長より年下!
道三と信長の出会いは、次回。その前に、13回でもうひとつ注目は、後の秀吉・藤吉郎(佐々木蔵之介)が登場したこと。信秀の死を看取った東庵(堺正章)は駒と共に、尾張から駿河に向かっていたところ、これからは今川様の世が来ると踏んで、今川のもとに行こうとしている藤吉郎と出会う。2本の矢があると思うと、はじめの矢をおろそかにしてしまうと書かれた書を熱心に読んでいる藤吉郎。佐々木蔵之介が演じているので、すっかりおっさんに見えるが、このとき(天文22年)、藤吉郎は16歳なのである。信長より年下! どんなに演技派の佐々木蔵之介が大きな荷物を背負って小さく見せたり、木にのぼってお猿のように無邪気に見せたりしても、藤吉郎くんとは呼べそうにない。信長と光秀と並んだら一番年上に見えるよ……。ちなみに竹千代は10歳。あの幼い彼とは絶対並んじゃいけない。
大河ドラマ「麒麟がくる」
NHK 総合 日曜よる8時、
BS プレミアム 日曜午後6時、
BS4K 日曜午前9時
再放送:総合 土曜午後1時5分、
日曜 BS4K 午前8時
脚本:池端俊策ほか
音楽:ジョン・グラム
語り:市川海老蔵
出演: 長谷川博己ほか
https://www.nhk.or.jp/kirin/
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