「いいね!光源氏くん」進化し続ける千葉雄大「あざとくて何が悪いの?」パワー

外出自粛が続く毎日、またにはキュンとしたり、ときめいたりしたいもの。そんなあなたにオススメなのが、“あざとい”千葉雄大主演のドラマ「いいね!光源氏くん」です。これまでのように、会いたい人に会えない今だからこそ、あざとい年下男子に癒やされるのもいいかもしれません。光源氏くんの演技から見えてきた千葉雄大の魅力を考察します。
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「ただ一緒にいたい」外出自粛時代と重なる素朴な願い

光源氏「私は野の草を食む鹿ではない!」
沙織「なにが鹿よ! 豚だよ、私たちは!」

毎週土曜よる放送のよるドラ「いいね!光源氏くん」(NHK総合)。「源氏物語」の世界から、なぜか現代に流れ着いてしまった光源氏(千葉雄大)。現代の働く女性・藤原沙織(伊藤沙莉)は、そんな光に少し振り回されながらも、家に住まわせ世話を焼く。のんびりゆったりとした光に、沙織は戸惑いつつも癒されていく。

4月18日放送の第3話では、チョコレートやポテトチップスなど現代のお菓子にハマって太った光に、沙織がダイエットを命じる。走ったことがない貴族の光が、沙織と一緒にランニングをしたり、文句を言いながら山盛りキャベツを食べたり。

沙織は「痩せないといけない」という固定観念を持っていた。でも、光は「どうして痩せなければいけないのか」「沙織殿は、そのままで十分美しい」と言う。沙織も、頭では「世の中にはいろいろな好みの人がいる」とわかっているけれど、痩せるのは正しいことだと思い込んでもいた。正しいことや世間の目からは、簡単には逃れられない。でも、光の何気ない疑問や人を褒める素直さが、沙織、そして私たちを縛っているものを緩めてくれる。

沙織は、そんな光とずっと一緒にいたいと思うようになっていく。光がお揃いのマグカップを買って来てくれたことを喜ぶが、それが妹の詩織(入山杏奈)の提案だと知って、ちょっとテンションが下がる。光も自分と同じ気持ちでいてほしい。沙織はそんな風に思うようになっているのだろう。

光と恋人になりたいとか、キスしたいなどの欲求ではなく、沙織の願いはいまのところ「一緒にいたい」というただそれだけだ。シンプルな願い。それが、コロナウイルスの影響で外出自粛が広がり、会いたい人に会いたいという当たり前の願いが叶いづらくなったこの時期の気分と重なり、一層切ない。

自然な演技に溶け込む一段上のあざとさ

本作の見どころのひとつは、やはり光源氏を演じる千葉雄大の演技。ヒロインを守ったり叱ったりするのではなく、突然現代にやって来て戸惑ったり困ったりする可愛らしさに、キュンとしたりほんわかとした気持ちになったりする。その演技は、いままで千葉雄大が得意としてきたわかりやすい「あざとい」とはどこか違うようにも感じていた。

4月17日(金)放送の「あざとくて何が悪いの?」(テレビ朝日系)。「あざとい」と言われる人気アナウンサー・田中みな実、弘中綾香と、山里良太(南海キャンディーズ)が、あざといエピソードのVTRや自分のエピソードに対してコメントし合うバラエティ番組だ。今回、そこに「あざとい」男子として千葉雄大がゲスト出演した。

千葉は「逆オファーで緊急参戦」とのことで、ドアからひょこっと顔と指先だけを出し、登場2秒で山里に「あざとい!」と叫ばせていた。すごい気合いの入りよう。

千葉「知った口きかれるの一番嫌いなんですよ!」
弘中「最高だよ!」

松本まりからが出演するあざといエピソードVTRに「あるある!」「私これ嫌い!」「これみな実さんもやってる!」「僕もやってますね」などと、あざといプロたちの本音トークがぶつけられた。

面白かったことがある。女性のあざとい技には田中、弘中が「これはあざとい!」と気づける。なのに、年下男子や千葉のあざとい技には「言われたい!」「それわざとなの!?」と引っかかってしまいそうだったこと。

例えば、飲み会で遅れてきた男性が「俺○○さんの隣!」と自分の隣の席に来てくれるのは、田中も嬉しいと言っていた。弘中は、千葉が年下男子だった場合「大丈夫?」「寒くない?」などと、年下にも関わらず紳士的にこまめに気遣いをしてお姫様扱いをするという話に「好き」と照れていた。そんな二人に、千葉と山里が「意外とチョロいんですね」と笑う場面も。

女性が「男性って、なんであざとい女性のやり口に気がつかないんだろう」と疑問に思う声を耳にしたことがある。でも、もしかすると女性も、あざとい男性の手口にあまり敏感ではないのかもしれない。千葉の光の演技を見て、そんなにあざとくは感じないなあと思っていたけど、実は……。

そう考えると、「ダイエット中の沙織にポテトチップスを食べさせてあげる」とか、新月の夜に元の世界に帰ろうとしたが帰れなくて「カーテンとすだれの間から顔だけちょっと出して残念そうな顔をする」とか、自然でスルーしてしまったけど結構あざといのでは。

「目をうるうるさせて泣く」とか「ほっぺをプクッとさせる」ような、誰が見てもわかるあざとさではない。自然な振る舞いの中にまであざとさを仕込んでいかれては、こっちももうただ受け入れるしかできない。千葉雄大の演技は、日々進化している。

頭中将登場。イケメンしぐさが楽しみ

占い師(鳥居みゆき)に「すべて人間の営みは、月の満ち欠けとともに起こる」と言われた光と沙織。それをヒントに、光が来た日と同じように新月の日にお香を炊いてすだれをくぐってみる。しかし、光は元の世界に戻ることはできなかった。その後、二人は交通事故に遭う。ぶつかった車が去っていくと、光の姿はなくなっていた。

次回、4月25日放送の第4話では、光のライバルとされる頭中将(桐山漣)が登場する。これまでのように、光の姿にほんわかしたり「ただ一緒にいたい」という素朴な願いに切なくなったり、という展開が、また変化していきそうだ。

光に戻って来てほしい! という気持ちを焦らされつつ、頭中将がどんなイケメンしぐさを見せてくれるのかも楽しみになってきた。

よるドラ「いいね!光源氏くん」(NHK総合)土曜よる11時30分放送
https://www.nhk.or.jp/drama/yoru/hikarugenji/
NHK公式サイトで配信中
https://www.nhk.jp/p/ts/L2XV225GVX/

「あざとくて何が悪いの?」(テレビ朝日系)
https://twitter.com/azatokute
Tver・AbemaTV・Gyao!で配信中
https://tver.jp/corner/f0049870
https://abema.tv/video/title/87-255
https://gyao.yahoo.co.jp/title/5e8444a5-8556-4fec-aafd-a98ce50f2b0f

ライター・編集者。エキレビ!などでドラマ・写真集レビュー、インタビュー記事、エッセイなどを執筆。性とおじさんと手ごねパンに興味があります。宮城県生まれ。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
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