石原さとみ「アンサング・シンデレラ」コロナで延期だけど、薬学部でも評判の原作読んで待つ

4月9日に初回を迎えるはずだった、石原さとみ主演のドラマ「アンサング・シンデレラ」。新型コロナウイルスの影響で、ドラマ撮影が休止され、やむなく放送延期に。外出自粛で家にいる時間も増えたので、原作マンガをチェックして待つのもひとつの手かもしれません。

  • 記事末尾でコメント欄オープン中です!

やっぱりフジテレビがドラマ化した

本日4/9スタート予定だった新ドラマ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(フジテレビ 木曜夜10時)だが、先日、新型コロナウイルスの影響で放送開始の延期が発表された。なので、本稿は少し先走っての記事アップという形になる。この作品については、ちょっと触れておきたかったのだ。

ドラマは「月刊コミックゼノン」(コアミックス)で連載中の『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』が原作。主人公・葵みどりの職業は病院薬剤師だ。彼女は目の前の職務に一生懸命で、親しみのあるキャラクターである。そして、この漫画は多くの話題作を生み出してきた“医療もの”にカテゴライズされる。昨春、フジテレビは放射線技師が主人公の漫画を実写化した「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」でヒットを飛ばした。
はっきり言うと、この漫画は最初から映像化を見据えた作品だったように思う。内容からそれはあからさまで、あざとさを感じたほどだ。「フジテレビがドラマにしそうだなあ」と思っていたら、本当にした。

 

薬剤師は医師の処方した薬を出すだけの人ではない

「アンサング(unsung)」には「褒め称えられていない」という意味がある。つまり、「縁の下の力持ち」というニュアンスだ。

医師や看護師にスポットを当てるドラマはよく見るが、薬剤師の仕事についてはよく知らなかった。正直、医師に処方してもらった薬を出すだけの存在程度に思っていたくらいである。そんなに難しい仕事なのか? といぶかしんでいたし、薬局に常駐する時給が高い人という偏見すらもっていたかもしれない。
事実は異なる。まず、医師が処方箋を間違えていたらミスを指摘しなければならない、それに逆ギレされたりもする。病院と患者の板挟みに遭うこともある。

薬剤師がどのように医療に関わっているかを、わかりやすく描く原作。その誠実な内容から、薬学部の学生にも愛読されているとのこと。ただ、この作品を読むと、薬局へ行ったときに薬剤師が働いている様子を無意識にじーっと観察してしまう癖がついてしまうから、要注意だ。

 

仕事は違えど、多くの人に主人公と同じ葛藤がある

原作は、職場に向かう直前にみどりが心の中で発したこの一言からスタートする。
「もしかして、薬剤師っていらなくない?」

「アンサング・シンデレラ」は医師や看護師に薬剤師が加わり、各々が連携し合う“チーム医療”の意義を訴え続ける。与えられたものを忠実にこなすだけの薬剤師がいれば「杓子定規な仕事するだけ。ちゃんと目の前の患者を見ろっつうの」と揶揄されることもある。

これは、病院に限らず大きな組織で働く人にとって共通の葛藤だ。だから、つねに「自分にできることは何か」を胸に自ら動こうとするみどりに感情移入してしまう。情熱があるから成り立っているものがあるのだ、日々の仕事を流れ作業にするのではなく、研鑽しながら取り組んでいくことが必要だ。そこに、リアリティがある。

 

「薬剤師っていらなくない?」のテーマは貫かれるのか

今回のドラマ化に際し、設定に若干の改変が行われているようだ。原作に登場するみどりは勤務2年目の新人薬剤師だが、石原さとみ演じるみどりは8年目の中堅薬剤師だ。さて、どうしたものか……。

8年も働いて原作版のような疑問だらけの薬剤師だったら心配だし、そのキャリアで「薬剤師っていらなくない?」と思い悩むのは頼りなさすぎる。8年目ともなれば、むしろガンガン働くフェーズに突入しているだろう。
しかし、薬剤師の存在意義を自問自答するみどりは「アンサング・シンデレラ」の柱だ。ここを改変すれば、物語は全く別のものになってしまう。

絶対にドラマ化すると思っていたが、正直、石原さとみはイメージじゃなかったのだ。そもそも、年齢で矛盾が出てくる。そこを改変し、本来は後輩を指導するキャリアの“石原版みどり”がどんな働きっぷりを見せてくれるのかに注目したい。

最後に。コロナウイルスが問題になった今、図らずもこのドラマは大きな意味を持ってしまった。撮影の再開後は病院の場面が大幅に削られ、調剤薬局やオンライン診療の撮影を増やす予定とのことだ。

ライター。「エキレビ!」「Real Sound」などでドラマ評を執筆。得意分野は、芸能、音楽、(昔の)プロレスと格闘技、ドラマ、イベント取材。
フリーイラストレーター。ドラマ・バラエティなどテレビ番組のイラストレビューの他、和文化に関する記事制作・編集も行う。趣味はお笑いライブに行くこと(年間100本ほど)。金沢市出身、東京在住。
ドラマレビュー

Pick Up

ピックアップ
【パントビスコ】私35歳、8歳年下との結婚ってどう思いますか?
テリやきテリ世の甘辛LINE相談室
【パントビスコ】私35歳、8歳年下との結婚ってどう思いますか?
ヒント 恋愛
不妊治療を始める前に知っておきたい「特別養子縁組制度」 産むとは、育てるとは
産婦人科医・高尾美穂さん×アクロスジャパン・小川多鶴さん
不妊治療を始める前に知っておきたい「特別養子縁組制度」 産むとは、育てる
家族のかたち 妊活 子育て