ウエンツ瑛士「『日本沈没―希望のひと―』は小栗旬さんからはこんなセリフ聞きたいよね!が詰まっている」

10月10日スタートのTBS系日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』に石塚平良役で出演するウエンツ瑛士さん。小栗旬さんの演じる主人公・天海啓示とともに、各省庁から選抜された若手エリート集団・未来推進会議のメンバーの一人という重要な役どころです。主演の小栗旬さんとのエピソードからイギリスへの演技留学まで、お話をうかがいました。

10月10日からスタートするTBS系日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』(毎週日曜21時~)。1974年に刊行された小松左京の小説「日本沈没」が原作で、過去に幾度となく映像化がされてきた不朽の名作だ。2023年の東京を舞台に“今だからこそ描くべき物語”として、沈没という危機が迫る中で「見出していく希望」をテーマに描かれる。
(2021年3月に取材したものです)

日曜劇場のオファーに「『モニタリング』かも知れない」

──1年半に渡るイギリスへの演技留学を経験したウエンツ瑛士さんですが、今作は帰国後初の連続ドラマ出演です。「日曜劇場」が決まったときのお気持ちは?

ウエンツ瑛士さん(以下、ウエンツ): いや~、「日曜劇場」ですよ! 連続ドラマは10年以上ぶりなのですが、話を聞いた時は嬉しいよりもビックリが先に来ました。『日本沈没』自体が往年の名作ですし、しかも「日曜劇場」ですからね。いかんせん僕は普段からドッキリを受け続けている人間なので、すでに撮影はほとんど終わってますけど「まだ『モニタリング』(TBS系)かも知れない…」って思ってます(笑)

──ウエンツさんが演じる石塚平良(いしづか・たいら)は、どんな人物ですか?

ウエンツ: 小栗旬さんの演じる主人公・天海啓示(あまみ・けいし)や、松山ケンイチさんの常盤紘一(ときわ・こういち)ら、各省庁から選抜された若手エリート集団・未来推進会議のメンバーです。各省庁の力関係が出たり議論が深まらない中で、石塚は日本全体のことを考えている天海を後押ししようと頑張るのですが、それが空回りして結果的にムードメーカーになってしまう。でも、ムードメーカーでありながらストーリーが進むごとにドンドン剥けていくんですよ。最初からキャラクターを固めすぎずに作っていく感じがすごく新鮮でした。

演じる上で心掛けたのは、リズム感ですね。セリフをどういう表情でどう言うかはもちろん考えましたが、それ以上に全体の会話のリズム感をどう作るかに頭を悩ませました。僕はあくまで脇役なので、例えばあるシーンで小栗さんや松山さんがセリフで締めるってなったら、そのためにセリフのトーンやスピード感を変えたりして、メインを引き立てることを意識しました。ただ、これは僕が勝手に頑張っていたことなので、監督に「そんなのいらないよ」って言われたら、「あぁそうでしたかすみません」って感じなんですけど(笑)

小栗旬と松山ケンイチの化学反応「まるで違うタイプ」

──小栗さんと共演した印象は?

ウエンツ: バラエティではよく一緒にさせてもらってますし、イギリス留学の時も遊びに来てくれたので仲は良いんですけど、お芝居の時の小栗さんはまったく印象が違いましたね。ドラマの主役、座長として引っ張っていく姿は本当に頼もしかった。普段は「小栗く~ん!」って話しかけてたんですけど、改めて「あ、この人本当にすごい人だ!」って感じました。面と向かってはなかなか言えないですけどね(笑)

──松山ケンイチさんは?

ウエンツ: 松山さんは本当に人が好きな人ですね。色々なものに興味を持って、色々な人に話しかける。現場でのみんなとのコミュニケーションがそのまま常盤という役に反映されたりして、そういうアプローチもあるんだって勉強になりました。小栗さんと松山さんは、役作りの仕方がまるで違くて、それがお芝居になった時に化学反応を起こしていてすごく面白かったです。撮影に立ち会うたびに2人から色々なことを学べてすごく新鮮で、こんなに幸せなことはないですよ。現場が楽しかったです。

──さすが「日曜劇場」だけあって、豪華な役者さんがたくさんいらっしゃいますね。

ウエンツ: 本当ですよ。僕が入って大丈夫なのかってくらい素晴らしい方ばかりです。香川照之さんはもうパワーがすごくて、ご一緒するのがすごく楽しみでした。「このエネルギーでやると画面にはこう映るのか」とか、いろいろ学ばせてもらいました。仲村トオルさんは総理役なだけあって、緊張感がすごかったです。共演シーンは少ないんですけど、総理のおかげで撮影がビシっと締まりました。

緊張感とで言えば石橋蓮司さんもすごかった。後半の方で石塚と対面するシーンがあるんですけど、部屋中が威圧感で充満するんですよ。おかげでセリフを噛み倒してしまいました。1話から最終話までで噛んだ回数よりも、そのワンシーンで噛んだ回数の方が全然多かったです(笑)。あと、共演シーンはあんまりないですけど、杏さんには感謝ですね。たまたま地元が一緒で、みんなとの顔合わせの時に話しかけてくれました。そのおかげで撮影チームの輪にうまく入れたと思っているので、改めてお礼を言わないといけないですね。

『日本沈没』の魅力は王道であること

──撮影現場は和気あいあいとした雰囲気だと聞きました。

ウエンツ: 楽しい雰囲気もあるし、締める時は締めるって感じですごくよかったですよ。ただ、和気あいあいの原因は松山さんですね。僕をイジり倒してくるんですよ。台本もらってやっているはずなのに、「ここで落として下さい」とか平気で要求してきたり…。よく考えたら僕だけピリピリしてましたね。いつ仕掛けられるかわからないですから(笑)

──ドラマの魅力を教えてください

ウエンツ: ザ・ドラマっていう王道なところです。設定もそうですが、キャラクターから飛び出すセリフは、リアリティの追求よりも「やっぱりドラマはこうじゃなきゃ!」っていう風に仕上がってます。「小栗旬さんからはこんなセリフ聞きたいよね」「松山さんがそういう表情でそんなこと言うのか!」とか、こういうのが観たいんだよってシーンがふんだんに散りばめられています。

それと、中村アンさん演じる相原美鈴(あいはら・みすず)と石塚の関係は注目して欲しいですね。アンさんも相原も、僕と石塚に興味がないんですよ。その興味のなさが生きていて、相原のビシ!ってくる感じがマッチしていました(笑)。ただ、一緒にいる機会が多いので回を追うごとに変化していくんです。色々な危機に一緒に立ち向かいますから。「吊橋効果」って言うんですか? ジェットコースターとかお化け屋敷に一緒に行ってドキドキするのと一緒です。それはもう、関係の変化を期待してください(笑)。

演技留学って具体的な内容は?

──イギリスへの演技留学について聞かせてください。

ウエンツ: 初めてに近いと思いますね、自分からしたいことを見つけて実行したのは。事務所は本当に関係なくて、ビザだったり、住む家だったり、通う学校も全て自分で探しました。事務所の人は僕がどこに住んでいて何をしているのかも知らないような状況です。やることの全部自分で決められて、何もかもが新鮮でした。

──具体的にどんな生活を送っていたのですか?

ウエンツ: 時期によっても全然違うのですが、月~金で語学学校に通って、そのあとにボイトレだったり、演劇学校だったり、空いた時間にお芝居を観に行ったりしていました。それと日本でお世話になっているピラティスの先生の師匠にあたる方がたまたまイギリスにいたので、そちらも週3で通っていました。

演技の勉強については、けっこう細かいこともやりましたね。英語の発音の調整もしましたし、ミュージカルのために作曲家についての勉強もしました。この作曲家は、こういう時代に生まれてこういう人生だったからこういう音楽を作ったとか、座学的なものもたくさん学びました。いろいろ学んで先生に相談していくうちに、「劇場を借りてオムニバス的にひと組10分くらいのお芝居をしないか?」って誘われたんです。でも、どうせならもっと長い時間でやりたいので、劇場を自分たちで借りて、2時間の2人芝居をしてみようってなったんです、

──知らない土地ですごい挑戦ですね。

ウエンツ: 日本にいたら良くも悪くも事務所に頼ってしまうので、一回くらい大変なハードルを自分に課したいという思いはありました。劇場はいくらで借りられるのか調べて、セットを組むにはどうしたらいい、衣装は自分で買いに行こう、ディレクターや演出家も探さなきゃ、オリジナルの脚本書いてくれる人はいないかなって。ギャラ問題や商業的な意味合いもないので、自由にやれました。

留学を経験も「変化は周りが決めていくもの」

──バラエティ番組の仕事を1年半休むことになりましたが、不安はなかったのですか?

ウエンツ: バラエティって面白くなかったら呼ばれないじゃないですか。なのでそもそも仕事がなくなる不安は常にありました。そうなったらタレントとしても終わりだと思っていたし、仕事をしていない自分の存在価値について考えることもよくありました。そんな思いもあり、あえて仕事が無くなった自分を体験しよう…とまでは言わないですけど、演技の勉強をしたい気持ちもあったので、思い切って行きました。

──役者として生きる決意ということでしょうか?

ウエンツ: いえ、そういうわけではないんです。バラエティだから、役者だからってわけるつもりはなくて、ただ単純に自分の幅を広げたかったんです。今年で36歳なので、20代と同じようにやっていけるわけもないですし、何かしらの変化が欲しかった。求められることだけをガムシャラにやる正しさは持っていたいですけど、この先行き詰まったら耐えられない。僕を見てくれる人に、新鮮な何かを届けたい。それは演技もそうですし、バラエティの中ででもなんでも良いんです。変化したかどうかは周りが見て決めていくものなので、その準備がしたかったんです。

意外なコロナ禍の影響とは?

──留学を経てご自身で気づいた変化はありますか?

ウエンツ: そこなんですよ! 何かしらの変化があったはずで、それをお見せしたかったんです。でも、コロナウイルスのせいで世の中が変わっちゃって、自分の変化がいまいちピンとこないんですよ! 留学前と後で比較しづらい状況と言いますか、あんまりないタイプのコロナによる影響ですね。

何よりファンの方に会えていないのが辛いところですね。留学前は「卒業式」ってイベントもやって、みなさんに見送ってもらったんです。なのにコロナのせいで帰ってきてもイベントはできないし、バラエティの観覧もない。ファンの方の前には帰ってきた感じがしないんです。

それで慌ててInstagramを始めて生配信をやってみたんですけど、直接顔を見ないとなんか違うんですよね。やっぱり1人で喋るより、生の反応がある方が楽しい。なので早く「イギリスから帰って来ました~!」ってイベントがやりたいです。

■ウエンツ瑛士(うえんつ・えいじ)さんのプロフィール
1985年生まれ、東京都出身。アメリカ人の父と日本人の母を持つハーフで、4歳から子役やモデルとして活躍。ドラマ、バラエティ、シンガーソングライターなど、幅広い顔を持つ。

日曜劇場「日本沈没ー希望のひとー」
TBS系毎週日曜よる9時~
原作:小松左京「日本沈没」
出演:小栗旬、松山ケンイチ、杏、ウエンツ瑛士、与田祐希(乃木坂46)、國村隼、風吹ジュン、比嘉愛美、宮崎美子、吉田鋼太郎(特別出演)、杉本哲太、風間杜夫、石橋蓮司、仲村トオル、香川照之ほか
脚本:橋本裕志
音楽:菅野祐悟
演出:平野俊一、土井裕泰、宮崎陽平
プロデューサー:東仲恵吾
https://www.tbs.co.jp/nihon_chinbotsu_tbs/

企画、動画制作、ブサヘア、ライターなど活動はいろいろ。 趣味はいろいろあるけれど、子育てが一番面白い。
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。 コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。