4児の母になった、辻希美さん「20歳の出産は、孤独だった。早かったかなと思ったことも」
モーニング娘。時代、「人からどう見られるか」意識しなかった
――2019年10月から、with onlineで『辻希美の「大好きな人と結婚しよう」』を毎週連載されています。連載を始めたきっかけを教えてください。
辻希美さん(以下、辻): 第一子を出産後、仕事復帰をした2009年1月からブログを書いています。始めた頃は、何を書いても批判的な“強め”の言葉をもらい、「ブログやめようかな……」と思ったことが何度もありました。
それでもあきらめず発信を続け、今ではインスタグラムやYouTubeでの発信をメインでしている中で、変わったことがあります。
それは、これまで9割近くが厳しいコメントでしたが、その割合が逆転して、応援の言葉をいただけるようになったことです。マイナスからプラスに転じた経験を経て、SNS以外の場所で、少しでも自分の体験談を話すことで共感してくれたり、頑張ろうと思ってくれたりする人がいたらいいなと、そんな気持ちで連載をスタートしました。
――SNSを通して傷ついた一方、SNSに支えられた経験があるのですね。
辻: ブログを始めたばかりの頃は、何も考えずに発信していました。読んだ人がどう思うか、世間的にこの内容はどう捉えられるかを考えず、発信していたのは事実です。今から思うと、「あの時、あれを載せたら批判されるよね……」と思うこともあります。
モーニング娘。のオーディションに受かったのは12歳の時。中学1年生でしたが、デビュー後は学生らしい学校生活を送っていません。上下関係を学んだのも、グループの中ですし、人との交流は広いようで狭かったです。当時も多くのことを学びましたが、ブログを始めてからの学びが今にいきていると感じています。
――アイドル時代は、人から見られることを意識されていた一方で、発信に関しては、別物だったのでしょうか?
辻: 人からどう見られるかについてもあまり意識していませんでした。当時は、目の前にある仕事を、ただがむしゃらにやるだけ。大人数での活動だったので、自分がやったことが直接自分に返ってくるかというと、そうでもなくて……。
たとえば、私が遅刻をしても、それはグループ全体の責任。甘えていた部分がありました。20歳でモーニング娘。を卒業し、「辻希美」個人で仕事をするようになってから、少しずつ“見られている”意識をするようになりました。「こういう発言をしたら、どういうリアクションが返ってくるか」を考えるようになったのもこの頃です。
ひとりでも「心が楽になった」と思ってもらえたら
――今回、連載をまとめて書籍として出版されました。本になることで、辻さんの言葉がより多くの人に届きそうですね。
辻: どこかのポイントで、読者の方に共感してもらえたらと思っています。子育てのことについて多く書いていますが、自分が正しいとは思っていませんし、誰が正しいわけでもないとも思っています。
ただ、私が発信したことで「辻ちゃんがそう思っているんだったら、私も頑張ろう」って思えてもらえたり、一冊の中でひとつでもいいから「心が楽になった」と思ってもらえるところがあれば、うれしいなって。
――著書の中で、「仕事の経験が子育てに生きている」という言葉が印象的でした。
辻: デビュー当時は「人の話を聞く」、「決められた場所に行く」など、当たり前のことができませんでした。人より10年、常識を知るのが遅かったのかもしれません(笑)。
ただ、自分のペースで成長できていると感じるからこそ、育児でも「周りにとらわれずに、自分のペースで成長していけばいいじゃん」って思えるんです。例えば、周りの子が話しているのに、うちの子は言葉が出てこなくても、特に気にはなりません。
その子の様子を見ながら、それぞれにあった接し方を心がけています。それって、大人でも同じですよね。全員に同じことを言っても、怒る人、怒らない人がいるように、人それぞれタイプが違います。
この人はこういう対応したらいいと使い分けるのは、子どもに対しても大人に対しても、根本は同じなのではと思います。
20歳での出産を「早かったかな」と思ったことも
――3人目、次男の昊空(そら)くんを出産後、「みんな違っていい」と思ったそうですね。
辻: 長女・希空(のあ)が生まれて、「女の子を育てる=育児」だと思っていました。次に長男の青空(せいあ)が生まれて、男の子の育児は全く違うことを思い知りました。
そして、3人目も男の子だったのですが、長男と次男でも全然タイプが違って。そのあたりから、子どもというのは、性別関係なくそれぞれの個性があることに気づきました。
周りの子どもたちを見ても、女の子でも男の子でも、おとなしい子がいれば活発な子もいます。子ども1人ひとり、性格やタイプが違うことを知ってから、「子育てはこうしないといけない」という思い込みがなくなり、末っ子の幸空(こあ)の育児はこれまで以上に楽になっています。
――改めて、若くして母になったことを振り返ってどう思いますか?
辻: 20歳は、正直遊び盛りでもありますよね。友達がみんな楽しそうに遊びに出かけている中で、家でひとり子育てをしている時、とにかく孤独だったんです。ひとりでどんどん追い込まれてしまい、「みんなは遊びに行けていいな」とか「母親になるのは早かったかな」と思ったことはあります。
でも、結婚も母になることも、自分で決めたことです。なので、がむしゃらに育児をしてきました。長女は今年14歳になります。今では、友達のように話したり、買い物行ったり、洋服を貸し借りできたり、それが楽しいです。
今考えても、何が正解かは、誰もわかりません。結婚や出産の有無やタイミングについて、たとえどういう道であっても、その人自身の選択に自信をもってほしいと思います。
中編はこちら:辻希美さん「結婚3年目で離婚危機。14年間、結婚生活を続けることを頑張ってきました」
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『大好きな人と結婚した、その後。』
著者:辻希美
発行:講談社
価格:1,430円(税込)