コロナで仕事がすべてキャンセルに。行き先も何も決めずに、モバイルハウスで旅して取り戻すことができたもの
●自分を変える、旅をしよう。26 尾和恵美加(31)前編
リーマントラベラーの東松寛文です!今回お話をうかがうのは、大企業向けにアート思考を使ったイノベーション創出のワークショップ、コンサルティングを提供する株式会社Bulldozer代表取締役運転手でパラダイムシフターの尾和恵美加さん。コロナの影響を大きく受けた一方で、旅に出て発見もあったとか。さっそくお話を聞いてみましょう。
東松寛文(以下、――): 尾和さんはデンマークやスペインにも住んだことがあるそうですね。これまでもさまざまな場所を旅してきたと思いますが、旅にハマる前は、どんな働き方や生き方、考え方をしていたのですか?
尾和恵美加さん(以下、尾和): 昔から好奇心は旺盛で、ある程度の幅のインプットはしているものの、自分の持っている“問い”への“解”をなかなか見つけられずにいました。枠を越えられないことにも悶々としていましたね。常識の外側にいけない閉塞感に苦しんでいたかもしれません。
――その時に感じていた悩みや気にしていたことはありますか?
尾和: 「なんか楽しいこと、ないかな」とか、「自分にしか生み出せない価値ってなんだろう?」、「今の時代ってどんな時代だろう?」と答えを出そうと悩んでいる時間が多かったです。悩むということは、答えを出してアクションにつなげたり、考えることとは、また別のアクションだと思うのです。でも、常識にとらわれて突破口が見つからないわけなので、ぐるぐると思考の堂々巡りを続けている感じだったかもしれません。
――ところで、尾和さんはいつから旅をしているのですか?
尾和: 主体的に旅に頻繁に行くようになったのは、デンマークに住んで、すごく落ち込むことがあったのがきっかけです。デンマークの冬は日照時間がとても短くて、さらにはお天気の日も少ないんです。太陽の日に当たらないと気が滅入りやすいんですよね。
そんな時、たまたま日本からフィンランドのヘルシンキに元同僚が来ていると聞いて、昔から仲良しだったので会いに行きました。ヘルシンキは、ゴールドや独特の青色の教会などがあり、ロシアのような雰囲気を感じました。日本でも都道府県によって特徴があるように、同じ北欧の国でも、かなり特色が異なることを体感しました。ヘルシンキは、ロシアとスウェーデンに挟まれた場所に位置するので、そうした条件から生まれた歴史的背景、文化背景などを理解することができました。視点がマクロになった瞬間だったかもしれません。
――今の状況もそうですが、気が滅入るとついつい視線が狭くなってしまいますよね……。尾和さんが旅にハマったきっかけは、いつどこを旅したときでしたか?
尾和: 2020年の春頃、クライアント企業で開催する予定だった対面ワークショップがコロナの影響で全部キャンセルになって、時間ができました。会社経営という側面では、手に汗握る状況なワケですが、失うものがないとかえって身も心も軽くなるものなのかもしれませんね。東京にいる必要はないし、時間はたっぷりあるし、モバイルハウス(軽トラの荷台に小屋を載せたもの)を作ったのに旅をしていなかったことを思い出して、せっかくなら旅に出てみようと思い立ちました。
――かなり最近の話だったんですね!モバイルハウスでの旅、楽しそうです。
尾和: ルートも行き先も車中泊する場所も旅をしながら決めていかなくてはいけないので、意思決定力やいい情報に辿り着くための直感力が研ぎ澄まされました(笑)。まさに、「旅は人生の縮図」だと感じた旅でしたね。一つひとつが代替不可能な旅の中で、素敵な出会いに恵まれた時のありがたさは、ひとしおです。偶発性に溢れている旅での日々は、生きていくために必要な能力を取り戻す時間だったと、あらためて気づかされました。
後編もお楽しみに!
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