自分を変える、旅をしよう。

たくさんの国に行くことがステータス!? 世界中を旅して気づいた“旅の目的”とは?

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。18回目に登場するのは、広告代理店に勤務する深井瑛子さん。子どもの頃から海外の自由な雰囲気に触れて、海外志向が強かったといいます。深井さんの旅の目的を変えたできこともうかがいました。
世界を旅するうちに、どんなことも受け入れられるように。出産も「こんなものかと思ってしまった」 「旅は人生の楽しい瞬間を増やしてくれる」旅をすることで気づく、日常の大切さ

●自分を変える、旅をしよう。#18 深井瑛子(32)前編

リーマントラベラーの東松寛文です!今回お話をうかがうのは、広告代理店に勤める深井瑛子さん。うらやましい子ども時代のお話から、旅好きになるまでをじっくりうかがおうと思います!

東松寛文(以下、――): 深井さんはインターナショナルなイメージですが、いつから旅をしているのですか?

深井瑛子さん(以下、深井): 初めての海外旅行は10歳の時に家族で行ったカナダ・バンクーバーでした。その1年後の11歳の時に、1カ月間、タイで12カ国の子どもたちと共同生活をしました。それをきっかけに、国際的な環境が気に入って、中学からインターナショナルスクールに進学することに。インター校では、外国人、帰国子女など、海外で自分の意見を積極的に表現することが当たり前の環境で過ごしてきた同級生たちに圧倒されて、「自分らしさ」はおろか「自分の意見」すら分からなくて悩んだ日々もありました。

11歳の時に、12カ国の子どもたちと過ごしたことがきっかけで国際的なライフスタイルに興味を持った

――なるほど。子どもの頃から国際的な環境で育ってきたんですね。

深井: そうですね。高校1年生の時には、1年間のアメリカへ留学しました。留学先のインディアナ州は隣の家まで歩いて5分くらいかかるド田舎で(笑)。ところが、ここではインター校よりもさらに自分の意思をはっきり伝えないと何もできない環境に置かれました。少しずつではありますが、自分の意見を言えるようになり、帰国する頃にはかなり意思が強く、意見をはっきりと言う学生になっていました。この頃はちょっと強くなりすぎていた気もしますが……(笑)。

――うらやましいですね。大学生になってからはどうでしたか?

深井: 留学したことで語学力も身につけたので、大学に進学してからは、隙さえあれば海外旅行に出かけるようになりました。卒業旅行では、これまで海外旅行で出会った外国に住む友人を一人で訪ねました。中国、スウェーデン、デンマーク、スペイン、トルコと各国で友人の家に泊めてもらい、現地での生活を体験することができました。

学生時代の海外での数々の経験で世界中に友達ができた

――海外旅行の一番の醍醐味は現地の人のように過ごすことですね。

深井: まさに、この頃の私の旅のスタイルは、ガイドブックに載っている誰でも行く観光地に行くのではなく、現地の人の生活を体験して、自分にしかできない旅をすることでした。

――社会人になると学生時代の頃のように旅ができなくなることもありますが、深井さんはいかがでしたか?

深井: 私は2回転職をしていますが、1社目を退社後、1年間の「ギャップイヤー」(人生の節目の空いた期間)を取り、10歳の頃に訪ねたカナダ・バンクーバーを再訪しました。バンクーバーに4カ月滞在してアルバイトをした後、中国語留学のために香港に4カ月滞在。その後、ロシア、フィンランド、イギリス、フランス、カンボジア、インド、中国を旅してから日本に帰国しました。この旅では、現地の友人の家に泊めてもらったり、通訳の仕事を事前に受注してから旅に出かけたので、結果的に支出より収入が多くなりました。

10歳の時に初めて訪れた外国であるカナダ・バンクーバーを22歳で再訪

――転職後にギャップイヤーを取るのもいいですね。

深井: 2回目の転職では、ハワイのマウイ島に1カ月滞在して、ヨガインストラクターライセンスを取得しました。その後、弟と妹の3人で南米へ。ずっと行ってみたかったマチュピチュとウユニ塩湖、ブラジルに兄弟で行くことができて感動でした!

――さまざまな場所を旅している深井さんですが、旅をしている理由を教えてください。

深井: 物心がつく頃から旅をすることが日常にあったので、いつの間にか「行ったことがある国の数を増やす」ことが旅のひとつの目的になっていました。それは、これまで訪れたことがない場所にいくことで、新しい私、新しい価値観に出会えるから。あとは、単にたくさんの国に行ったことがあるというステータスがかっこいいと思っていたのもあります(笑)。

兄弟3人でマチュピチュ!

――確かにいろいろな国に行ったことがあるってかっこいいですしね。

深井: それが変わったのが、2年前にフィリピンを訪れた時です。フィリピンを訪れるのは2回目だったので、それほど期待していなかったのですが、フィリピン人でツアー会社を運営している友人におまかせしてプライベートツアーを組んでもらい、フィリピンのコロン島でアイランドホッピングをしました。

それまで、海は好きだけど入るのは嫌いでしたが、フィリピンの美しく澄んだ海、色とりどりの魚たち、どこまでも広がる青空の虜になり、シュノーケルだけで海に潜る「スキンダイビング」の楽しさを知りました。

スキューバダイビングのライセンスは持っていましたが、身ひとつで海に潜ることで感じる海中の世界にハマってしまって。スキンダイビングは、ボンベを背負っていないので、ひと息分しか海中で過ごすことができません。魚たちと同じように泳いで海中の世界を体感できることが、とても新鮮で、感動しました。

セブ島でジンベイザメと!この時、「もっと深く長く潜れるようになりたい」と思い始めた

――それはハマりそう!海がきれいな国を探してしまいますよね。

深井: 私はハマったらすぐに行動するタイプなので、スキンダイビングのためだけにその年内にもう一度フィリピンに行き、その後、同じ年に宮古島、グアムでスキンダイビングをしました。特定のアクティビティを目的に海外旅行の計画を立てたことはこれが初めて。これまでは、訪れたことがない国に行くことが第一優先でしたが、海の中の世界は、同じ国でも潜るエリアごとにまったく違う表情があり、違う経験をさせてくれるので、とても新鮮で、エキサイティングだったんです。

世界を旅するうちに、どんなことも受け入れられるように。出産も「こんなものかと思ってしまった」 「旅は人生の楽しい瞬間を増やしてくれる」旅をすることで気づく、日常の大切さ
平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー