自分を変える、旅をしよう。

幼い頃から旅は身近な存在。定住地をもたず、家族で旅するノマド生活を始めるまで。

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。16回目に登場するのは、スリランカを拠点に夫と息子の3人でノマド生活を続けている西原静奈さんにインタビュー。旅から旅へ軽やかに暮らす西原さんがもっとも印象に残っている旅先とは?

●自分を変える、旅をしよう。16・前編 西原静奈(29)

リーマントラベラーの東松寛文です!今回お話をうかがうのは、旅をしながら生活するために夫婦ともに会社員をやめてノマド生活を始めたという、西原静奈さん。前編では、西原さんが旅をするようになったきっかけ、思い出の旅先などをうかがいます!

東松寛文(以下、――): 旅をするために会社を辞められたのはすごい決断だったと思います。西原さんは、これまで何カ国を旅してきましたか?

西原静奈さん(以下、西原さん): 40カ国、200都市以上旅をしています。幼い頃から家族旅行ばかりしていて、CAとして就職してからも、隙があるとすぐに旅へ出ていました。今では、夫とスリランカを拠点に観光業を営みながら、2歳の息子を連れて世界を転々と旅するノマド生活を送っています。本当に人生ずっと旅しているんです。コロナが収束したら、もっともっと行ったことのある国と都市数を増やしていく予定です。

――幼い頃、家族旅行ではどこに行っていたのですか?

西原: 幼少期はアメリカに住んでいたため、家族とアメリカ国内、カナダ、メキシコなどへよく旅をしていました。アメリカの主要な観光都市は、ほぼ全部制覇したと思います。おかげで、幼い頃から旅慣れはしていました。

――すばらしい環境ですね!初めて一人で旅したのはどこでしたか?

西原: 社会人になって初めて自分で稼いだお金で、計画を立て、家族の同伴なしでタイのプーケットに行きました。当時は、シンガポールに住んでいたため、東南アジア各国へのアクセスが非常によかったことと、海・離島などリゾートが大好きなので、海がキレイだと評判のプーケットを選びました。初めての一人旅、異国の地で何日間も一人で過ごす違和感を覚えるとともに、ワクワクが止まりませんでした。結果、現地の人とたくさん交流することができました。例えば、ビーチで寝転がっていれば現地の方が声をかけてくださって、オススメの観光名所を教えてくれたり、レストランで食事をしていたら、そこのスタッフと話が盛り上がって、仲良くなったりと、現地の友達を作ることができました。今でも旅先で出会った方々とはFacebookでつながっています。世界中の人との出会いを生む旅の素晴らしさを改めて感じました。

――世界を転々とするノマド生活、旅好きにとっては夢のような生活ですね。退職する前は、どのような働き方をしていたのですか?

西原: とにかくずっと旅は大好きだったので、CAという仕事は常に旅がそばにある働き方や生き方で私に合っていたと思います。シンガポールが拠点だったので、いろいろな国に行きやすかったこともありますが、2、3日休みが取れたら、すぐに一人旅に出かけてしまうという……。また、フライト先でも1人で街に繰り出しては、地元の居酒屋にも平気で入っていました。女性1人だと奇異な目で見られましたが、へっちゃらでした(笑)。それよりも知らない世界やおいしいものを食べたいという気持ちが強かったですね。

――好きなことを仕事にされていたんですね。その時に悩みや気にしていたことはありますか?

西原: かなりのポジティブ思考なので、特になかったです。強いて挙げるとするなら、休みの日数が限られていたので、短期でしか旅ができなかったことです。有給を取ったとしても長くて10日程。1、2カ月単位の長期の旅をいつも夢見ていました。外資系航空会社のCAというと、世界各国にフライトで行けたのではないかと言われますが、日本人乗務員は日本へのフライトばかりでした。現地のクルーのようにもっともっといろいろな国にフライトしてみたかったです。

――西原さんは、たくさん旅をされていますが、旅にハマったと感じたのは、やはり幼少期ですか?

西原: そうですね。幼い頃から旅が身近だったので、既に旅の楽しさを覚えてハマっていたと思います。幼いながらに、次の旅行はいつだろう?とワクワクしていました。だからこそ、社会人になってから次から次へと気軽に旅に出ていたのだと思います。
なかでも、より一層旅にハマるきっかけを作った場所は、社会人になってから行ったタイにあるリペ島でした。ここもまた海がとてもキレイだと聞いて行くことに。今まで行っていたメジャーなリゾート地ではなく、リペ島は初めて行ったローカルの小さな離島でした。そこで見たのは、今までで一番美しく透き通った青い海。まるで絵に描いたように美しい海で、マリンアクティビティも豊富、ホテルもインフィニティプールにプールバーがあったりと、まるで夢のような場所だったのを覚えています。そこからはどっぷりと「離島」にハマってしまい、キレイな海を求めて、島から島へ。完全に海を見る目を変えた旅先でした。ちなみにここは夫と初めて一緒に行った思い出の旅先でもあります。今では一緒に世界中の離島を旅しながら、観光業を営んでいます。

――ステキな思い出の旅先ですね。ところで、今までで一番印象に残っている旅先はどこですか?

西原: 昨年10月に行ったモルディブのローカル島、マーフシ島です。モルディブの海の美しさはやはりどこの離島にもかないません。まさに世界トップレベルの海の美しさを誇る国です。海好きの私からすると、ここは天国のような場所。モルディブといえば各島が高級リゾートホテルで、ホテル内で優雅に毎日を過ごすイメージですが、マーフシ島はローカル島なので、現地の方々が住んでいる集落があれば、スーパーやコンビニ、小さなショッピング街もあります。ほかのリゾート島と違って、ここでは現地の暮らしを近くに感じられます。リゾートホテル島に宿泊するよりも低コストで楽しめることを知り、私の中では革命的な発見でした。マリンアクティビティもかなり豊富で、何十匹もの野生のサメと泳いだり、沈没船の周りを泳ぐシュノーケリングツアーは初めての体験ばかりでドキドキとハラハラ……。おそらくこの先も私の人生のなかでも、一番印象に残る経験です。

平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー