世界を旅するうちに、どんなことも受け入れられるように。出産も「こんなものかと思ってしまった」
●自分を変える、旅をしよう。#17 岡田奈穂子(32)後編
リーマントラベラーの東松寛文です! オーダーメイドの個人旅行を手がける旅行会社を作ってしまうぐらいパワフルな岡田奈穂子さん。実は岡田さんとは同級生。去年お母さんになった岡田さんにこれからのことも聞いてみました。
東松寛文(以下、――): 前編では、岡田さんが旅を仕事にするまでのお話をうかがいました。いろいろな場所を旅していると思いますが、今までで一番印象に残っている旅先はどこですか?
岡田奈穂子さん(以下、岡田): 実は私が旅したところではなく、お客さまにプランニングした旅なのですが……会社設立後すぐに50代女性4人でヨーロッパを旅したい!とプランニングの依頼がありました。目的地はウィーン・プラハ。行程はなんとなく決まっていたものの、初対面の方もいるグループで、部屋割りはどうするか、予算はどれぐらいに設定するかなど、それぞれが無理なく楽しむための細やかな配慮が必要でした。そこで、ホテルからレストランへの行き方からWi-Fiの設定方法まで事細かに何度も対面で打ち合わせをして、出発の日を迎えました。
私が同行するわけではないので、心配しすぎて、毎日スマホを抱きしめて寝ていたのですが、ある日、夜中に携帯が鳴ったんです。何かトラブルが起きたかと飛び起きたら、スマホにみなさんの楽しそうな写真たちが届いていて。
なんだかいい仕事をしているなぁとしみじみうれしくなり、ベッドの上でほろり涙してしまったことがありました。
――なんていいお話!それは実際に自分が旅していなくても、印象に残りますね。
岡田: 帰国後、みなさんとランチをしながら何時間も旅のお話を聞かせていただいて、今でも交流が続いているんです。この仕事を選んでよかったと心から思いました。これが今も原動力になっていますね。
――実は……岡田さんと僕は付き合いが長いんですよね!
岡田: そうなんです。大学のゼミが一緒だったんですよね(笑)。東松さんは当時も普通におもしろくて努力家の同級生でした。ところが、そう思っていたら、いつの間にか「リーマントラベラー」になっていてびっくり!今では、大阪に来てくれた時にモーニングで夢を語る同志でもあります。いつも刺激をありがとう!
――こちらこそ!僕も刺激をもらってます!なんとか今もリーマントラベラーとして頑張ってます(笑)!
岡田: 東松さんの旅スタイルからは、行き当たりばったりの旅の楽しさを教えてもらっている気がします。私はどちらかというと、旅に行く前にいろいろと調べる行程が楽しくて、ホテルでもレストランでも調べ尽くして予約してから現地にいくことが多いんです。ところが東松さんを見ていると、現地での偶然の出会いから知ることができるローカル感もすごく楽しそうだなと。それからは、わざと旅程に「余白時間」を作るようになったかもしれません。今ではその旅のスタイルが楽しいんです。
――そう言ってもらえてうれしいです。岡田さんは、旅に出るようになって、変わったことはありますか?
岡田: 「怖いこと」が減りました。逆に、「驚くこと」も少なくなったかもしれませんね。旅では予期しないこともたくさん起こるので、びっくりするような出会いや当たり前がくつがえされることも日常茶飯事です。そんなことを繰り返してるうちに、どんなことでも大体のことは「そんなこともあるのね」と受け止められるようになりました。
――それは心強い!そんなに驚くことが減ったんですか?
岡田: とはいえ、去年の出産は最近一番びっくりしたことかも。めっちゃ痛い!とは聞いていたので、確かに痛かったけれど、こんなもんかと(笑)。旅することで、知らず知らずのうちに自分のキャパシティをいろんな意味で広く大きくしてくれている気がしますね(笑)。
――強い!!学生の頃よりパワーアップしていますが、旅に出るようになっても、変わらなかったことはありますか?
岡田: 身長は伸びなかったですね(笑)。143cmと小柄な私が世界を一人で旅していると、みんなすごく優しくしてくれるんですよ。お菓子をくれたり、ぼったくられると聞いていた国でもタクシーを安くしてもらえたり……いいことづくめで、おかげでこの身長を前より愛せるようになりました(笑)。
――今の岡田さんにとって旅が仕事でもありますが、あらためて“旅”とは何ですか?
岡田: 衣・食・住・旅。新しい町や駅、バス停のひとつでも未知の場所は楽しいです。日常のなかにあって、非日常の楽しさをくれる、大切な家族のようなものです。
――今はコロナで旅ができませんが、次に行ってみたい旅先を教えてください。
岡田: バルト三国へ素敵なハンドクラフトを探す旅に行きたいです。あとは去年息子が生まれたので、サンタクロースっているの?と聞かれる年齢になったら、フィンランドに連れて行って本物のサンタさんに会わせてあげるのが夢。自分が楽しむ旅はたくさん行けたので、今度は息子にいろいろな世界や人に出会わせてあげたいなと思っています。
――すっかりいいお母さんだなあ!最後に、これからの夢や目標を教えてください。
岡田: 息子が大きくなった時、どこへ旅をしても「あぁ彼女の息子ね、おいしいものあるから食べて行ったら」と日本全国・全世界に、彼に楽しいことを教えてくれる人がいたらいいなって思っています。今は、それを目標に仕事をしているぐらい。
あとはやっぱりたくさんの人に「現地」に行ってほしい!オンラインも素晴らしいけれど、やっぱりその場所でしか出会えないもの、触れ合えないものがあると思うので、最高の体験を提供したいですね。
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