「気づかないうちに自分を締め付けていた考え」が消えた、憧れのグランドキャニオンへの旅
自分を変える、旅をしよう。#25 岡春菜子(28)後編
リーマントラベラーの東松寛文です! 前編に引き続き、会社員の岡春菜子にお話をうかがいます。後編では、社会人になった岡さんがアメリカの視察先で気づいた人生の目標について詳しく聞いてみたいと思っています!
東松寛文(以下、――):留学で気づいた強烈な思いが旅を続ける原動力になっているのですね。岡さんが今までに一番印象に残っている旅先はどこですか?
岡春菜子さん(以下、岡): 社会人3年目の冬に訪れたアメリカ・グランドキャニオンです。当時、野球好きが高じて新卒で入社したプロ野球チームで働いていたのですが、好きなこととは言え、やはり仕事は仕事。仕事自体は楽しかったのですが、毎日大量の業務に追われ、平日は家と職場を往復する日々で……。じっとしていられない性格の私は、休日でもどこかに行かないと気がすまなくて。周りからみるとそれが旅行に見えていたと思いますが、私の理想とする旅行のあり方ではありませんでした。ストレスや愚痴も多かったですね。
――そこから、なぜグランドキャニオンに行くことになったのですか?
岡: 実は、グランドキャニオンに行く前段の旅があって……。入社3年目の夏にアメリカのメジャーリーグを視察する機会をいただいて、10日ほどアメリカ国内を飛びまわりました。その時に、ふと前編でもお話したカナダでの生活を思い出したんです。日々の生活に追われて、疲れ果てる生活ではなく、人生をもっと楽しみながら生きるのが私の理想だったはず……。私の最終的な夢は「旅人になること」だったなと。
その出張から帰国して以来、「これからの働き方、人生とは?」を悶々と考える日々が続き、人生迷子の私がたどり着いたのが「グランドキャニオン」に会いに行くことでした。小学校の図書館で開いた世界の絶景の本を見て一目惚れしたその場所に行けば、何か感じるかもしれないと、その冬にアメリカへ飛び立ちました。
――メジャーリーグ視察から急に人生が動き出したんですね。
岡: 旅を通じて訪れたロサンゼルスのビーチでもカフェでも道端でさえも、出会う人々は些細なことでも心から楽しんでいて、私にとってはそれが新鮮で、うれしくて、心地よく、胸が熱くなりました。でも、何よりも、憧れのグランドキャニオンはどこまでも広く、美しく、あの場所に立った時の感動は今思い返しても鳥肌が立ち、涙が出そうになるほどです。薄っぺらな言葉に聞こえるかもしれませんが、心の底から「生きているって素晴らしい」「悩んでいることは何だったのだろう」「自分に正直に生きよう」、そう思わせてくれた場所です。
「ずっと憧れていた、念願の好きなことを仕事にしたのだから、ずっとこの会社で頑張らないといけない」自分でも気づかないうちに自分を締め付けていた考えがなくなった瞬間でした。
――ところで、リーマントラベラーを知ったきっかけは何でしたか?
岡: 学生の頃は、社会人になれば、金銭的にも余裕ができて、もっと自由に旅に出ることができると思っていました。ところが現実は、多忙の日々で、海外旅行に行く余裕もないほど……。「働きながらでも海外に遊びに行く』と思い描いていた生活とは程遠い社会人1年目の夏に、「働きながら世界一周」という言葉で検索をしてみたんです。それに見事にヒットしたのが、東松さんの『週末弾丸トラベラー』でした。
「週末だけでも世界一周ってできるんだ……私もこの人みたいな生き方がしたい!」と、目指したい社会人像を見つけた瞬間。ただ、当時福岡で働いていたこともあり、今の生活スタイルでは無理だと、なかなか「リーマントラベルサロン」に入る勇気が出ず、東京への転職を機に入会しました!3年越しでした。笑
――ありがとうございます!リーマントラベラーを知って旅のスタイルや普段の生活で変化したことはありますか?
岡: 「リーマントラベルサロン」はコロナ禍に入会したので、オフラインでサロンメンバーと会う機会はまだないのですが、オンラインでの定例会やミーティングなど、旅好きの方のお話をたくさん聞かせていただいて、新たな旅の楽しみ方を見つけることができました。
国内でも、まだまだ知らない旅情報がどんどん出てくるのは本当におもしろいし参考になります。秘境や穴場スポット、お得な旅の方法だけでなく、個人の趣味、発信力を鍛える講座、今後の海外旅行のあり方やSDGsなどの社会問題まで、一人では得ることができないような情報や、いろんな方の考え方など、以前より自分のアンテナが高く、広く、深くなっていると実感しています。それに、充実した毎日のスパイスのひとつになっています。特に、サロン限定公開のリートラGoogle Mapはめちゃくちゃ活用しています!
何より、自分の考えを文章にして誰かに読んでもらう機会をくれた東松さんには感謝しています。これも、いつかやってみたいと思いながら、なかなか始めるきっかけがなかったもののひとつなので。
――岡さんもさまざまな場所を旅していますが、旅に出るようになって変わったことはありますか?
岡: 「一度きりの人生、自分の心に正直に生きる」「ためらったらやってみる」を行動に移せるようになりました。
人生は一度きりで、やるもやらないも自分次第。やらなくてもきっとそれなりに充実して幸せな人生を送れるとは思いますが、現実的に考えすぎず、悩みすぎず、やりたいと思ったら、とりあえず飛び込んでみる。今できなければ、どうすればそれができるようになるか考えて、日々自分をアップデートしていく。自分の好きな自分、なりたい自分になるために、自分を磨いていく。そんな考え方を教えてくれたのが「旅」でした。今は、私のなりたい自分に近づくために、旅以外でもコミュニティを広げながら、日々奮闘しています。迷ったらまた旅に出て、気持ちをリセットしたいです。
――一方で、旅に出るようになっても変わらなかったことはありますか?
岡: なんでも全力で楽しむ気持ちです。まわりのイメージとは裏腹に、実はすごく心配性でビビりです。ただ、一度決めたことは全力でやる!と決めているので、仕事でも遊びでも旅でも常に100%。せっかく行くのだから1秒もムダにしない。早朝から夜遅くまで予定を詰め込んで、全力でその場所を満喫します!
――岡さんにとって旅とは?
岡: 自分の心に素直に向き合って、なりたい自分を再確認する時間をくれるものです。旅を通して感じるワクワクする胸の高なり、心震わす人や景色との出会い、何より自分と向き合う時間をくれるところ。同時に、中学校3年生の頃の何も恐れず、チャレンジしていたかっこいい自分の姿。グランドキャニオンが思い出させてくれた感情が、今ならどこを旅していても、いつも心の中に浮かんできます。
少し疲れていて悩みがあっても、その感情が湧いてくる度に「悩みながらも前進している、“何者”にもなる必要はない」と再認識できています。
――最後に、これからの夢や目標があれば教えてください。
岡: まだ具体的ではありませんが、いつか「好きなこと・得意なことを生かせる場所、互いの考え方を共有し多様性を認め合える場所、ひとりひとりが自分らしく生きられる場所」をつくるのが目標です。リーマントラベルサロンみたいですね!
そのために、数年後にカナダに渡って、大学で勉強しながら現地の企業で働くのが当面の目標です。いろいろな国の人と仕事をして、自分の価値観の幅を広げながら、スキルを高め、その間にも世界中を旅して、たくさんの人に出会って、より魅力的でかっこいい人間になりたいです!
そしていつか、何にも縛られずに世界を旅する旅人になりたいと思っています。
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