初留学に旅立ったのは東日本大震災の翌日。どこよりも地元の大切さに気づいた。
●自分を変える、旅をしよう。#7 Yokoさん(29)前編
リーマントラベラーの東松寛文です!今回は、旅がそれほど好きではなかったのに、今ではすっかり会社員週末トラベラーとして、世界中を旅している女性にインタビューします。知らない国を初めて訪ねるのは、誰でも怖さや不安を抱くもの。そんな気持ちをどのように乗り越えたのか、旅を楽しむコツを聞きました。
リーマントラベラー東松(以下、――): Yokoさんは僕が主宰する「リーマントラベラーサロン」の会員でもあり、今ではすっかり旅マスターですが、昔はそれほど旅に興味がなかったそうですね。
Yokoさん(以下、Yoko): 20歳のときに初めて海外留学に行くまでは、海外は“怖いもの”でした。学生時代に両親から何度か旅行に誘ってもらいましたが、すべて断っていたほど。その理由は、何だか怖いから。英語圏はもちろん、それ以外の国に行くなんて本当に考えられなかったです。ここ数年の旅の頻度を考えれば、友人たちからは「考えられない」と言われるでしょうね(笑)。
――怖いと感じたのは、英語が話せなかったことが理由ですか?
Yoko: 学生時代は英語を勉強していましたし、オーラルコミュニケーションなどに力を入れている学校に通っていたので、それなりに使うシーンはありました。でも、実際に海外に行って外国人とコミュニケーションを取るということをリアルに想像できなくて、ましてや英語以外の言葉を話す国に行ったらどうなってしまうんだろうと、とにかく不安に思っていました。
――確かに行ったことがないところに行くのは、不安もありますよね。Yokoさんが旅に目覚めたきっかけは、どんな旅だったのですか?
Yoko: 旅に目覚めるきっかけになったのは、半年間の留学経験でした。留学した国の決め方は単純。怖いという気持ちがあったので、親日国と言われるオーストラリアとカナダ、2つの国に絞りました。そこからサマータイムでも2時間しか時差がないからという理由で、オーストラリアのメルボルンにしました。
――それはいつの頃ですか?
Yoko: 大学生の頃で、実は出発日は2011年3月12日。東日本大震災が起きた翌日です。揺れの大きな地域にいて、出国できるもわからない状況でした。でも、行くしかない……とメルボルンに向かいました。結果的に行けてよかったと思っていますが、ホストマザーの家に着いて、テレビで流れている津波の映像を見て、衝撃を受けました。
――あの混乱の中で、出国したんですね。いろいろ不安もあったと思います。滞在中に印象に残っていることはありましたか?
Yoko: 印象的だったのは、大使館に日本人が集められ、「日本人を応援するパーティ」なるものが開かれたことです。正直、話している内容は全然わからなかったのですが(苦笑)、心優しい国に来たんだなと感じてうれしかったです。
また、初めてホストマザーに会ったときは、当然のことなのですが「ほんとに日本語が通じない人がいるんだ!」と思いました(笑)。頭では理解していても、実際に経験しなければ、何事も実感を伴わないんだと痛感しましたね。
――留学経験を通じて世界を知ることになり、その後、旅に本格的にハマったのはいつごろでしたか?
Yoko: 急激に旅に行く頻度が増えたのは、初めて正社員として働き始めてからです。入社して、ふと「これからは土日休みを楽しもう」と思ったときに、「週末って年間50回くらいしかない!」と気づいたんです(笑)。そこから「今年中に行っていない都道府県に全部行こう!」と決めたのがきっかけです。その年は、52週のうち45週は旅行に費やし、ほとんど空港にいました。
――行ったことない都道府県のラストは何県だったんですか?
Yoko: 三重県を訪ねて、無事に47都道府県を制覇しました。この旅を通して強く思ったのは、47都道府県全てに素敵なところがあったこと。魅力のない地域なんてない、という気づきが私にとって、新しい発見でした。その後も、日本の世界遺産を制覇しよう、離島にたくさん行こう、毎月海外に行こう、など毎年何かしらテーマを決めて旅を続けています。テーマを決めると新たな発見も多く、楽しいですよ。
――47都道府県を制覇して、心境の変化はありましたか?
Yoko: 地元がすごく好きになりました。地元にいたときは、北海道があまり好きではなく、「早く上京したい」という気持ちが強かったんです。でも、上京して、47都道府県を旅して、世界を旅して、やっぱりいいなと思うのは「地元」だったんです。それって、近すぎたり当たり前すぎたりすると気づけない、大切なことのひとつなんですよね。
世界遺産に指定されているようなアメリカの国立公園もたくさん行きましたが、一番好きだと胸を張って言えるのは知床です。
東松寛文さんが主宰する「リーマントラベラーサロン」はこちら
-
第32回一人旅を経験して“誰かと行動しないと不安になる私”はいなくなりました
-
第33回旅に出れば出るほど、ハプニングを「最悪」から「最高」に変えられる
-
第34回初留学に旅立ったのは東日本大震災の翌日。どこよりも地元の大切さに気づいた
-
第35回旅で実感する“一度きりの人生”。ほんの少し心を開くだけで、違う世界が見え
-
第36回地球1周のきっかけは仕事と恋人からの逃避行「現地の人と同じ格好で時間共有