旅行×モデルのほりいみほさん「旅は私に生きる希望を与えてくれる」
●自分を変える、旅をしよう。#27 ほりいみほ(34)前編
リーマントラベラーの東松寛文です!今回お話をうかがうのは、旅行、観光、地方創生などに特化したモデルで、チェコ親善アンバサダーを務める、ほりいみほさん。高校時代からオタクでインドア派だったほりいさんが旅に目覚めたきっかけとは……?さっそく聞いてみましょう!
東松寛文(以下、――): ほりいさんは、旅にハマる前は、どんな働き方や生き方、考え方をしていたのですか?
ほりいみほさん(以下、ほりい): 私は絵を書くことが大好きで、オタクな部類の人間でした。高校時代は美術部に所属していましたが、チャイムが鳴ったら速攻で帰宅する帰宅部のような毎日。帰宅する理由は、オタクサイト運営に命をかけていたからです。
別に不登校生ではないですし、友達もいましたが、一般的な“高校生の青春”のような経験をした記憶がありません(笑)。どちらかというと、クラスの隅にいるタイプの人間でした。
――高校時代からサイト運営をしていたんですね!すごい!
ほりい: そうなんです。英語は大抵赤点でしたが、高校生ながら、ホームページの構築、HTMを理解している変わり者でした。
英語は高校に入ってからつまずいてしまったので、日本語以外を話す海外は恐ろしいところだと思っていましたし、テレビの海外映像を見るだけで充分癒されると思っていました。
――その時に感じていた悩みや気にしていたことはありますか?
ほりい: 幼少時代は、昔の漫画に出てくるような身体が小さくて、いじめられっ子で、教室の隅で絵ばかり書いているタイプではなく、絵を描きながらも、運動もそこそここなし、人と話すことも苦手ではなく、何事も無難にはこなすタイプでした。中学に入るまでは、背の順は前から4番目前後の常連ではありましたが……(笑)。
ところが、中学、高校と進学するにつれて、どんどん学校カーストの隅に追いやられていき、考え方も卑屈になってしまいました。いつでも、「どうせ、自分なんか」とか「自分にはできない」と思って生きるようになり、自己肯定感も低かったと思います。
今でこそ、オタクを全面的に出していますし、世の中のサブカル文化への理解も深まっていますが、学生時代は、「オタク=キモイ」とオタクであることを極力隠して生きてきました。好きなことを好きと言えず、肩身の狭い思いをしていましたね。
――ところで、ほりいさんはいつから旅をしているのですか? 初めて行った旅先を教えてください。
ほりい: 2005年12月、大学1年生の頃に、校内の掲示板で、ある張り紙を目にしました。『海外美術研修~デンマーク/スウェーデン/オランダ/ベルギー/フランス~14日間の旅』、なんと海外に行けて単位ももらえるという魅力的なものでした。これまでは、映像を見るだけで満足していましたが、高校生の終わり頃から、世界遺産のマチュピチュや、アニメのモデルになった場所をこの目で見てみたいと思うようになっていた頃。この5カ国にすごく行きたかったのかと言われるとそうでもなく、ただただ海外というものに行ってみたい、それだけで、参加を決意しました。
――「海外美術研修」で単位をもらえるなんて、最高ですね!どんな研修なのですか?
ほりい: 基本的には、ツアー形式の旅行で、名だたる美術館・博物館を巡ります。自由行動は、街までは連れて行ってもらい、自由散策程度でしたが、12月のヨーロッパは曇りの日が多く、ツアー前半は曇っているか、雪が降っているかという天気でした。
旅の中盤、「北のベネツィア」の異名を持つベルギーのブルージュという町に着いた時、この旅行で初めて青空を見ることができました。町の中心、マルクト広場にある塔から見た、どこまでも続く青い空が忘れられません。その瞬間、もっといろいろな国を旅してみたいと思いました。
――きっとすばらしい景色だったのでしょうね!ほりいさんが旅にハマったきっかけは、いつ、どこへ行った時ですか?
ほりい: 社会人2年目の頃の旅です。その頃、私は心身ともに疲れ切っていました。そこで、選んだ旅先は、チェコとオーストリア。1年目はどこかへ行く気力もなかったのですが、2年目の秋に、学生の頃に行った海外旅行を思い出し、同期の友人と女2人旅をしました。
2人で行ったものの、現地では別行動をしてみたり、個人旅行も堪能しました。運がよかったのか、海外で一人でも、英語が話せなくても、意外と目的地には辿りつけるし、立ち寄った場所での時間の制約もありませんでした。逆に、飽きたらすぐに別の場所に移動できます。完全に個人旅行に味をしめました。
――チェコとオーストリアではどんなところを観光しましたか?
ほりい: ウィーンでは、エリザベート関連の聖地巡礼と、大好きな建築家のフンデルトヴァッサー建築を堪能するべく、ヴァッサーデザインのゴミ工場を見学したりもしました。
クリスマス時期だったので、クリスマスマーケットを楽しみ、ホットワイン片手に街を散策したり、プラハでは、美術館やマリオネット劇場を観劇し、街や雑貨屋、カフェ巡りをしました。
大袈裟かもしれませんが、それは、久しぶりに、心の底から楽しいなあ、生きていてよかったなあ、と思えるもの。旅に生きる希望をもらいました。
――旅からもらえるパワーは大きいですね!
ほりい: ちょうどその9年後、ご縁があって、チェコ政府観光局公認チェコ親善アンバサダーになり、チェコ共和国にご招待いただきました。再び、カレル橋の上に立った時は、9年前生きる希望を与えてくれたチェコがまた私を呼んでくれたんだと、一人泣きしました。
――ところで、今までに一番印象に残っている旅先はどこですか?
ほりい: 基本的に「この場所に行きたい!」となってから、プランを組み立てて行くのが私の旅スタイル。スウェーデンのゴットランド島には、『魔女の宅急便』に登場するような街並みがあると聞き、気になって行ってみました。ここは、まず首都・ストックホルムから、ニーネスハムン港へ行き、フェリーに乗ること約3時間と、なかなかの辺境の地。
しかし、上陸間際、船から見えたゴットランド島の景色は、まさに、キキがコリコの町に箒にまたがり上陸するシーンそのもの!
街の中には、キキがお世話になっていたパン屋さんのような家も発見しました。当時はあまり情報がなかったので、自分の足で歩いて調べて、聖地を発見することに喜びを感じました。
――それは楽しそう!
ほりい: その時、ふざけてキキっぽい服を買い、頭にリボンをつけ、写真を撮りながら歩き回る「聖地巡礼+仮装」という体験をして、また新たな旅の楽しみ方を発見した瞬間でした。ちなみに、その後、ハクの格好をして、『千と千尋の神隠し』の舞台といわれる、台湾の仇分に行ったこともあります(笑)。
後編もお楽しみに!
-
第72回コロナで仕事がすべてキャンセルに。行き先も何も決めずに、モバイルハウスで
-
第73回Bulldozer代表の尾和恵美加さん「旅は古くて新しい可能性に出会える
-
第74回旅行×モデルのほりいみほさん「旅は私に生きる希望を与えてくれる」
-
第75回「聖地という旅先は、オタクを世界へ誘ってくれた」旅×モデルのほりいみほさ
-
第76回「いつか韓国文化に関わる仕事を」韓国エンタメライターK-POPゆりこさん