「いつか韓国文化に関わる仕事を」韓国エンタメライターK-POPゆりこさんを変えた旅
●自分を変える、旅をしよう。#28 K-POPゆりこさん 前編
リーマントラベラーの東松寛文です!今回は韓国が大好きで、韓国文化を発信するお仕事をされているK-POPゆりこさん。韓国エンタメライターになろうと思ったきっかけなど聞いていきます!
東松寛文(以下、――): K-POPゆりこさんは、韓国のエンタメ全般に精通されています。いつから韓国文化にハマったのですか?
K-POPゆりこさん: 学生時代、友達に勧められて韓国映画を見たのがきっかけでした。
「JSA」や「猟奇的な彼女」、そして「イカゲーム」主演イ・ジョンジェさんが出ている「イルマーレ」といった韓流映画を、DVDレンタルショップで漁るように借りていました。「愛の不時着」主演のソン・イェジンさんが出演している「ラブストーリー」も好きでしたね。
映画の後にハマったのがドラマとK-POP。就職してからも休日に韓国ドラマを見たり、週末や連休を使ってソウルまでK-POPライブへ行ったり。20代後半で、会社を辞めて韓国へ移住。現地で勉強したり働いたりしながら、思いっきり韓国漬けの20代を過ごしました。
――もともと海外志向だったのですか?
ゆりこ: いえ、地方の郊外で育ったので、全然そんなことないです。ただ、幼い頃から田舎ならではの閉塞した空気を感じていて、「狭いコミュニティの中から早く抜け出したい」とは思っていました。
地元では、人生の「答え」がある程度決まっているように感じたんです。例えば、「優秀ならどこの学校・会社へ入るべき」「何歳で結婚するのが普通」といったように。近所付き合いにも無言のルールがあったように思います。
そういった風潮に反発したい気持ちを抱きながらも、私自身どこか他人の目を気にしていました。地元から抜け出したいと思っている一方で、知らない土地に足を踏み入れることへの恐怖心もあって。「アクセル」と「ブレーキ」を両方かけているような女の子でしたね。
――どのようなきっかけで地元から出たのですか?
ゆりこ: 大学進学を機に、一人暮らしを始めたんです。「地元から離れたい」と思っていたのに、いざしてみると想像していたより寂しい毎日でした。
大学で、自分よりもはるかに優秀な人や語学堪能な人、個性的な人たちを目の当たりにし、引け目を感じてしまって……。田舎育ちであることにも、なんとなく劣等感を抱いていました。新しい友人と仲良くやっていくことや自分の居場所を見つけることに必死で、夢中になれることもなかったです。
――今となっては旅好きとしても知られています。いつから旅行をするようになったのですか?
ゆりこ: 大学1年の夏休みに、高校時代からの親友とタイに行って、それが初めての海外旅行でした。幼い頃、父の仕事関係でタイの方が家に遊びにきてくれたことがあり、気になる国だったんです。
ゆりこ: 初めて異国に降り立った時の興奮は、いまでも忘れられません。なんてことないバカンスだったかもしれないけど、10代の女の子2人にとっては大冒険。スパイシーな料理、飛び交う聞き慣れない言葉、スーパーに並ぶ謎の野菜や調味料……見るものすべてが「嬉しい」「楽しい」「面白い」の連続でした。帰国する頃には海外旅行にすっかり魅せられていましたね。
片言でもレストランで注文はできるし、食べたことない料理の味も受け入れられた。「寝る場所さえあれば、異国でも意外と生きていけそうだな、私」という自信が生まれました。
知らないものや慣れないものイコール「怖い」という脳内方程式が、イコール「楽しい」「面白い」「もっと知りたい」に変わった感覚がありました。同時に、日本での生活がどれだけ便利なのか、その有り難みも実感して。
異国を知ることで、海外も日本も、もっと好きになったように思います。
――その後、韓国に住むという決断をされました。どうして韓国だったのでしょうか。
ゆりこ: 大学4年生の卒業旅行で1週間ほど韓国に行ったんです。韓国旅行自体は2回目。ソウルからKTXをつかって釜山まで縦断の旅でした。
当時すでに韓国エンタメにハマっていた私は、語学も勉強し始めていて、ハングルが少し読める状態。街の看板やメニューに「サウナ」や「カルビ」と書かれていることが分かるだけで嬉しくて、「次は話せるようになりたい」と強く思った記憶があります。
それをきっかけに、日常で触れるドラマや映画、音楽がどんどん韓国一色になっていきました。
ゆりこ: 社会人になってから10日間ほど、韓国の語学学校に短期研修にも行って。1人で海外に滞在したのは、このときが初めてでした。安宿のような場所に宿泊し、習いたての韓国語を街で使っては、通じてホッとする。単なる観光でもなく、留学でもない「住むように過ごす旅」をきっかけに、完全にスイッチが入りました。
「いつか韓国文化に関わる仕事をしよう」と心に決めたんです。
◆インタビュー後編は明日公開します。
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