自分を変える、旅をしよう。

「私は世界で生きている78億分の1」新型コロナウイルスで世界一周の旅に出発できなかったけれど、前向きでいられる理由とは?

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。広告代理店を退職し、世界一周の旅に出ようと考えていた女性が登場。後編では、その理由と新型コロナウイルスの影響で世界一周を延期せざるを得ない状況について聞きました。
人生のレールから外れることが怖かった。世界が広がったのは、旅することで「何とかなる」と知ってから。 海外は怖いと思っていた。旅にハマったきっかけは、猿岩石が作った道を歩くために訪ねた卒業旅行のカンボジア

●自分を変える、旅をしよう。#12 中村安衣(28)後編

リーマントラベラーの東松寛文です! 新型コロナウイルス感染拡大により、世界どころか家から出られない毎日です。この状況下、世界一周旅行に出発できなかった中村安衣さん。なぜ世界一周をしようと思っているのか、旅を通したこれからの夢も教えてもらいました。

リーマントラベラー東松(以下、――): 前半では中村さんが旅にハマッたきっかけを聞きました。最近会社を辞めて、世界一周の旅に出ようと準備していたそうですね。会社を辞めてまで世界一周をしようと思ったきっかけを教えてください。

中村安衣さん(以下、中村): 留学から帰国して、日本でキャリアを積んでいこうと決心したのですが、やはり葛藤がありました。アメリカでの旅の経験から行きたい場所も圧倒的に増えて、行き尽くすには何年かかるんだろう……と思ったり。
また、「この世界には、まだ私が見たこともない景色や生き方が無数に広がっている。自分の目で見て肌で感じて、生きる場所を選びたい」と思うようになっていたんです。そこで、会社を辞めて、世界一周することを決めました。

ニュージーランドで「風の街」としても知られる、Windy_Welli...ウェリントンで、NZに住む友人の夫と

――世界を知ってしまうと、もっと知りたいという気持ちを自分で止められなくなりますね。でもなぜこのタイミングだったんですか?

中村: 女性として歩みたい人生とやりたいことを照らし合わせた時に、今がベストだと思ったからです。私は今28歳というお年頃なのですが、結婚や出産を考えると"自分のためだけに"人生を選択できる時間は、そう長く残されていないのかもしれないなと。いったんはリーマントラベラーではなくなってしまうのですが、後悔したくないと思いました。

タヒチ・ボラボラ島の夢のような朝食

――ところが、まさかの新型コロナウイルス感染症の影響で出発ができなくなってしまったそうですね。

中村: 完全に予定は狂いまくりです!新型コロナウイルスが感染拡大する前に退職手続き済みでしたから……会社は好きだったんですけど……(笑)。ちなみに、実は世界一周する前にしばらくオーストラリアで働くことも決まっていました。
当初の予定とは変わってしまいましたが、今後の人生や働き方を考えて、勉強していることがあるので、今はそちらに集中しようと切り替えています。まとまった勉強時間ができたことにより、落ち着いて旅の準備もできるかなと、かなり気持ちは前向きです!

――また旅に出られる日を夢見てがんばりたいですね。ところで、どんな行程で世界一周しようと考えていますか?

中村: 行程については絶賛考え中なのですが、最初は友人の多い南米から行ってみようかなと思っています。ブラジル、コロンビア、ペルー、エクアドル、チリなど。ガラパゴス諸島も行きたい……。そこから上に登って、キューバやメキシコも。南米やアフリカなど、ちょっと体力が必要そうな場所は早めに訪れたいと思っています。
もちろん今の状況が落ち着いたらすぐにでも飛び立ちたいです!

オーストラリアのグレート・バリア・リーフの上で

――早く落ち着いてほしいですよね……。中村さんは旅に出るようになって、何が変わったと思いますか?

中村: 日本でも海外でも、知らない人や初めて会う人にも自分から積極的に声をかけるようになりました。よく「危なくないの?」と聞かれるのですが、確かに最低限のことは、気を付けるに越したことはありません。
でも、私は旅で人の温かさにたくさん触れてきたし、そこから広がる出会いの素晴らしさも知ったので、どんどん新しい人と繋がるようになりました。あとは、行動に移すスピードが速くなりましたね。「何とかなる」と分かったので!

――旅で変わったこともたくさんあると思いますが、逆に変わらなかったことは何ですか?

中村: 「日本は素晴らしい国だ」と思う気持ちかもしれません。私は日本を脱出したいわけでも海外に永住したいわけでもありません。むしろ、昔から日本は大好きで、日本文化も誇りに思うし、ここに生まれて良かったと思っています。旅に出る度に「今回の旅も素敵だったな。でも、やっぱり日本が大好きだな」と再認識しています。

中村さんの地元、家島諸島

――その気持ち、わかります!!中村さんにとって、"旅"とは?

中村: 旅は私の可能性を無限に拡げてくれるものです。いつも「私は世界で生きているんだ」と実感させてくれます。私は1億分の1ではなく、78億分の1なんだ!と考えることも。ちょっとロマンチックすぎるかな……(笑)。

――最後に、これからの夢や目標を教えてください。

中村: 実は地元の活性化活動に携わることが夢だったりします。私は瀬戸内海の島の出身なのですが、人口流出も著しいエリアです。とても小さくい島ですが、最近では少しずつ観光業にも力を入れていて海外の方もチラホラ。私を初めて海外に出してくれたのは地元の中学校です。近い将来、地元に貢献できるような視点を持ち帰って、情報発信に携わったり、島の子どもたちに「こんな生き方もあるんだ」と頭の片隅に置いてもらえたらなと思っています。

――新型コロナの影響は深刻ですが、中村さんのように前向きに気持ちを切り替えるのは大事ですね。僕も次に旅に出る日まで、しっかり下調べをして過ごします!旅を通して、地元の活性化に貢献したいという気持ちも素敵ですね。

人生のレールから外れることが怖かった。世界が広がったのは、旅することで「何とかなる」と知ってから。 海外は怖いと思っていた。旅にハマったきっかけは、猿岩石が作った道を歩くために訪ねた卒業旅行のカンボジア
平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー