自分を変える、旅をしよう。

仕事も旅も全力! 仕事と仕事の間の“スキマ時間”を使って旅することでリセットできる

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。11回目は、激務のテレビ業界で働く女性が登場します。前編では、冒険という旅の醍醐味に目覚めた高校時代から社会人になりスキマ時間で旅をするようになるまでをうかがいました。

●自分を変える、旅をしよう。11・前編 もろたけいこ(30)

リーマントラベラーの東松寛文です!今回お話をうかがうのは、激務のテレビ業界で仕事をしながら、仕事の合間に旅をしているもろたけいこさん。子どもの頃にあまり海外に連れて行ってもらえなかったという抑圧で旅にハマッてしまったそう。前編では、なぜ多忙のもろたさんがスキマ時間を使って海外を旅するのか、そのきっかけと理由を聞きました。

リーマントラベラー東松(以下、――):もろたさんはテレビ業界でお仕事されていて、ご多忙だと思います。お仕事のスキマ時間で旅する、スキマトラベラーと自称されていますよね。旅マスターのもろたさんが最初に旅した国はどこですか?

もろたけいこさん(以下、もろた): 今まで72カ国、131都市を旅しましたが、初めての海外旅行は、中2の時、家族でいったマレーシアでした。私にとっての初めての「冒険」ともいえる旅は、高校1年生の時に研修旅行で立ち寄ったパリです。パリはおしゃれで憧れの街でしたが、研修なので団体移動。シャンゼリゼ通りも行けずに終わるなんて……!と思い、なんと夜に抜け出してメトロに乗ってシャンゼリゼ通りへ(笑)。

――えー!ずいぶん大胆な高校生ですね!

もろた: 夏で日も長く明るかったので、不安に思うことはありませんでした。お土産屋さんで「いくらですか?」と覚え立てのフランス語を使ってみても、返事がわからない(笑)。手のひらに文字を書いて教えてくれたり、「自分の足で海外を歩いている」という感覚を初めて味わいました。今、私が海外にひょ~いっと行けてしまうのは、あのときの冒険が背中を押してくれていると思います。パリを訪れる度に、当時の勇気を思い出せるので、元気になれます。

――1人でできた!という経験は自信につながりますね。パリの話も強烈ですが、もろたさんが旅にハマった理由はありますか?

もろた: 「抑圧」が原因と言っていいと思います。私の家族はあまり海外旅行に連れて行ってくれなかったので、大学生になってからバイトでお金を貯めて、長期休みの度に海外へ行きました。幼いときの鬱憤がたまった反動ですね。」

教授の反対を押し切って行ったスペイン留学

――抑圧!それは意外でした。確かに旅に出ると日常から解放されますよね。

もろた: 海外では、知らない世界や文化を見られるのでうれしいんです。社会人になってから、学生時代のように旅行には行けなくなるというのは十分に理解していたので、できるだけ大学生の時に行きたい国は行くようにしました。ニューヨーカー気分を感じるためにエンパイア・ステートビルにある語学学校に通ったり、カレーが嫌いなのにインドに行って後悔したり……。
東日本大震災後、人間はいつ死ぬか分からないと思い、教授の反対を無視してスペイン留学にも行きました。憧れのモアイ像を見に行った時は、現地のお祭りで泥まみれになりました。卒業旅行は、世界一周をしました。結果、大学4年間で行った国は40カ国!気付いたときには「趣味」ではなく、「習慣」になっていました(笑)。

イースター島で泥まみれに

――40カ国!すごいな!ペースが落ちたとはいえ、社会人になってからも、旅は続けていますよね。

もろた: 大学生の時に怒濤のように世界を見ましたが、社会人になってそれがやめられるわけがなく……(笑)。スキマ時間を見つけては旅行に出ています。

アフリカ南部(ナミビア)のdune55で

――印象に残っている旅先はありますか?

もろた: 社会人3年目に行ったアフリカ南部ツアー。すごく仕事が忙しくて、アフリカについて事前にあまり調べることができず……。1人旅だし怖いなぁと心配でしたが、自然豊かで人も優しくて、「冒険」感がたっぷりで心が満たされました。
SNSでアフリカ南部行きます!とつぶやいたら、仕事関係の方からオススメの場所を教えてもらえたり、旅行しながら情報をもらえてRPG感が増してる……!と喜びを感じてしまいました。

――もろたさんの旅は「冒険」感が重要なんですね。

もろた: そうですね。冒険といえば……社会人4年目の夏休みはすごかったです。1週間の夏休みを1カ月前から会社に申請していたのに、申請日の5日前にようやく許可が下りたんです。収録が迫っていて、家に帰れないほどの多忙期間だったので、殺意を覚えましたね。調べる時間もなくて、ツアー会社に丸投げしようとしたら断られ、旅行をあきらめるか?と思うぐらい。
結果、ずっと行きたかったクロアチアに照準を定め、クロアチアに行っていた先輩からリサーチ!仕事で3徹続きだったので、旅のルート決めがいい眠気覚ましになりました。仕事がはかどるはかどる(笑)。結果、申請日に出発できました!まさに出発前の大冒険。
クロアチアでは、到着した日が彼氏の誕生日だと気付き、現地から電話。冷たい態度を取られて、クロアチアの失恋博物館に行って、号泣しました。

クロアチアの失恋博物館の失恋を消す消しゴム

――もろたさんはどうやって社会人になっても旅を実現させたのでしょうか?

もろた: 私の場合は、収録や番組が一段落したタイミングが一番休めるので、誰よりも早く「終わったら休みます!」と宣言しています。休みは早い者勝ちなので……。とはいえ、宣言しても無視して予定を入れてくる職場なので、毎週のように「休みますからね!」とアナウンスするようにしています。
クロアチアの一件から、「思い立てば、明日にも旅に行ける」と知ったのと、「常々、行きたい場所を思い浮かべてイメトレする」ことで、急に休みができても「ここ行こう!」と決められます。

――まさにスキマトラベラー!(笑)

もろた: そうなんです。私は仕事と仕事の間のスキマ時間で旅をしています。これをスキマトリップと名付けているんです(笑)。
トランジット先でも可能な限り空港から外へ出ます。一度香港でおいしいマンゴーが食べたいという理由で、3時間の乗り継ぎなのに街に行ってしまいました。海外旅行って重い腰を上げる感覚を持っている方も多いと思いますが、1人で行動できるという自信と往復の飛行機さえ決めちゃえばすぐに行けちゃうんです。「1人だからいいや」と思うと休みはどんどん無駄にする一方。だから短い休みでも「電波の届かない場所に行き、リセットするのが大事」と思い、旅に出ています。

アフリカ南部(南アフリカのプレトリア)あいのりディレクターに教えてもらったジャカランダの名所

――旅に出るとき、周りの同僚の反応が気になりませんか?

もろた: 「どうしても行きたい場所があるんです」と言えば、たいていの人は許してくれます。ですが、「あいつばっかり休みやがって」と言われないように、仕事は全力でやります。また、おしゃれな国に行くより、「トルクメニスタンに行きたくて」と聞きなじみのない国に行く、あるいは「スペインでどうしてもトマト祭りに参加したいんです!」と変わった経験をしたいと訴えると、おもしろがってくれるので、行っておいでと背中を押してくれますよ。

後編もお楽しみに!

平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー