自分を変える、旅をしよう。

旅は「自分自身を思い出すため」のもの。インドに行ったぐらいで私の人生観は変わらない

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。後編もテレビ業界で働きながら、72カ国、131都市を旅したもろたけいこさんのお話をうかがいます。もろたさんが忙しい時間の合間を縫って旅に出る理由とは?
仕事も旅も全力! 仕事と仕事の間の“スキマ時間”を使って旅することでリセットできる 人生のレールから外れることが怖かった。世界が広がったのは、旅することで「何とかなる」と知ってから。

●自分を変える、旅をしよう。#11 もろたけいこ(30)後編

リーマントラベラーの東松寛文です! 仕事の合間にスキマトラベルをしているもろたけいこさん。前編では、高校時代のパリの研修旅行でホテルを抜け出してシャンゼリゼ通りに行ったという冒険譚もうかがいましたが、とにかく行動力が半端ない!そんなもろたさんにとって、旅とは何なのか、気になりますよね!

リーマントラベラー東松(以下、――): 前半ではもろたさんが旅にハマッた理由についてうかがいました。そこで後半ではまず、リーマントラベラーを知ったきっかけを教えてください。

もろたけいこさん(以下、もろた): 偶然SNSで知りました。働きながら世界一周っておもしろいなぁとニヤニヤしながら見ていました。忙しいながらも旅をするというスタイルは私と同じですが、大きなテーマを掲げて旅行をしているのはすごいなぁと感じました。なかでも私が大好きなのは、「香港で佐々木希になる」と「コンゴでサプールに会う」。最高ですね。こんな旅をしてみたいです。
私が旅に出るときは「仕事から逃げたい」「遠くへ行きたい」が一番の命題。旅に出る楽しさを教えていただいた気がします。

アフリカ南部(ザンビア)でデビルズプール

――ありがとうございます。うれしいなぁ!リーマントラベラーを知って、旅のスタイルや普段の生活で変化したことはありますか?

もろた: リーマントラベラーを知ってからは、「私って特別じゃない」と励みになり、より旅に出るようになりました。周りの人からは「狂ったように旅行している」と見られていましたが、「休みなんだし、別にいいじゃん」と自信をもらいました。
インドが大嫌いなのにホーリー(ヒンドゥ教のお祭り)に行きたいと悩んでいた私に、「イベントがある時に休めるというのは、旅に出る大きな目的!」と教わったのは、旅をする上で勉強になりました。しかし、そのホーリー大作戦も新型コロナウィルスの影響で達成できませんでした……(涙)いつかリベンジします!

トルコで

――早く終息してほしいですね。ところで、旅に出るようになって、変わったことはありますか?

もろた: 人として強くなれました。衛生的でない国、WiFiが入らない国……私が普段なじみのないことを経験するたび、自分のキャパシティが大きくなっていく気がします。
例えば、スペインの美食の街・サンセバスチャンに行くはずが、濃霧のため、降り立ったのが100kmも離れたサンタンデールという街。ミシュラン3つ星を予約しており、今日しかチャンスがない。唯一間に合う手段は、レンタカーのみ。食欲には勝てず、初めての左ハンドルにチャレンジ!なんてことも。年齢を重ねると勇気を出すことは減っていくと思うのですが、旅は容赦なく私を強くしてくれます(笑)。

――異国の地で100kmのドライブとは、チャレンジャーですね。ところで、旅に出るようになっても、変わらなかったことはありますか?

もろた: 「インドに行ったら人生観が変わる」とよく言われますが、私からすると「インドに行ったぐらいで人生観が変わるような人生を送りたくはない」。つまり、自分が歩んできたことに後悔はないし、私はこの生き方でいいと思っています。

――旅に出ていると、仕事にもいい影響があると思いますか?

もろた: 最近ではLINEで連絡ができてしまうのですが、物理的に仕事との距離をとれるのは、気持ちがリセットできるいい手段だと思います。強制的にリセットすることで、また仕事を頑張れる。仕事がいくら忙しくても、次の旅行が待っているから頑張れる、といういいリズムを作ることができています。
ただ、旅行をたくさんしているのに、その知識を仕事に活かせていないのは悔しいですね。

海が好きなのに砂と海水が嫌いと気付いたセントマーチンで

――もろたさんにとって、“旅”とは何ですか?

もろた: 私にとって「旅」とは、「自分自身を思い出す」ためのものです。
海外に行くと、周りの人は誰も知らない人。言葉も違う、私のキャリアも会社も関係ないので、「生き方を試されている」と感じます。まさにRPGの主人公になった気分です。
「私、こういうことは許せないんだ」など、多忙過ぎる毎日で忘れていた私自身のことを思い出せるのです。
美しい景色やおいしい食べ物も旅の醍醐味ですが、海外旅行がやめられないのは、自分を思い出すためなのかもしれません。

――なるほど、自分自身を思い出す! もろたさんが次に行ってみたい旅先を教えてください。

もろた: いつか絶対、南極に行きたいと思っています。その理由は、7大陸制覇できるから(笑)。先日、氷河を見にエルカラファテというアルゼンチンの街に行ったら、偶然、南極旅行に行っていた高校時代の同級生と会いました。彼女が行っていたのを見て、そんなに遠くない場所だと狙っています。

アルゼンチン・エルカラファテでの1枚

――地球の裏側で同級生と会うってすごいことですね。最後に、これからの夢や目標はありますか?

もろた: 「おもしろいテレビ番組を届ける」ことは、これからも頑張りたいと思っています。でも「自分らしさ」や「生きている」ことを忘れたくない。ガス抜きが旅行なので、これからも仕事を頑張るために、旅行も楽しみ続けたいと思っています。
スキマ時間で旅行をする様子や楽しみ方を、スキマトラベラーとして、SNSや記事を通じて伝えていきたいです。読んだ人が「旅って簡単じゃん」「忙しくても旅ができるんだ」と新たな発見を見つけてもらえるような活動をしていけたらと思っています。

――僕ももろたさんのバイタリティーに刺激を受けました!今は旅はできないけれど、次の旅を楽しむための準備の時期。もろたさんのお話をうかがって、次の旅がますます楽しみになりました。

仕事も旅も全力! 仕事と仕事の間の“スキマ時間”を使って旅することでリセットできる 人生のレールから外れることが怖かった。世界が広がったのは、旅することで「何とかなる」と知ってから。
平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー