自分を変える、旅をしよう。

「道ばたには歴史や素敵な出会いが落ちている」アナウンサー奥井奈南さんが旅をして感じたこと

旅によって人生が変わった人や、旅を通した生き方をリーマントラベラーの東松寛文さんが紹介する「自分を変える、旅をしよう。」。今回は、アナウンサーの奥井奈南さんにインタビュー。旅をするようになったきっかけや、印象的なエピソードを伺いました。
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●自分を変える、旅をしよう。#29 奥井奈南さん・前編

リーマントラベラーの東松寛文です! 今回は、アナウンサーでモデルやMCなど幅広く活躍している奥井奈南さんにインタビュー。奥井さん、実は大の旅好きなんです!いつから旅にハマったのか聞いていきましょう!

東松寛文(以下、――): 世界中を旅する奥井さん。どのような幼少期を過ごしましたか?

奥井奈南さん: 生まれも育ちも兵庫県淡路島で、豊かな自然と文化に囲まれて育ちました。大人になってその素晴らしさに気づきましたが、子どもの頃は私には少し物足りなくて。電車もないし、車の運転もできなかったから、移動範囲がかなり限られるんです。当時はスマホもなかったから、外界とのつながりはありませんでした。

旅好きの両親の写真やテレビの旅番組を見て育ったから、外の世界への憧れはずっとあったんですよね。
私の家は裕福ではなかったので普段の生活は質素でしたが、その分、両親は経験やレジャーにはお金をかけるタイプ。小さい頃にハワイやオーストラリアに連れて行ってくれたことを覚えています。実際に外の世界に触れる中で「いつか自分の力で行ってみたい」と思うようになりましたね。

――旅を始めたのはいつからだったのですか?

奥井: 高校1年生だった15歳の時、お小遣いを貯めて1人で海外旅行をしました。
とにかく外国に行きたくて「一番近い外国」と調べたら、出てきたのが台湾とロシアのウラジオストク。「寒いのは嫌だ」という理由で、台湾に決めました。

現地に行って感じたのは、台湾は「パワーがある」ということ。若い人が多かったし、屋台で働いている同い年くらいの学生さんもいて。街のエネルギーが、私の見てきたものとは全く違って、溢れていました。

忘れられない出会いもありました。街中を歩いているときに、私が日本人だと気づいたのか、おじいちゃんが日本語で話しかけてくれたんです。昔、日本人に親切にしてもらったことを教えてくれて。道ばたには歴史や素敵な出会いが落ちているのだと感じましたね。

そのおじいちゃんとは帰国してからも連絡を取り合っていました。5年くらい近況報告する仲でした。

18歳の時に行った、2度目の台湾

――高校生のときから旅好きになったのですね。その後はどんな旅をしたのですか?

奥井: 台湾から帰国した後も海外には行きたかったのですが、高校生でお金がなかったので、すぐには行けませんでした。どうやって旅をしようか考えていたときに、地元地域と姉妹都市のアメリカ・オハイオ州と学生海外派遣制度があると知りました。制度を使えば出費をある程度抑えられます。どうしても行きたかったので、親にも相談せずに応募。面接などを経て受かった後、報告しました。

高校3年生の夏休み、自分の意思で行くと決めたアジア圏ではない外国。ドキドキしながら向かいました。

留学先の学校に日本のお菓子を持って行ったらとても喜んでもらえて、一気に人気者に。日本人の文化や考え方を話すだけで、みんなが盛り上がってくれて。「レア」であることの良さを知りました。

何か選択をするときに“希少性があるもの”や“穴場”を狙うという考え方は、このときから持つようになりましたね。

――「周りとは違う」ということをポジティブに捉えていたのですね。

奥井: 旅行先も、周りの人が行かないような国を自然と選んできました。マルタ、ラオス、韓国の38度線……これまで14カ国に行きましたね。

スリランカの人々。シャッター向けると必ず笑顔を見せてくれる

中でも印象に残っているのは、社会人2年目だった23歳のときに行ったスリランカ。島国で、日本によく似ているんです。主な宗教は仏教で、季節の変化が明確にあって、魚をよく食べるし、出汁文化もある。

でも現地を旅してみると、大きな違いが一つあることを知りました。
それは、定年を超えた人たちが、普通に働いていること。80歳のおじいちゃんが漁業をしているのも当たり前で。国の福祉制度などに文句を言っている人も少ないように感じました。

スリランカ。バリバリ現役のおじいちゃん

なぜ年を取っても前向きに働き続けられるのか――。そこには仏教の教えが関係しているようでした。

現地の人によると、スリランカの人々は、ブッダの教えである「精進」という言葉を大切にしているのだそう。日々成長することが“奉仕している”ことであり、信仰心の表れとも言える“良い行い”だと考えられている。
だから、年齢に関係なくハードワークすることが当たり前になっています。

日本では、自分の生活や会社のためにハードワークをする人が多く、「自分のために」と前向きな人をあまり見かけません。そんな考え方の違いにとても驚きました。
この「精進」という言葉は今でも私の心の中に深く残っていて、たまに思い返したりしています。 

K-POPゆりこさん「旅をしていなかったら、私の人生は全く違うものになっていた」 アナウンサー奥井奈南さん「なぜ生きているのか、旅は考えさせてくれる」

奥井奈南さんのプロフィール(キャスター/アナウンサー)

1993 年生まれ。兵庫県淡路島出身。関西外国語大学卒業。
フロリダ大学留学。ユニクロを退社後、アーティストのPR業を経て2018年、ソーシャル経済メディアNewsPicksで落合陽一氏らがホストを務める「WEEKLY OCHIAI」の公開オーディションでアナウンサーとして選抜される。現在、レギュラー番組をはじめとし、雑誌やラジオ出演、また企業イベントのMCなど多岐にわたり活躍。

平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」。2016年、毎週末海外へ行き3か月で5大陸18か国を制覇し「働きながら世界一周」を達成。地球の歩き方から旅のプロに選ばれる。以降、TVや新聞、雑誌等のメディアにも多数出演。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)、『休み方改革』(徳間書店)。YouTube公式チャンネルも大好評更新中。
リーマントラベラー

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