3密回避で直接会えない!コロナ禍で活発化するオンライン婚活

コロナ禍で感染拡大防止のために求められる人との接触削減――。その結果、減ったのはリアルな場所での「出会い」です。ステイホーム中のSNSではタイムラインに「夫婦でDIY」「子どもと一緒にダンスした!」といった話題が次々に流れる一方、聞こえて来るのは「まだパートナーと出会っていない人はどうすれば…」の声。マッチングアプリを利用した婚活シーンにも変化が現れているようです。

出会いの場もリアルからオンラインに

新型コロナで打撃を受けたのはリアルに出会う婚活の場。3月以降、全国の市町村などで企画されていた婚活イベントは相次いで中止が発表され、合コンや街コンについても、開催が厳しい状況は続きます。自粛期間中には「婚活を中断せざるを得なかった」という人も。
そんな中、直接的な打撃が比較的少なかったのが、マッチングアプリの世界です。4月に入ると「Pairs」「Dine」「omiai」など、恋愛や婚活マッチングを支援する各サービスが、新たにテレビ電話などの機能をアプリ内に続々と設けました。会議も飲み会もオンラインに移った自粛期間。「出会い」の場もリアルからオンラインに、というわけです。

未婚男女のマーケティングを行う「恋愛婚活ラボ」では4月下旬、マッチングアプリ「Dine」に登録する未婚の男女2595人を対象に、「コロナ禍の恋愛事情」に関する調査をしました。年代別に「外出自粛期間中、マッチングアプリを使って、どのように恋人を探したいか」をたずねると、「外出自粛期間中でも直接会いたい」と回答した人は、40代以降の「21%」が最大。20代では75%以上が、自粛中はテキストメッセージでやりとりを重ね、電話・ビデオ通話をすると回答しています。オンライン志向の高まりがうかがえますね。

「恋愛婚活ラボ」調べ(画像提供も)

これまでのマッチングアプリは効率よく、どんどん相手と対面していくのが特徴でしたが、ビデオ通話という新しいツールは、直接会わずに婚活を進めたいという利用者のニーズにマッチします。
「恋愛婚活ラボ」所長で、マッチングアプリに関するメディアの編集長も務める伊藤早紀さん。自身もオンラインデートを経験した伊藤さんは、「彼氏や彼女が欲しい」「結婚相手を見つけたい」といった「結果」を求める人にとっては、とてもいい機能だと評価します。「コロナ禍で、本当に会いたい人にしか会わなくなりました。オンラインデートは食事や会話を楽しむというより、本当にこの人に会っていいのかどうか、フィルターをかけて見極めるためのツールになるんです」

「会ったら微妙」を回避、初デートの質を上げるためのオンライン

また、マッチングアプリについては「会ってみたら微妙だった」「アプリでのプロフィールと実際が違った」といった問題点も指摘されてきました。「それで疲れてしまう人も結構いたようです。3、4人に会ったけどダメだった……って」と伊藤さん。しかし、事前に電話やビデオ通話を経ていれば、そういった失敗のリスクが低くなります。「初めまして」「趣味は」なんて話題は、すでにビデオ電話の時点で済ませているため、より本質的な話題ができ、「初デートの質がめっちゃ上がる!」。

オンラインデートでは食事などに気を取られることも少なく会話が中心。話す内容を通して互いを知ることができるため、「なんとなく雰囲気だけの男性」を見抜くこともできるそうです。「『リアルで会うよりも素直に自分の話ができた』という声も聞きました」と伊藤さん。お酒が入ってその場の空気に流される心配や、「おごり・おごられ」といった煩わしさもありません。

コロナ以前の例ですが、伊藤さんが出会ったアプリで知り合ったカップルの中には、「見極めてから会いたい」と、現在のようにビデオ通話などでやり取りを重ね、会ったその日に同居をスタート。2カ月足らずで結婚を決めた人がいたそう。恋愛のドキドキを求める人にとっては「エモさ」がないのも事実。しかし合理的、効率的に婚活を進めたい人にとって最適なスタイルとのこと。

女性にとっては安全性が高まったというのもメリットの一つといいます。「オンラインデートでしっかり相手とやり取りをしたいと考える男性は、かなり真剣に相手を探しているはず」と伊藤さん。既婚者は自宅でオンラインデートすることは難しく、体目当てで近づく「ヤリモク」男性も、気軽に会うことができないので排除しやすくなるのです。

相手の価値観を知るためにコロナは「使える」

「恋愛婚活ラボ」では、恋人を探す上で重視するポイントの変化についても調べています。「新型コロナウイルスの影響で、恋人を探す上で重視するポイントは変わったか」とたずねたところ、男性の「14%」、女性の「23%」が「変わった」と回答。その中でも、異性を選ぶ時に重視するようになったポイントとして、男女ともに最も多数だったのが「倫理観」だそうです。

「恋愛婚活ラボ」調べ(画像提供も)

ウィズコロナの今は、むしろ明確な基準をもって、人生を共にする相手を見極めやすくなったと伊藤さんは話します。「いままでは『相手と価値観が合うかどうか』といいながら、確かめかたは難しくなかったですか? でも、コロナはみんなが共通して体験している、一番身近で具体的なテーマ。婚活にとって役立つ議題になります」

コロナ時代の婚活模様。カップルの成立という点では会うまでに時間がかかったり、相手に求める基準がこれまで以上に明確になったりしたことで、目の前のハードルは上がっているのかもしれません。しかし、伊藤さんは「誰とも会えない期間が続き、出会いたい欲が強くなっている人は多いと感じています。いまマッチングアプリに登録する人はある意味『同志』ですよ!」と断言します。

【画面まるごと自分だと思え! 伊藤さんのオンラインデート成功のアドバイス】
①話題を事前に決めておく
前段階の電話にしても、オンラインデートにしても会話が中心。まずは自分がどのような人間なのか、公開しているプロフィールを充実させることが大事です。メッセージなどのやり取りを重ねる中で、電話やオンラインデートの時にどんな話をするのか、考えておくのが重要! 互いに話したいこと、聞きたいことがあれば、オンラインデートに誘って、断られるということも少なくなります。
②画面に映るすべてが自分
いきなりプライベートな空間を見せてしまうオンラインデート。基本的なことですが、カメラに映る部分だけでも片付けて、ペットボトルやゴミは映らないようにしましょう。画面ごと自分だと思って! Zoomなら「外見を補正する」という機能もあったりしますが、会って「全然違う!」とまではならないはずです(笑い)

●伊藤早紀(いとう・さき)さんのプロフィール
恋愛メディア「マッチアップ(https://match-app.jp/)」編集長でマッチングアプリソムリエ。最新のマッチングアプリ情報を発信している。1990年生まれ。大学卒業後、リクルートコミュニケーションズなどを経てParasolに参画。「マッチアップ」のローンチに携わり編集長に。自身も20個以上のマッチングアプリを経験し、出会った男性は100人以上。

ライター。大学卒業後、会社員として雑誌や書籍の制作、Webメディアへの執筆などを経験。現在は会社勤めを継続しながら、フリーランサーとしても活動する。都内に夫と2人暮らしの30代後半。趣味はひとりドライブ。
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